07-05.眷属化
「反抗期? 何よ今更。ユーシャは元々素直な子でもないでしょうに」
それはそう。なんなら初めて出会った時から私の言葉なんて禄に聞かなかったけれども。
「懐かしいわね。覚えてる? ユーシャが初めて冒険者になった頃のこと」
「もちろんだとも。あれだろう? 討伐依頼を受けると言って聞かなかった時だ」
初めての依頼で装備も無いというのにな。ふふ♪ あの時はどうなる事かと思ったが、今となってはいい思い出だ♪
「そうそれ♪ あの頃のユーシャも可愛かったわよね♪」
「私も聞きたいわ♪」
「パティにも前に話したぞ?」
「いいじゃない♪ 何度でも話してよ♪」
「そうだな。ふふ♪」
『エリク』
あ、はい。
「ダメだ。ユーシャからストップがかかった」
「なら私が話すわ♪」
『エリク』
「「むぐっ!?」」
私の身体が勝手にゆーちゃんの唇を塞いだ。かなり強引な方法で。……ちょっと。いつまで続けるつもりなのさ。
「……」
「……」
「なんで微妙な空気になってるの? 今更?」
「だって……」
「なんだか不思議な感覚だわ。まるで銀花とキスしているんじゃないみたい」
実際中身はユーシャだったわけだし。私もなんだか妙な気分だったよ。ユーシャが私の身体でゆーちゃんを襲ってるのって。
『新感覚♪ もっと試してみよ♪』
……夜にしなさい。
『ふふ♪ エリクも満更じゃないじゃん♪』
むしろなんでユーシャのテンションまで上がってるのさ。
『エリクの感情は伝わってるもん♪』
もう二度とユーシャに勝てる気がしない……。
『やっと理解出来たんだね♪』
調子に乗りおって……。
『ざぁ~こざぁ~こ♪』
ふっ。ユーシャにそのキャラは似合わんぞ。
『だ・れ・が、としまだってぇ?』
言ってない言ってない。思ってない思ってない。
『後で覚えておいてね。今晩の約束撤回させないから』
二人きりで過ごすのだろう?
『ユウコはノーカン』
それ言い出すとユーシャもでは?
『うっさい』
やっぱ反抗期だぁ……。
『しつこい!』
しくしく……。
「ぐすん」
「今度はなに? なんで涙ぐんでるの?」
「……なんでもない。少し情緒が安定せんだけだ」
「あらま」
パティが優しく抱き締めてくれた。癒やされる……。
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「なんだ。結局全員で集まることにしたのか」
「眷属化の方法を教えて。私がディアナを眷属にする」
唐突だな。
「パティ♪ 一緒に眷属になりましょう♪」
「う~ん」
どうしたものかなぁ。ディアナはともかくパティについてはもう少しだけ成長を見守りたいような気もするのだが。眷属にしたら成長止まっちゃうしなぁ。
「もういいんじゃない? 成長の方法ならいくらでもあるわよ。どうしてもとなったらまたお母さんに相談しましょう」
それもそうかなぁ……。
「もちろんパティはエリクの眷属になるでしょ?」
「ええ。そうさせてもらうわ」
「エリク。私はユーシャの眷属になろうと思うの。許してくれるかしら?」
「……そこはなぁ」
正直自分の眷属にしたいけど、別にユーシャの眷属が悪いってこともない。今となっては私とユーシャが混ざっているのだから実質的には同じことだ。単に誰が繋ぐかってだけの話だ。その後の繋がりは変わらない。
「なら一緒にやろう。手取り足取り教えて。なんならユウコも一緒にさ」
「私は遠慮しておくわ」
「ダメよ、ユウコ。折角ユーシャから距離を詰めてくれているのにそこで引かないで」
「パティはそれでいいの?」
「もちろんよ。今更なに言ってるの? あなたも大切な家族よ? 私ちゃんとユウコの事も愛しているのよ? もうとっくに伝わっているでしょう?」
「……」
ゆーちゃん? 泣いてるの?
「あ~あ♪ 泣~かした~♪」
「いえ、ちが……これは……」
「ふふ♪ そこまで喜んでくれるなんて♪ もっと沢山伝えておけばよかったわね♪」
パティがゆーちゃんを抱き締めてくれた。
「三人の共同作業ね♪ 私とパティを眷属にして頂戴♪」
「私も異論は無いよ」
「そうか。ならばそうしよう」
「待って! そういう事なら日を改めましょう!」
「……そうよ。どうせなら盛大に祝いましょう。もう一度五人だけの結婚式をあげましょう」
「え~。面倒くさいよ~」
「ふふ♪ もう、ユーシャったら♪ 二人の言う通りよ♪ 折角なんだから思い出に残さないと♪」
「今日は練習だけにしておこう。本番で失敗せんようにな」
「まあ、そういう話なら良いけどさ」
「なら決まりね♪ 今から楽しみだわ♪」
「ありがとう、みんな。私を受け入れてくれて」
「ふふ♪ そういう事は本番の時に言うものよ♪」
「ええ、そうね。ふふ♪」




