06-30.許しの条件
「エリクもようやく動くのね♪」
「助けてくれるか?」
「う~ん♪ 今回は向こうにつかせてもらおうかしら♪」
「そこをなんとか」
「話は聞いてあげるわ♪」
かくかくしかじか。
「それだとまだ足りないわね~」
「何があれば良い?」
「それを考えるのはエリクの役目よ」
「助けておくれ、ディアナ」
「ユウコさんがいるじゃない♪」
「ゆーちゃんを頼ってしまったら誰も納得するまい」
「そう。そこは理解しているのね」
「私一人では立ち向かえんのだ」
「泣きつく相手に私を選んだ事も評価してあげましょう」
「私にはディアナしかおらんのだ」
「ユウコさんの前でそれを言う度胸は褒めて良いのか悩みどころね。我ながら甘すぎるとは思うけど」
「助けておくれ」
「他にも考えがあるなら聞いてあげるわ」
「……」
「何も思いつかない? なら私はこれで」
「待って!」
ゆーちゃん?
「私指輪を予約してきたの! 銀花に渡す指輪よ!」
「それで?」
「右手に付けさせるわ! それで認めて頂戴!」
「ゆーちゃん!?」
「ユウコさんは本当にそれでいいの?」
「私は……構わないわ。もちろん。私が求めているのはそういう関係じゃないもの」
「嘘ね」
「……」
「私わかってるもの。ユウコさんはユーシャと同じなんだって。エリクは寂しがり屋だもの。孤独な時側に居てくれた人にはとりわけ執着してしまうの。そんな重い想いを心で直接受け止めて尚側に寄り添い続けた人が妥協なんて出来る筈は無いって」
「……そうね」
「エリク。ユウコさんに免じて一つ条件を出してあげる」
「飲もう」
「せめて内容は聞きなさいな」
「いや。いい。その代わり」
「わかってる。今のユウコさんの提案はお断りするわ。少なくともそれを条件にするのは違うわね。結果として後からついてくる事ですもの。後はエリク次第よ」
「ありがとう」
「いいえ。それで私の条件だけどね。いつでもいいわ。私達の人生はきっと長いものになるって話だものね。そのどこかで二人きりの時間を頂戴。十年間よ。その間一切誰とも連絡を取れないようにしてね。私と二人きりで暮らすの。その間だけは私を全てにおいて一番にして頂戴。そう約束して」
「約束する。必ずその機会を設けよう」
「本当に出来るの? エリクにはとっても難しい事を言っているつもりよ?」
「ディアナが居てくれるのだろう? なら十分さ。一人で過ごした何百年もの月日に比べたら微々たるものだ」
「例外は無しよ? ユーシャともユウコさんとも一切会えないのよ?」
「それは……わかってる。頑張る」
「皆も説得するのよ? きっと同じ事を求められるのよ?」
「そうだな……。そうなるだろうなぁ……」
全員とかぁ……。三百年超えちゃうなぁ……。
「ふふ♪ ハーレムを増やすのも程々にね♪」
「流石に恒例行事にするのはなぁ……」
「なら今からこっそり始めてしまいましょうか♪ お姉様達に頼めばそういう空間も作れるのではないかしら♪」
「あの真っ白空間で十年も過ごすの? 流石にそれは……」
「内装はルベドお姉様にお願いしましょう♪」
ああ。あの箱庭空間との合せ技で。あかん。具体的になってきた。本当にこのまま始めかねんな……。
「どうせなら解禁されてからの方が良くないか?」
今はほら。キス止まりだし。卒業して諸々解禁されてからの方が、ね?
「そうね♪ その通りね♪ なら解禁直後よ♪ 卒業したらすぐ始めましょう♪ お姉様達にも頼んでおきましょう♪」
「ある程度こなれてからの方が……」
「気にする必要は無いわ。どうせユーシャ達とも潜るんだから♪」
「……いつでもいいって」
「善は急げよ♪」
騙された……。
「うふふ♪ エリクからの卒業祝いを楽しみにしてるわ♪」
「……心の準備もしておきます」
「結構よ♪ もう一つの方も宿題って事にしてあげるわ♪ これで二人も納得してくれるわね♪ 後は任せなさい♪」
え? もしかして説得までしてくれるの?
ディアナはそのまま走り去ってしまった。
「まるで懲役刑ね。いえ、この場合は禁固刑かしら」
どっちでも大差ないでしょ……この場合は……。
「十年間の奉仕と引き換えに全てを許してくれるそうよ♪ しかも執行猶予付き♪ 失効制度は無いみたいだけど♪」
「なんでそんな嬉しそうなのさ」
「もちろん私の番もあるわよね♪」
「せめて年一くらいに……」
「無理でしょ。皆待ち切れないもの。少なくともユーシャとパティと私、それに空間を用意してくれるルベドお姉ちゃんとフーちゃんもだから、最低でも六十年は確定ね♪」
「なに……そん……」
「まだまだ増えるかもしれないわよ♪」
勘弁してぇ……。
「ふふ♪ ディアナにしてやられたわね♪ 観念なさい♪」
「助けを求める相手間違えたかもしれない……」
「素直に私に頼んでおけばよかったわね♪」
「それはそれで……」
「なんでよ!?」




