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01-30.人体実験・続

「もう一度よ」


「やらんわ!」


 まさかハマったのか!?



「何を勘違いしているの?

 別にあのむず痒さが快感になってるとかじゃないわよ?」


 何だその説明口調は!?



「だったらなんだと言うのだ!」


「言ったはずよ。

 エリクは自分の出来る事を正確に知る必要があるの。

 決闘の最後、何故メアリを捕まえようとしたの?魔力を流し込んでいれば勝てたかもしれないのよ?あなたは何故そうしなかったの?自分の力を正確に把握していないからでしょう?だからこれは必要な事なのよ。ディアナを救い、ユーシャを守ると言うのなら、まずは自分が出来る事を知りなさい」


 ぐぬ……確かにパティの言う通りだ……。

しかし……。



「本気でそう思うなら、先ずはそのニヤけ面をどうにかせんか」


「あら、失礼。でも仕方ないの。

 エリクに乱暴されるのって、中々どうして悪くないんだもの」


「人聞きの悪いことを言うな!!」


 やはりハマっているではないか!



「エリク。私にも」


「わかった、わかった。

 魔力を流せばよいのだろう。

 やってやるとも。覚悟を決めよう」


 自ら実験台になると申し出ているのだ。

この二人を使って色々試してみるとしよう。



「エリク様。どうぞ私もお使い下さい。

 サンプルは多い方がよろしいかと」


 なんだ?メイド長までハマったのか?



「もうよい。止めはせん。

 三人ともそこに並んで座れ。

 倒れられても困るでな」


「うふふ♪

 次は何をしてくれるのかしら♪」


「前と同じだ。

 先ずは確認だ。今できる事を正確に知る。

 それが第一なのであろう?」


「新しい事にもガンガン挑戦していくべきだわ。

 私の体もエリクの好きにして良いのよ♪」


「ダメ。するなら私にして」


「はぁ……。

 先ずは全員右腕だ。

 抵抗せずに受け入れよ」


 私は三人の右腕に魔力を流し込んだ。

相変わらずユーシャは特に反応を示さなかった。


 そして今回はメイド長もだ。

少なくとも私の目では、何の反応も見出せなかった。

逆にパティだけは明確に怯み、今も落ち着かない様子だ。



「メイド長。

 なんとも無いのか?」


「多少はマシになりましたが、依然として違和感は存在します」


 なるほど。根性で耐えているだけか。

一度経験した上、来るとわかっていた事だから耐えられたのだろう。メイド長だし。



「パティはどうだ?」


「さっきと大差無いわ。やっぱり落ち着かないわね。

 まるで腕の中でイモムシが這いずり回ってるみたい」


「何故それで喜んでいるのだ?」


「これがエリクだとわかるからよ」


 矛盾していないか?

私はイモムシだと思われているのか?

まさか私が何か誤解しているのか?

パティはイモムシが好きなのか?



「冗談よ。そんな顔しないで。

 これも言ったでしょ。

 私は魔導を追い求める者よ。

 その手がかりがこうして流れ込んできたのだもの。

 嬉しくて堪らないに決まってるでしょ」


 うむ……。

少しばかり疑い過ぎたようだ。

パティも真剣なのだろう。

自らの夢の為に。そしてディアナの為に。



「すまぬ。次にいこう。

 今度は私が腕を操る。

 全員腕を前に出して、抵抗せずに受け入れてくれ」


 先ずはパティだ。待ち切れない様子だしな。

最初はゆっくりと肘を曲げ伸ばしするように動かそう。



「あはは♪

 私の腕が勝手に動いてるわ♪」


「パティ、その状態から動きを止める事は出来るか?」


「えっと……こうかしら?」


 パティの腕はピタリと動きを止めた。

どころか、パティの腕に流し込んでいたはずの魔力までもがあっさりとはじき出されてしまった。



「ありゃりゃ。

 随分と脆いのね」


「次はお主の番だ」


「どうぞ」


 同様にメイド長の腕も動かしてみる。



「止めてみてくれ」


「はい」


 メイド長の腕もピタリと止まった。

魔力が段々と抜け出ていくのも感じる。

しかし、パティの時程の急激な抜け方はしないようだ。



「最後、ユーシャ」


「うん!」


 三度繰り返す。



「止めてみろ」


「うん!……ん?うんん?」


 ユーシャの腕はまったく動きを止める様子はない。

私の意のままに動き続けている。


 パティやメイド長には、抵抗力のようなものが存在するのだろうか?

だとするなら、ユーシャは魔力に対する抵抗力が一切存在しないようだ。私はユーシャの体をこの人形と同じように動かす事すら出来るのだろう。しかもこれは前回のような外側に纏わせて無理やり動かすのとも違う。まるで私自身の腕のように自然な感覚だ


 もしや今の状態ならば触覚も存在しているのでは?

試しにユーシャの右手でパティの頬に触れてみた。



「いやん♪積極的ぃ♪」


「何もせんぞ。これも実験だ」


「何が知りたかったの?」


「パティの体温だ」


「エリク!」


「違う。誤解だ、ユーシャ。

 一々怒るでない」


「触覚が無いって話だったものね。

 どう?私は温かい?」


「ああ。伝わっているとも。

 頬の柔らかさもな。抓んでいいか?」


「どうぞ~♪」


 ふにふに。ぷにぷに。つやすべ。

何この肌。これがロイヤルたまご肌なの?

流石姫。



「何時までやってるの!」


「すまん。つい」


「ふふ♪いくらでも続けて良いのよ~♪」


「いや、もう十分だ。検証は済んだ」


「ざ~んねん♪」


 相変わらず全然残念そうではない。

だがこれ以上はダメだ。

どうせ感触を感じられるなら、ユーシャのものを感じたい。



「パティ、抵抗力を下げられんか?

 私はユーシャを抱きしめたい。

 体を貸してくれ」


「エリク!?」


「あらあら♪ふふふ♪熱烈ね♪

 良いわ♪調べてみましょう♪」

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