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05-11.五年ぶりの帰省

「オ~。コレは尋問デェ~スカ~」


「勘違いするな。私達はロロの味方だ。真実がどうであろうともな」


「ソウデェスネ~♪ 勿論疑ッテナンカイマセ~ンヨ♪」


 本当?



「大体ハニィ~の考エドーリデェ~ス。タダ、一ツ訂正を。エフィは知ラナイダケデェ~ス。悪気はアリマセ~ン」


「そうか。うむ。勿論誤解はせんとも。ロロの妹だ」


「アリガ~トゴザイマ~ス♪」


「うむ。それで解決手段についてなのだがな」


「帰リマス。モシ状況が悪化シテルナラ知ル必要アリマス」


「話しが早くて助かる」


 ネル姉さんに頼んで転移門を開いてもらうとしよ、あれ?


 ルベド?


『……なにか?』


 ありがとう。


『……はい』



「これもう向こうに繋がってるのよね?」


「うむ。今ならご家族もご在宅だろう。では行くとしよう」


 私、ロロ、パティの三人で転移門をくぐると、そこはロロの部屋だった。当然ロロの実家部屋なんか見た事は無かったが、明らかにロロの部屋とわかる要素があちらこちらから見て取れる。なんなら殆ど今の部屋とも変わらない。強いて違う所を上げるとすれば今のロロの部屋より片付いているところくらいか。ロロが不在の間も欠かさず手入れしてくれていたのだろう。



「コチラデス」


「今更だけどロロ先輩の服装それでよかったの?」


 いつも通りのビキニとホットパンツだ。見慣れすぎて違和感無かったけれど、流石にご両親腰抜かしちゃうんじゃなかろうか。私とした事が気が利かんかったな。アウルムでもロロの服は持っていない筈だ。当然この部屋にあるものではサイズも合わんだろう。私の服で着れるやつを探してみるか。



「心配無用デェ~ス。行キマスヨ~」


 ロロはパティの言葉を気にした様子も無く部屋の出口へと向かい始めた。数年ぶりの実家だと言うのに感慨深いものなんかは無いのだろうか。



「アマリ見ナイデクダサイ。二人に見ラレルのは気恥ズカシイデェ~ス」


 なるほど。照れていたのか。そう言えば向こうでもロロが部屋に入れてくれたのは数える程だったな。そもそも自分の部屋を誰かに見せる事自体好まないのかもしれない。実家の部屋って更に輪をかけて見せづらいのかも。普段の服装はあんなだしキスとかも平然としてくるけど、一応羞恥心とかはあったんだな。



「ナンダカ失礼な事考エテマ~スネ?」


「いや。ロロにも可愛いところがあるのだなと」


「今マデ可愛ク無カッタンデス?」


「勿論そんな事は無い。ロロは何時だって可愛いさ。私にとってはな」


「エヘヘ~♪ ハニィは素直デェ~スネ♪」


 今は抱きついてこんのだな。一応実家だからだろうか。



「今度コソ行キマ~スヨ~♪」


 少し機嫌が良くなったようだ。と言うか実は緊張していたのだろう。学園には一年生から通っていたそうだし、両親と会うのは十二歳の時から実に五年ぶりだ。ロロにも色々と思うところはあるのだろう。当然だな。


 私とパティはロロの手を握って歩き出した。ロロからもしっかりと握りしめ返してくれた。足取りも何時もの自信を取り戻したようだ。迷うこと無く両親がいるであろう部屋に向かって歩き出した。



「ここは城の中だったのだな」


「パティのトコと比ベタらトッテモ小サイデェ~ス」


 それに人も少ないな。と言うか誰ともすれ違っていない。少し不思議な気分だ。寂しげというより静謐と呼ぶべきかもしれない。悪くない。



「歴史を感じる作りね。とても興味深いわ」


 作り自体は古そうだが掃除は行き届いている。今は休んでいるだけで住んでいる者達もある程度は存在するようだ。



「いずれ機会があればゆっくり見学でもさせてもらいたいものだな」


「ソノ時は案内シマ~ス」


「私も見たいわ!」


「勿論デェ~ス♪」


「ありがとう♪ ロロ先輩♪」


 パティもこういう雰囲気が好きなのだな。ふふ♪




----------------------




「お久しゅうございます。お父様。お母様」


「「シャーロット!!」」


 あれ? ロロが普通に話してる?



