06-59.幼馴染
「ありがとう、エリクさん♪ おかげであっという間に終わったよ♪」
それは何より。
「これで約束は守られましたね。遅くなった事は許してあげます」
「これっきりにはせぬぞ。ちゃんと心を入れ替えて手伝うとも。そう気を遣うでない」
私がエフィの頼みを蔑ろにしたのは事実だからな。それでエフィに気を遣わせてしまったら増々立つ瀬がないのだ。
「義姉さんこそ気を遣わないでください。忙しいのはわかっています。こちらこそお手伝いも出来ずにすみません」
そうか。エフィも罪悪感を抱いていたのだな。すまんな。
「違うのだ。こちらの都合で遠ざけているだけなのだ。エフィのせいではない。そんな風に言わないでおくれ。私達は家族だ。共に助け合おう」
「義姉さん……」
「ちょっとちょっと二人とも。少し近すぎるんじゃない?」
「「……」」
「うわきー!」
「だめー!」
「ごほん。さて。今日はとことん手伝うぞ。早速町に出向くとしよう。これから魔物除け魔導具を設置するのだろう? 先にロロの状況を聞いてみようか」
「ありがとう。お願いするよ」
頼む。姉さん。
『はい♪』
相変わらず念話は姉さん頼みだ。ロロは眷属だからロロの口を借りて話す事も出来るけど、それやっちゃうと順番でしか話せないからね。念話と併用するのが無難だろう。
私も修行時間を確保せねば。今度フーちゃんの真っ白空間でも借りようかな。そろそろ例のシェルターも出来てるのかな。やっぱやめとこ。どうせもう直何百年も籠もることになるんだし。
『調子はどうだ、ロロ』
「バッチリデス♪」
そのようだな。これは城に戻っている最中か。側にいる子は誰だ? 見たことのない少女だ。迷子になる程幼い子というわけでもないが、何故だかその手には猫じゃらしが握られている。
『すまんな。友達と一緒だったのか』
「エイヴァと言イマス♪ トッテモ良イ子デェ~スヨ♪」
「ロロ姉? どしたん急に」
「ハニィ~デェ~ス♪」
「ああ。すっごい魔法使いなんだっけ」
私の事も話してあったのか。
エイヴァは突然ロロに抱きつくと、虚空に向かってピースした。
「ハロ~♪ 見てる~♪ ハニーさんの大切なロロちゃんは私の隣を歩いてるヨォ~ん♪」
これは随分懐かれていそうだな。あと私はそっちじゃないぞ。流石に眷属関連の話はしていなかったか。
「やあ、エイヴァ。悪いが私はこちらだ。ロロとは魂が結びついているからな。こうしていつでもロロの身体は操れるのだ」
「え~。なにそれ~。ロロ姉の演技じゃないの~?」
「違イマ~スヨ♪」
「うわ。マジっぽい。こっわ~」
あかん。ロロまで気味悪がられてしまっただろうか。エイヴァはロロから手を離してしまった。
『城に戻る所か?』
「デスヨ~♪ ハニィーはドウシマシタカ~?」
『今は私もこっちに来ていてな。城で合流しよう。休憩を挟んでから改めて町へ向かうとしよう』
「了解デェ~ス♪」
ロロ一人なら疲労の心配も要らないけど、エイヴァも手伝ってくれるようだしな。設置の方は姉さんかシュテルに転移門を開いてもらえばすぐに終わるだろう。先に少しお茶でもしながら話してみるとしよう。
「エイヴァ? あの子が手伝ってくれるのですか?」
「なんだ。エフィは知っていたのか」
「知ってるもなにも私とロロ姉さんの幼馴染ですから」
あら。そうなんだ。……うん?
「歳が近いのか? 随分小柄に見えたが」
「私の一つ下ですよ。本人の前で歳の割に小さいだなんて絶対に言わないでくださいね」
気にしてるの? エフィの一つ下ってことは十五か十六だな。なんというか身長云々以前に仕草が幼いように見えた。なんか猫じゃらし持ってたし。ともかく気をつけよう。
「いらっしゃい。エイヴァ。おかえりなさい。ロロ姉さん」
暫く待っていると二人が戻ってきた。エイヴァは猫じゃらしをキャロちゃんにプレゼントした。なるほど。あれは手土産だったのか。キャロちゃんが大喜びしている。シュテルと遊ぶのかしら?
「へ~。これがハニィさんか~。ふ~ん」
「失礼ですよ、エイヴァ。この人はエリクさんです」
「エフィもホの字なの? それならルシア姉盗っちゃおうかなぁ~♪ 結構気になってたんだよね~♪」
「あなたはまたそんな事を言って。私に当たらないでください。ロロ姉さんを横取りしたのはエリク義姉さんです。私ではありません」
なるほど。エイヴァはロロが好きなのか。にしてもモテるなこの姉妹。リタもエフィが……いや。この話はやめておこう。どうせリタのことだから二人を家族に加える事も諦めてないんだろうし。やっぱ時間の問題だなぁ……。




