06-22.賑やかな朝
なんとなくわかってきた。これはきっとマンネリだ。
「ぬぁんですってぇ?」
「一々怒らないでよ。それだけゆーちゃんの事が大好きって証拠じゃん」
「全然違うわよ! 銀花が言いたかったのはウェスターマーク効果の方でしょ! マンネリとは別物よ!」
あらそうなの?
「思えば随分と長く一緒に居たものね」
「そうだよ。心なんか繋がっていなくてもゆーちゃんはもう私の一部なんだよ。だからどれだけ口づけを交わしても安心感しか湧いてこないんだよ」
要するに家族と抱き合っているだけなのと同じなのだ。キスもそちら側にカテゴライズされちゃったのだ。これは私だけじゃなくゆーちゃんも同じみたいだ。
「けれどまだ触っていない所があるわ」
「ダメ」
「わかってるわよ。待つんでしょ。それくらいは足並み揃えてやるわよ」
「ありがと」
「どーいたしまして!」
ふふ♪
「……銀花はさ」
「なに?」
「これからどうするの?」
「どうするって?」
ゆーちゃんにもわからない私の予定ってなにさ。
「神を目指す? それとも人の王? 或いは」
「わかってるでしょ。興味ないよそんなの。私はただユーシャと、皆と一緒に居たいだけ」
「その為にも何か大きな目標が必要よ」
「……そうかもね」
私自身気になっていた事ではある。いつか皆が離れてしまうのではないかと。それこそ共に居る時間が長くなればマンネリ化して飽きてしまうかもしれない。だからモチベーション維持は大切だ。人が共に在り続けるのは意外と難しい。互いの努力が必要不可欠だ。そういう意味で共通の大きな目標を持つというのは理に適っている。
「何か考えてみなさい。私も一緒に考えるわ」
「ちなみにゆーちゃんは考えてあるの?」
「私の一押しは神ルートよ♪ お母さんがいつしょっぴかれても問題無いように備えておきましょう♪」
洒落にならないやつじゃん……。
「そもそも神になんてなれるの?」
「フーちゃんが懸念してたんだからいけるんじゃない?」
フーちゃんは……すっやすやだ。残念。聞けそうにない。
「可愛い寝顔ね♪」
「やっぱりゆーちゃんも好きなんじゃん」
「だからそう言ってるじゃない。私だってユーシャの成長を見守ってきたんだもの」
……。
「あらあら♪ ふふ♪ 別に取られやしないわよ♪」
「ゆーちゃんは私のママだもん……」
「おかしいわね。姉だった筈なのだけど」
「嫌なの?」
「まさかよ。そんな筈無いじゃない♪」
恋人ルートは程遠そう。
「銀花次第よ」
「私達は二人で一つでしょ」
「そうだったわね♪」
ゆーちゃんはすっかりキス魔になってしまったようだ。興奮はしなくても安心はするもんね。これはこれで悪くない。
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「……ゆーちゃん。……もう……朝……だよ」
「まだよ」
「ユーシャ達……来ちゃう……から……」
「見せつけてやりましょう」
「まっ……」
『いい加減にしてください!!!』
『ネルちゃんがキレた』
「な~に~も~……むにゃむにゃ……うるさいなぁ……」
『まったく! 一晩中ペチャペチャピチャピチャと!!! 私達がいる事忘れてるんですかぁ!?』
ずっと聞いてたんだ。ネル姉さん。
『聞くどころか見てたよ。こっそり。ネルちゃんのドキドキが伝わってきて私まで眠れなかった』
キトリも災難ね。
『なぁに他人事みたいに言ってるんですかぁ!!』
悪かったってば。許してネル姉さん。
『と言うか嫌ならユーシャの所にでも行けばよかったのに。ネルちゃんって実はむっつりだよね』
『はぁ!?』
あかん。キトリ。その辺で。
『ごめん、つい』
『ついじゃありませんよ!』
『あかん。こっちきた』
後は任せたキトリ。
『え~』
「二人とも! そこになおりなさい!!」
え~。
「二人って事は私はいいのかしら?」
「ユウコとギンカに決まっているでしょう!!」
『あ。そこ二人なんだ』
「キトリは後回しです!!」
『後は任せた』
「あ! こら!」
逃げたな。ネル姉さんもキトリを追いかけてどこかに行ってしまった。フーちゃんは一切気にせず二度寝を敢行中だ。
「ふふ♪ これで邪魔者が居なくなったわね♪」
「そんな言い方しないで。私達の姉さんだよ」
「次からはネルお姉ちゃんって呼んであげようかしら♪」
「それは良い考えだね。仲良くしてあげてね」
「今は銀花と仲良くしたい気分よ♪」
「もう十分したじゃん」
「もう少しで何か掴めそうなの♪ 付き合いなさい♪」
「ここまで来たら逆効果じゃっむぐ……」




