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万能回復"薬"に転生しました!? ~ どうしても飲んでもらえないのでこの子(達)と生きていきます ~  作者: こみやし
06.王都編・最終章

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06-26.正妻会議

「由々しき問題よ」


「パティったら突然どうしたのかしら」


 私とユーシャだけをわざわざ呼び出すなんて。夜になるまで待っていられないみたい。



「エリクの事でしょ」


「そうよ! 見た!? あのエリクの顔!」


「まるで小さな子供みたい」


「そうよ! まさにそれなの! ユウコさんが少しでも他の人と触れ合うとまるで母親を取られた小さな子供みたいに悲しげな顔をするの!」


 たしかに最近のエリクはそんな顔をよくしている。聞く所によると泣き出してしまった事すらあるそうだ。そんなエリクを見られなかった事が残念でならない。



「可愛いものじゃない。それの何が問題なの?」


「これは明らかな執着よ! ともすればユーシャに対するもの以上に強烈な!」


「それはそうかもだけど方向性が違うんじゃないかしら」


 恋だとかとはまるで別の感情だ。あれは極端過ぎるだけのシスコンだ。小さな赤ちゃんとなんら変わらない。そう考えるとマザコンの方かもしれない。



「けど見過ごせない。少し度が過ぎてる」


「でしょ! ユーシャもそう思うわよね!」


 たしかに度は過ぎているけど、それはエリクの方だけだ。ユウコさんの方はそこまで不自然な感情は無いように思う。



「事情を考えればそれも仕方がないんじゃない? 焦らなくてもそのうちきっと落ち着くと思うわよ?」


「甘い!! ディアナは甘すぎるわ! ユウコさん側の事情を失念しているわ!!」


「ユウコさんの方だってそんな風には見えないわよ? エリクの気を引きたがっているのは間違いないけど」


 エリクに比べれば十分安定していると言えるだろう。つまり理性が働いているのだ。あのユウコさんがエリクの大切な家族を壊す筈が無い。現にあの人は私達にも友好的だ。どれだけ警戒されたって笑って流してくれている。エリクが人から好かれる事を心底喜んでくれている。むしろとても器の広い人だと思う。あの人がどれだけエリクに尽くしてくれたのかを考えればエリクのあの態度だって納得だ。エリクは心の底から感謝しているのだ。そんな相手に一方的な敵意を向けるなんて人として、恋人として間違っているだろう。



「二人とも正しいと思う。ユウコは明らかにエリクを支配したがってる。自分だけのものだって周りに示そうと必死になってる。独占欲が強いんだよ。愛だとか恋だとか家族愛だとかに関係なくね。文字通り自分の一部だと思ってるの」


 おかしいわね。ユーシャはいったい何を聞いていたのかしら? 私はそんな事言ってないわよ? ユーシャがそう思ってしまう事もわからなくは無いけども。何せ揺らぐ筈の無かった自分の立ち位置が脅かされているんだもの。必要以上に警戒心を抱いてしまうのは仕方のない事なのかも。けどだからって少し言い過ぎよね。いえ、正しくもあるんだけどね。少なくとも自分の一部だと思っているのは間違い無いわね。



「ならいっそ二人とも纏めて愛してみるのはどうかしら? 二人を別人だと思うから互いに混乱するのでしょう? 事実としてユウコさんもエリクの一部なんだから、先ずは私達がそれを認めてあげれば良いんじゃないかしら?」


「「……」」


 考え込んじゃった。



「私達はエリクの全てを愛している筈でしょう? エリクが二重人格だったからってエリクの一部を嫌いになる事が出来るの? そんな筈は無いでしょう? それでは全てと言えないものね。魂が二つ混ざっていたからってそれがなに? エリクはエリクでしょ? ユウコさんまで含めてエリクだって言うなら私達は受け入れられる筈でしょう?」


「……その考えはどうかと思うわ」


「……ユウコの人格を無視してる」


「そうではないわ。私はただ嫌う理由よりも好きになれる理由を探しましょうと言っているの。エリクとユウコさんを引き剥がす事なんて出来ないんだから受け入れた方が良いとは思わない? その為なら多少理論に無茶があったって気にする必要は無いでしょう? 結局は私達がどう思うかって話なんだから。後は受け入れるか拒絶するかの二つに一つよ」


