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05-48.夢のお告げ

「ふっふっふっふっふ♪」


「……フラン姉さん?」


「フーちゃんって呼んでね♪」


「フーちゃん」


「よくできました♪」


 ヨシヨシされてしまった。



「ここは? 私は……いったい……」


 私達はニタス姉さんを囲うようにして皆で眠りについた筈だ。こんな一面真っ白な空間に居た記憶は無い。これはもしや夢の中なのだろうか。或いはネル姉さんが以前私達を連れてきたのと同じ空間なのだろうか。



「夢の中で合ってる♪ っぜ♪」


 相変わらず軽い姉さんだ。何故かその身体までふわふわと浮いている。



「思うままだ♪ っぜ♪」


 なるほど。夢の中だものな。地に足が着いていなくたって別におかしな事は無いよな。



「それで、フーちゃん。もしかして居場所を教えてくれるのか?」


「必要ない♪ っぜ♪ ギンちゃんはもう知ってるんだ♪ っぜ♪」


 知っている? 私が?



「あのコンパスで見つけられるという意味か?」


「違うんだ♪ っぜ♪」


 そろそろ鬱陶しくなってきたかも。



「なっ!? まさか反抗期!?」


 ありゃ。そうか。私の考えた事も伝わってしまうのか。



「しくしく。フーちゃん仲良くしたかったん……」


「すまん、フーちゃん。ついうっかりだ。悪気は無かったのだ。私も仲良くしたいと思っているさ。と言うかもう我々は仲良しだ。うむ。間違いないな」


「ギンちゃん!!」


 良かった。感激してくれた。



「流石は私のギンちゃんだぜ♪」


 私の? いつの間に?



「うるうる」


 口に出てる。



「フーちゃんの妹だものな。うむ。間違いないな」


「ギンちゃん!!」


 チョロい。



「フーちゃんは私が知っている場所のどこかにいるのか?」


「そうだよ~♪」


 そうなの? 全然心当たり無いんだけど。取り敢えずコンパス持って巡ってみるか。



「がんばれ~って応援してたん♪」


「いつ?」


「ずっと!」


 わからん。



「ユーシャも知っている場所か?」


「うん! ユーちゃんも知ってる!」


「パティが知っている場所か?」


「う~ん!」


 どっち?



「パッつぁんは聞いただけ!」


 パッつぁん? パティの事だよね? もう少し可愛くならない?



「パッちゃん!」


 まあいいか。それで。


 えっと、パティには私達から話したのだな? とすると実際に行ったことがあるのは私とユーシャだけか。とは言え絞り込むのは難しそうだ。なんだかんだと私とユーシャは二人きりで十年近くも放浪していたからな。その間の事もパティやディアナには既に随分と語って聞かせている筈だし。



「もう少しヒントは無いのか?」


「本当に思い出せないの?」


 あかん。泣きそうな顔になっちゃった。



「まあなんとかなるだろう」


「信じてるぜ♪」


 素直に話してくれたら簡単なのに。



「最後の試練だぜ♪」


「最後? まだマグナ姉さんも見つかっておらんぞ?」


「マグちゃんはあれさ♪ そのうち帰って来るよきっと♪」


 安定のふわっふわだ。



「けどまだルベドが話してくれてない事だってあるのだ」


「もう必要ないさ♪」


 そうかもだけど。どのみち女神様の真意は探らなきゃいけないんだし。



「フーちゃんは女神様を信じているのか?」


「フーちゃんを封じたのはママなの」


 え? 封じた? 二千年前のあの時か? ルベドに助太刀するのを嫌がったのか?



「でもママもいっぱい頑張ってる。フーちゃん知ってるよ」


 少なくとも悪意を以って私達を虐げているわけではないのだな。



「ふふ♪ ギンちゃんは良い子だね♪」


 またヨシヨシされてしまった。



「じゃそういう事で♪ 待ってるぜ♪ ギンちゃん♪」


 フーちゃんのそんな言葉を最後に急激に意識が薄れていった。止める間も無かったなぁ……。もう少しヒントが欲しかったのだけ……ど……。




----------------------




「何か夢を見た気がする……」


 あかん。忘れちゃいけない系だった筈なのに。


『お任せを』


 ルベドが私の記憶を掘り起こしてくれるようだ。便利。



『ギンカ』


 ルベドが夢の内容を語って聞かせてくれた。



「フラン姉さんが?」


『フーちゃんと呼べと言っていました』


 そこ重要?



「結局フーちゃんはどこにいるのだ?」


『ギンカが知っていると。ただそれだけ』


 う~ん……。



「取り敢えずソラに乗って探しに行こうか」


 ユーシャにも付いてきてもらおう。パティ達、特にリタにはバレる前に出かけるとしよう。皆付いてくるって言い出すと面倒だし。今ならまだ気付かれる前に出られる筈だ。日の出前だし寝てる筈だ。



「私も行こう」


「おはよう、ニタス姉さん」


「うむ。おはよう。お主がギンカだな。色々と感謝する」


「気にするな。私達は姉妹だ」


「そうか。うむ」


 なんか違和感。



「ニタス姉さんはもう平気なのか?」


「うむ。問題ない」


『二人が話してると堅苦しいね』


『これはルベド姉さんが嫌がるわけですね』


『……そんなんじゃありません』


 あら。二人も入ってきたのね。



「私だけ仲間外れか?」


 ちょっとムッとしてる? ニタス姉さんも仲間に入れてほしかった?



「ルベド。案内してあげて」


『必要ありません。ギンカが許可を出せばニタスは自分で入ってこれます』


「どうぞニタス姉さん」


『うむ』


 早い。返事が内側から聞こえたんだけど。


『まずかったか?』


 いえ別に。


『そうか』


 本当に気にしないでね。どうぞ好きなだけ居てください。


『うむ。中々居心地が良いぞ』


 お気に召して頂けて何より。


 さて。出発するか。ああ。そう言えば昨晩はディアナも一緒に寝ていたのだったな。このまま黙って居なくなっては怒るだろうな。



「私も行くわ」


 あ、はい。起きてたのね。……しかたない。パティも連れて行ってやるか。ユーシャとディアナだけってわけにもいかんだろうし。

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