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06-45.パワフルお祖母ちゃん

「戦だ」


「……えっと、お祖母様?」


 バンっ!!


「「っ!?」」


「あの恩知らずめがぁ! 我が孫娘達を追い出すだと!?」


 あかん。



「安心なさい! パティ! ディアナ! お母様が王位を取るわ!」


 セリナちゃんまで……。



「待って二人とも! そんな事しなくていいから! 滅多な事言わないで!?」


 流石のパティも慌てている。お祖母様は想像以上にパワルフな御仁だった。



「妖精王! 私が後ろ盾になる! 後の事は考えるな! 城を落とせ! 今すぐにだ!」


 えぇぇ……。



「落ち着いてください。お義祖母様。二人は望んでいません」


「関係ない! 国を取れ! でなければお前達の婚姻は認めんぞ!」


 あかん。完全にブチギレてる。もはや理屈の問題ではないようだ。



「お祖母様! お願いだから落ち着いて! ちゃんと説明するから!」


 とはいえ、やっぱり本当の事は言えないんだけども……。



「お母様。セリちゃん。私に一つ考えがあるの」


 よかった! デリアさんは冷静だ!



「決行は戴冠式典の日よ。効率良くいきましょう。パティちゃんが継ぐべき王位に汚点を残すわけにはいかないわ」


 あかん! 冷静にキレてただけだった!



「サマンタさんは!」


「(こくり)」


 なにその覚悟決めましたみたいな眼差し!? ダメだよ!? あなたこの家の良心でしょ!? 止めてくれなきゃ!?




「征くぞ! 我に続け!!」


「待ってってばぁ!!!」


 それからどうにかこうにか逸るバルデム家の面々を宥めて、ようやく話し合いの席に戻らせた。魔力装で。強引に。



「ふむ。これが妖精王の力か。指先一つ動かせん」


「手荒な真似を致しました。どうかご容赦を」


「惜しいな。覚悟さえ示したのならば両手を上げて我が孫娘達との関係も認めたのだが」


 だからって城落とせって言われてもなぁ……。



「それで? お前はどのような事情があって横暴を受け入れたのだ? 我が孫娘達から故国を奪うに足る理由があるなどと本気で考えているのか?」


 あかん。めっちゃ高感度下がってる。最初は良い感じだったのに。パティはもちろん、初めて会ったディアナにもメロメロだったのに。



「エリクは!」


「黙りなさい。私は今妖精王に問いかけているのだ」


 さてどうしたものかしら。



「なんだ? 口を開く事も出来ぬのか?」


 苛立ってるなぁ。また暴れ出すかもなぁ。



「全ては私の責任です。二人は私に巻き込まれたのです」


「ならば去ね。疾く消え失せろ。お前なんぞに我が孫娘は一人たりともやれはせん」


「お祖母様!!」


「♪」


 ちょっと? なんでディアナは嬉しそうなの?



「撤回させます。新たな王に我らを認めさせてご覧にいれます」


「それだけでは足りん」


「新王、ニコライをお祖母様の下に引きずり出しましょう」


「うむ。よいぞ。その二つが果たされたのならお前が我が一族に加わる事を認めよう」


 もしかしてバルデム家を継げって言ってる? もうデリアさんとセリナちゃんがいるでしょうに。



「ちょっとエリク! 何勝手に決めてるのよ!? あなたまさかまた!?」


「違う。私は私の意思で決めたのだ。答え合わせをする前に宣言してしまった事はすまない。謝罪する」


「そうよ! このタイミングで言い出したらまた流されたみたいになっちゃうじゃない!」


 だから悪かったってば。



「この国を出る時は私達の意思でだ。それを貫き通すと約束しよう。この誓いを以って私の覚悟を信じておくれ」


「なに一人でやるみたいに言ってるのよ! やるなら私達全員でよ! 当然でしょ!」


「ダメだ。今回限りだ。私に格好つけさせろ」


「まさか本気なの!?」


「うむ。今すぐだ。私は私の自由に振る舞おう。何人たりとも妖精王に指図は出来ぬのだと示すとしよう」


 これより王の下へと直接乗り込むとしよう。ニコライに決闘を挑むとしよう。ベルトランも纏めて相手をしてやる。あの男ならば否とは言うまい。どころか私が挑んでくるのを待っていたのやもしれん。今更ながらにそう思う。奴らにもスノウを預かるに足る覚悟を示してやらねばな。



「待て。どうせなら私も連れて行け。そんな楽しい見世物を見逃してなるものか」


「よろしいのですか?」


「なんだ? やはり自信が無いのか?」


「いいえ。良いでしょう。皆様にも証人となって頂きましょう」


「良い。良いぞ。見直したぞ! 妖精王!」


 それは何より。



「私も行くわ!」


 セリナちゃんはノリノリだ。



「私は遠慮しとく~」


 デリアさんは今度こそ冷静になったっぽい。或いは最初からふざけてノッていただけかも。この人は案外と底の読めない方だし。



「バカモノ! いったい何を聞いておったのだ!」


 けれどお祖母様的にはアウトらしい。



「お言葉ですがお母様。その子達が失敗すれば我々が動くより他は無いのです。私は兵の準備を進めましょう」


「そう言ってサボるつもりだろうが! お前の考える事は全て見通しておるわ!」


「我らが纏めて捕縛されれば民が困惑します」


 そうね。混乱の前に困惑するよね。意味わからんよね。いきなり領主一家が全員で城に乗り込んで捕縛されたとか。



「問答無用だ!」


「はい。承知いたしました。お母様」


 母は強し。……意味違うか。

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