「極論過ぎるわ」


「落とし所は他にもある筈」


「なら具体的に」


「「……」」


「ほら。やっぱり二人は気に入らないだけなのよ。ユウコさんがエリクを取って行ってしまうんじゃないかって不安なだけなの。そうやってユウコさんに八つ当たりしているだけなの。あの人は絶対そんな事しないわ。何よりエリクの幸せを一番に願っている人だもの。エリクが好きなものからエリクを遠ざけるつもりなんてないの。私はそう思うわ」


「……ディアナは忘れているのかしら? あの人は最初にこう言ったのよ。自分を一番にしろ。ユーシャを二番にしろ。私達は三番目だと」


「そうだよ。ディアナの言う通り遠ざけはしないだろうし、エリクと一緒になって私達の事も愛するつもりみたいだけど、それはそれとして自分の立ち位置も守ろうとする人だよ。それがエリクの意思に反していたとしてもね」


 まあ確かにパティとユーシャの言う通りでもある。あの人は誰より強い意思を持っている人だ。だからこそエリクを守り抜く事が出来たのだろう。そんな自分に相応しい報酬を用意しろと言いたくなる気持ちもよくわかる。だからって私達も引き下がるわけにはいかない。二番手に甘んじ続けるつもりはない。いつかは他の誰より私が一番だと認めさせるつもりだ。その障害になるかもと思う気持ちが無いでもない。



「けれどだからこそよ。私の提案は理に適っているとは思わない? あの人をエリクと同一と認識する事でレースから退場させられるのよ?」


「「ディアナ、えげつない」」


 そうかしら?



「本人も望んでいる事じゃない」


「違うわ。ユウコさんはそんな事望んでいないわ。だから別の身体を欲したのよ」


「そう。ユウコは名乗りを上げたの。私達を蹴散らして自分こそがエリクの隣に相応しいって宣言したの。私達に挑戦状を叩きつけてきたの。だから負けるわけにはいかないの」


 そうね~。そう言われてみるとそうなのかもね~。



「それで真っ向から立ち向かっちゃうの? 負けたらエリクの隣を譲ってしまうの? 勝者を出さない事も時には重要じゃないかしら? 勝者がいれば必ず敗者も生まれるのよ? 争いを避けるのってそんなに悪い事なのかしら?」


「相手を敗者にする事すら恐れてしまうなら良い手なのかもしれない。けれどディアナのそれは違うでしょ? 相手を見ていないだけじゃない?」


「そんなつもりは無いわ。私はユウコさんに感謝してるの。エリクを見守っていてくれた事に報いたいとも思ってる」


「それは見下しすぎだよ。甘く見すぎなんだよ。そんな余裕ぶってたらエリクを取られちゃうよ」


「そうよ。ユウコさんは根本の部分でのんびり屋なエリクとは違うの。あの人は長い生をただ漫然と過ごしてきたわけじゃない。殆ど人としての経験を積む事が出来なかったのに確かな老獪さも持ち合わせているの。甘く見てはダメよ。全力で立ち向かわなければ全てが彼女の思い描く通りになってしまうわ。その時私達の居場所が守られるとは限らないのよ」


 う~ん……二人の言う事もわかるけど……。



「それでもやっぱり二人は警戒しすぎだと思う。ユウコさんだってエリクの一部なんだもの。本人の言う通りユーシャには特別な想いだって抱いてる。ならきっと私とパティにだって同じなのよ。あの人は間違いなく私達を愛しているわ。だから決して邪険にはしないの。私はそう信じてる。エリクが真に心の底から私達を愛しているんだって事をね」


「「それは……」」


「きっと闘争には闘争に、愛には愛で応えてくれるわ。私達がユウコさんに対する警戒を解けば一番に拘る事も無くなる筈よ。きっと私達の提案を受け入れてくれるわ。むしろ喜んでくれると思うの。私達が彼女の事も一番に愛すると宣言するようなものだもの。けれど二人がそれを負けたと取ってしまうのなら戦いましょう。私は当然二人につくわ。三人であの人をエリクから遠ざけましょう。それから私達も誰が一番なのかを競いましょう。他の二人を遠ざけてでもエリクの一番を掴み取りましょう。ここで戦いを望むと言うなら最後まで戦い抜かなければならないものね。そうでなければユウコさんだって納得出来ない筈だもの」


「「……」」


 ふふ♪ 次はどうくるかしら♪ なんだか少し楽しくなってきたわね♪

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