「驚いたぞ! 何時の間に!? 息災か!? ここまで一人で帰ってきたのか!? 疲れておらんか!? 腹は減っておるか!? 先ずは飯と風呂だな! シンディー! 来ておくれ! 一大事だ! すぐに宴の用意を!」


 あれ? 私達に気付いてない? と言うかお父上の言葉がわかる? なんで?



「落ち着きなさい」


 暴走しかけたお父上をお母上が引き剥がした。



「おかえりなさい。シャーロット。ふふ♪ すっかり大きくなったのね♪」


 今度はお母上がロロを抱きしめた。ロロも今では自らより小さくなったお母上を力強く抱きしめ返した。



「お二人の事も紹介してくれる?」


 よかった。お母上は普通に気付いてくれてた。お父上は興奮のあまりロロしか視界に映らなかったらしい。


 しかし凄いな。一切迷う素振りが無かった。十二歳と十七歳って結構違うだろうに。流石は両親だ。



「こちらは妖精王エリク様。そしてもう一人はカルモナド王家第十八王女、パトリシア様でございます」


 相変わらずロロの喋り方が全然違う。どういうこっちゃ。


『ギンカは妙な勘違いをしていますね。この世界の言語は一つだけです。二千年前に創造主様がそう定めました』


 え?


『ロロの言葉にはこの地に古くから伝わる言語特有の訛が見受けられます。つまり逆なのです。ロロは連邦の文化に染まっているのではなくこの地の文化を大切にしていたのです。ギンカは思い込みで取り違えたのです』


 え? そうだったの? ならベルトランのアロハも?


『でしょうね。どのようにして伝わったのかまでは知りませんが』


 ルベドは引き籠もってたもんね。そして今は私の中に♪


『勘違いしないでください。ギンカを喜ばせる為ではありません。貴方を見定める為に取り憑いたのです。ネルとは違います』


 わかってる。しっかり見ていて。絶対に気に入られてみせるから♪


『……努力は認めます』


 ありがと♪



 ともかくロロは今必死に取り繕っているのだろう。ご両親を少しでも安心させる為に。なら私も細かい事は後で考えよう。



「これはこれは。遠路遥々ようこそいらっしゃいました」


 お父上がいきなり落ち着いた様子でこちらに向き直った。



「お出迎えも出来ず申し訳ない。なにぶん見ての通りの有り様でして。どうかご容赦頂けますと幸いです」


 ああ。これは警戒モードだ。娘の連れてきた客人だからと手放しで迎え入れるつもりは無いらしい。それも当然か。こんな時間にそれもいきなり城内に、どこぞの王と隣でブイブイ言わせてる強国の姫様が乗り込んできたのだ。しかも城の入り口にいるであろう見張り役達に一言も無く。



「夜分に突然申し訳ございません。我々はユーフェミア嬢とルーテシアから話を聞いて参りました。シャーロット嬢の件で一度お話をさせて頂ければと」


「あの娘達が旅立ってからまだそう時間は経っていない。話を聞いてからこちらにいらしたのでは計算が合わない」


 あかん。警戒心が高まってる。二人の名前を出せば信用してくれるかと安易に考えてしまった。



「ですので特殊な移動方法を用いました。ご無礼かとは存じますが、直接お嬢様の部屋まで飛ん来させて頂きました」


「っ」


「ありがとうございます。ヨウセイ王様」


 まだ何かを続けようとしたお父上を制して、今度はお母上が前に出た。



「どうぞこちらへ。お話を聞かせてくださいませ」


 一先ず話しは進められそうだ。

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