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06-49.事後対応

『城が欲しいわね』


 なんて?



『魔王を名乗るからには自分のお城の一つも持たないと。私達でこの国の復讐心を受け止めると言うなら尚の事ね』


 なるほど。一理ある。象徴は必要だもんね。



『準備がまったく足りていないわ。やっぱり思いつきで行動するものではないわね』


 悪いとは思ってます。そもそも了解も得ずに動いた時点でね……。さーせん……。



『今からでも動くわよ。皆と相談しましょう』


 だね。一人で考えてもどうにもならないし。




----------------------




「なるほど。ならば我が領土を使うといい」


 あかんでしょ。



「折角ですがお祖母様。ゼビーリアでは少々遠すぎます」


「ふむ。それもそうか」


「ならうちの領はどうかしら?」


 ディアナの実家がある領は確かに王都の直ぐ側だけども。



「それも無しだ。領民まで抱え込む事はできん。巻き込むのは我々家族だけだ」


「ならヴァイス家も無しよね。そんな都合の良い場所あるかしら?」


「あれはどうかしら? フランさんのダンジョン」


「組織の解体が先だな。フランが納得してくれるだろうか」


 後で相談しに行ってみよう。



「他に案はあるか?」


「いっそ王都の隣に建てちゃう?」


「近隣の迷惑になりづらい場所を選んでみてくれ。十分なスペースが確保できそうなら選択肢にも上がるだろう」


 築城は母さんに頼めばチョチョイとやってくれないかな?



『あまり挑発しすぎるのも違うんじゃないかしら?』


「適度に忘れられず、適度に刺激しすぎずか。難しいな」


 やはりフランのダンジョン辺りが都合も良いか? 毎日ベルトランに突撃されても鬱陶しいだろうし。



「そういう意味ではヴァイス家って好都合なのよね。放っておけない因縁もあるんだし」


 たしかにな。カルモナドの王族にとってヴァイス家は源流とも呼べる特別な存在だ。距離的にもセビーリア程遠いわけでもない。何より既に城がある。色々と都合が良いのは確かだ。もちろん、義両親含めてあの地に住む人々を巻き込むわけにはいかないから、選択肢としては論外なんだけども。



『いっそ空中庭園なんていかがかしら?』


 実現可能なの?


『お母さんなら出来るわよ。それくらい』


「空中庭園って? お城を浮かせるの?」


『そう。地盤ごとね』


「特定の場所と定める必要はないわけね」


『ええ♪ カルモナドの上空を好き勝手に飛び回ってやりましょう♪』


 たまに見えるくらいならいいかもな。常に上空にあれば嫌でも視界に入るだろう。



「とっても素敵ね♪ 流石はユウコさんだわ♪」


 ディアナとゆーちゃんは趣味が合うっぽい。


『早速お願いしてくるわね♪』


 え、ちょっと……行っちゃった。



『主様でも時間はかかる筈です。注文があるのなら追いかければ間に合いますよ』


 うん。了解。ネル姉さん。何か思いついたら言うから連絡よろしく。


『了解です!』



「魔王城はそれで良いとして。次はバルデム家とデネリス家についてなのですが」


「心配は要らぬ。バルデム家も元はと言えば王家の分流だ。デネリス家と同じくな」


 とはいえ今回はやりすぎたしなぁ。いくらお祖母様とニコライに個人的な貸し借りがあってもなぁ。



「くっくっく。お優しい婿殿だ。不安が拭えぬと言うならセリナも娶るがいい。より強固な関係を築くとしよう」


「責任とってくださるわよね♪ エリクさん♪」


 えぇぇ……。



「こうなる気がしていたわ。よろしくね。セリナ」


「こちらこそ♪ ふふ♪ パティとまた一緒に暮らせて嬉しいわ♪」


 あかん。外堀が勝手に埋まってしまった。



「いいな~。セリちゃんだけ~。私もそっちがよかった~」


「ふふ♪ 代わってなんてあげないわ♪」


 そのうちデリアさんまで転がり込んできたりしないよね? 


『またまた増えてくぜ♪ ハーレム王は伊達じゃないぜ♪』


『お家取り潰しもあり得ない状況じゃないもんね』


 縁起でもないこと言わないで……。




----------------------




 お祖母様とデリアさんをセビーリアに送り届けたついでに、皆で改めて祭りを楽しむことにした。とは言え最初はシルビアからだ。約束したものな。



「約束果たしてくれるんだね♪」


 喜んでくれるシルビアには悪いけど、相談もせずに勝手に動いたことに今更ながらの罪悪感を感じてしまう。後で報告しなきゃだ。けど今はお祭りデートに集中しよう。



「パト達とは何してたの? 先に正妻組とデート?」


「……そんなところだ。すまんな。待たせてしまって」


「いいよ♪ 先生ちゃんと来てくれたもん♪ こうして二人っきりでデートしてくれてるんだもん♪ 先生大好き♪」


 くっ……。なんて純粋な笑顔……。



「そ、そうだな。私もシルヴィを愛している」


「きゃっ♪ もう♪ 先生ったら♪」


「……何か面白いものはあったか? 既にアカネとも祭りを見て回ったのだろう?」


「もしかして嫌だった?」


「い、いや。そういうわけではなくてな。どうせならシルヴィの好きな所を回りたいからな。それで感想が聞いてみたかったのだ。うむ。それだけだぞ」


「う~ん♪ 何が一番って言うと困っちゃうかも♪ だから全部案内してあげるね♪ 行こ! 先生♪」


「うむ」


 余計な事を考えるのは後だ。集中しよう。

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