07-04.新しい趣味
「ヒャッハァーーー!!!」
ディアナが世紀末みたいな声を上げて通り過ぎていった。早くも超高速水上バイクを乗りこなしている。ユーシャが。
「ふふ♪ すっかり気に入ってくれたみたいね♪」
だね。毎日飽きもせず二人で乗り回してるもんね。
もっぱら運転するのはユーシャだ。ディアナは後部座席で叫ぶ係だ。ようやく二人にも熱中できる趣味が見つかったようだ。だからではないが、水着だけは着てくれるようになった。私達が褒め称えまくったら意外とあっさりだった。バイク関係ないやん。いや、全く無いって事もないのか? 流石に裸じゃ痛いだろうし。ディアナはともかくユーシャは。
『着衣もエロス』
その真理に至ってくれたか。我が娘よ。
『ちょっと。何バカな話してんのよ』
『次ユウコ。一番セクシーだと思う水着を着て待ってて』
品評するの?
『私を喜ばせたら乗せてあげる』
『取り敢えず際どければいいのかしら?』
『ふっ』
『ちょっと』
仲良しねぇ~。
『エリクは最後。全裸待機』
やだよ。私も水着着させてよ。
『おっけ。私が着替えさせるね』
なんでやねん。
『だから全裸待機』
ふっ。ユーシャはまだまだな。自らの手で脱がせる感動を理解できぬとは。
『盲点だった……』
『このバカなやり取りいつまで続くのかしら?』
「ねえ、また三人だけで内緒話してるでしょ」
「すまん、パティ。ユーシャが私達の事も乗せてくれるそうだ。水着に着替えて待っていよう」
「あら、そういう話。いいわ♪ 楽しそうじゃない♪」
パティも基本自分で運転したい派だからな。たまには人に乗せてもらうのも新鮮で良かろう。
『パティはスク水。異論は認めない』
いくつだと思ってるんだ。というか誰だ。ユーシャにスク水とか教えたのは。
『パティは競泳水着よ。いやここは敢えての紐ビキニなんかも……』
私的にはパレオが必須だと思うの。あの美しい脚は隠してこそより引き立つというものだ。チラリズムこそが至高だ。
『その意見には異議があるよ』
ユーシャの場合は全裸に小物も様になっているからなぁ。
『なに流されかけてるのよ』
あの堂々とした立ち振舞は一種の芸術だ! ディアナともども一糸も纏わぬ美しさがそこにはあるのだ!!
『銀花が内心そんな事思ってるから裸族なんでしょうが!』
ごほん。失礼。熱くなりすぎた。
『急に火がついたわね。意味がわからないわ』
『エリクが望むなら』
いや。水着は着てくれ。どんなに美味しい食事でも毎日食べていれば飽きてしまうものさ。私はユーシャ相手にそんな思いを抱きたくないのだ。
『勉強になる。けどそれはそれ。パティにはスク水』
『競泳水着だってば』
パレオ! それ意外は認めない!
パティの水着選びは難航した。
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「え? 本気でこれ着ろって言ってる?」
「違うわ。ユーシャに操られているのよ。可哀想に。言葉も封じられてしまって」
わかってるならなんとかして。
『無理よ。流石にそこまで干渉できないわ』
ユーシャのやつめ。私の身体を操って口を塞ぐとは。しかもこれのどこがスク水だ。同じなのは形だけじゃないか。色は白いしやたらと生地が薄い。白スクってやつだな。どうしてこんなものがあるのだ。誰だ紛れ込ませたのは。
「私、エリクが選んでくれた水着が気に入ったわ。これを着てくるわね」
私の身体がパティの手からパレオ水着を奪い取った。
「だめよ、ユーシャ。返しなさい」
「(ふるふる)」
「そんなの着ないってば。ディアナに着てもらいなさい」
「(ふるふる)」
「間をとってこっちはどうかしら?」
なにそれ? チャイナドレス? 一応水着なの? もうコスプレグッズじゃん。ド◯キじゃん。誰さ品揃え考えたの。
「ユウコもこれ以上ややこしくしないで。私はエリクが選んだ水着がいいの」
パティ~!
あかん。泣きそう。
『……』
身体の拘束が解かれた。どうやらユーシャが諦めてくれたようだ。
「ふふ♪ ありがとう、ユーシャ♪」
パティはもう一度水着を受け取って更衣室に向かった。
「ねえ、ディアナにはこれなんてどうかしら?」
ゆーちゃんはマイペースにホットパンツビキニを掲げている。もう少し関心持てやこら。私も似合うと思うけど。
「ユーシャはこのゴールドとか意外と似合うんじゃない?」
ごーじゃす。
「そういうゆーちゃんはどれにするの?」
「その白スク着るわ。ユーシャの一押しだし」
透けるよ? ユーシャは間違いなく好きだけどさ。
ユーシャってストレートなスケベだよね。まさに思春期男子って感じの趣味趣向だよね。もちろん男じゃないし、もう直二十歳にもなるし、もう少し落ち着いて欲しい所だけど。
『関係無い。好きなものは好き』
人に迷惑をかけない範疇で楽しんでおくれ。
『パートナーに甘えてるだけじゃん』
まあ言っちゃえばそうなんだけどさ。
『もう少し望みを聞いてくれても良いと思う』
結構甘やかしてる方だと思うんだけど?
『全然足りないよ。もっとエリクに甘えたいの』
地上でいいなら付き合うよ。今晩はユーシャと二人で過ごそう。
『決まり♪』
トランプでもやるか?
『は? やるわけないじゃん。そんなつまんない冗談やめてよ』
……これもしかして反抗期か?




