06-63.正妻会議
「そう。またなのね」
「うぬ……」
ユーシャ、パティ、ディアナと四人だけの寝室で今日あった出来事を伝えてみた。
「ユウコさんはなんて?」
「ゆーちゃんは今朝から母さんの所だ。まだ戻っていなくてな」
「あら。連絡もしてこないなんて珍しいわね。今回はいったいどんな企みごとかしら?」
さあ。そろそろ様子を見ておくべきかもしれない。
『心配は要りません。ルベド姉さんとニタス姉さんもついています』
それもそっか。て、あれ? フーちゃんは?
『さあ? そっちは把握していません。てっきりまだフランと一緒なのかと思っていたのですが』
おかしいな。フランはソラと一緒だったぞ。
『主様達の方に合流したのでしょうか』
それか、ふらっと旅にでも出たとか?
『ありそうな話です。フーちゃんは気まぐれですから』
キトリみたいに誰か他の人に憑いてる可能性もあるよね。
『キトリとレティは上手くやっているでしょうか』
たぶん大丈夫だよ。たぶん。
「やる事が多いのはわかるけど、しっかり見ていてね」
「うむ。明日までに戻らぬようならこちらから出向くとしよう」
ワンチャン入れてくれない可能性もあるけど。
「それで? エイヴァさんの件は結局どうするの?」
「取り敢えず面接でもしてもらえるか? 本人は是非にと乗り気なのだ」
「そっちはもちろん構わないわ。明日私が直接出向くから任せておいて。それでよ。問題はその先よ」
「本人にも伝えた事だが、今の時点で伴侶に加わってもらうだとかは考えていない。ミランダと同じだ。一般従業員として加わってもらうだけだ」
「だけどエフィが難色を示したんでしょ? それにルーティだって。答えを示すようにって求められたんでしょ?」
「そこなんだよなぁ……」
「もう開き直っちゃえばいいじゃん。一々悩むなんて時間の無駄だよ。エリクは王様なんだから欲しいもの全部手に入れていいんだよ」
ユーシャはブレないなぁ……。
「ルシア姉様だってエリクが纏めて受け入れるつもりなら満更でもないんでしょ?」
「……たぶん」
選べと言った選択肢に含まれていたからな。ルシアも似たような事は考えていたのだろう。
「はい、じゃあ決まり。明日告ってきて」
雑だなぁ~。
「なんならリタをけしかけちゃえばいいじゃない」
いやそれはダメでしょ。ドン引きだよ。
「けしかけるかはともかく、リタに黙って進めたらダメよ。ちゃんと筋は通しなさい」
だな。
「いっそ眷属にしちゃえば? 決めあぐねてるなら側室入りは後回しでもいいじゃん」
「それもそうね」
「ナイスアイディアだわ」
この子達は……。
「ダメだ。あの二人に関しては逆だろうが」
大前提として家族に加わってもらわねばなるまい。でなければ納得出来んだろうさ。
「そうかしら? エリクが欲しいって言えば悪い気はしないわよ」
「エフィはともかくルシアは嫌がるさ」
「違うわ。ルーティが不意打ちはダメだと言ったのなら、それは黙って眷属にする事よ。エフィの心を強引に塗り替えるのだとしても、せめて話し合った上で実行してほしいのよ」
「ルシア姉様は聡明な方よ。時間の問題だと思っているのはルシア姉様も同じなのよ。だからエリクに答えを出せと迫ったの。致命的な裏切りが生じる前にチャンスをくれたのよ」
パティとディアナは同じ意見なのか……。
「だから言ってるじゃん。取り敢えず眷属にしちゃえって。それで皆安心するんだから」
ユーシャは立場を明確にさせたいだけだろうが。今となっては人間の家族で眷属になっていない者の方が少ないのだ。パティとディアナ以外は全員眷属にしてしまえと内心思っているのだろうさ。
「ともかくわかった。明日話してみよう。パティは先にリタを頼んでもいいか? 私はエフィとルシアと話してからエイヴァを呼び出しておく。全員揃ってから眷属化を始めよう」
「いいわ♪ リタの方は任せておきなさい♪」
「くれぐれも順番を間違えないでね。そこにさえ気を付ければ絶対に上手くいく筈だから」
「うむ。承知した」
「明日は私もついていくね」
「ユーシャが? 珍しいな」
内心、「長々悩むくらいなら私の事だけ考えてろ」なんて思っているだろうに。
「私がエリクの正妻だもん」
牽制するの? それともさっさと終わらせるつもり? 両方かな?




