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05-08.恋バナ

「えっと……。つまりルシアとエフィは恋仲なのだな?」


「あはは♪ 実はそうなんだよ♪」


 それで乗り込んできたわけか。ロロを捕まえる為に。研究所の見学は口実に過ぎんのだろうか。それとも一応魔導にも興味があるのだろうか。



 にしてもだ。私達が言えたことじゃないけど大丈夫か? 王族がそんなホイホイ同性同士でくっついちゃって。国滅びない? もしや、だからあの陛下は頑張ったのか? 沢山子供作ったのは元々同性同士でくっつく人達が多いからとか言わないよね? 無いか。流石に。


 ともかくロロを連れ戻さないとエフィが代わりに嫁がされてしまうわけだな。既にヴァイス王国は連邦国に取り込まれているが、それでもかつての王家として相応しい家柄を保持しているのだろう。そして政略結婚なんかもまだまだ健在なわけだ。



「いいわ! その悩み! 私達が解決しましょう!」


 え? ロロ突き出すの?



「私達が二人をくっつけてみせるわ!」


 何言ってるの?



「安心して! 私達なら実績豊富よ! 何を隠そう私達も同じだから!」


 何も隠れてないと思う。まあ、私の事は男性だと思われている筈だけど。


 だいたい実績豊富と宣うのは過言だろうに。そもそも私達だって未だ条件は達成されたわけじゃない。ディアナは無事首席に相応しい成績を掴み取ったが、このまま卒業までトップ成績を維持できなければ意味がない。どうせパティはイネスの件を言っているのだろうけど。


 そう言えば身代わりの件はどうなったのだろう? 無事に第三王子を納得させられたのだろうか。まだニアの方にも報告が上がっておらんのだよな。まあ問題があれば何か言ってくるだろうけど。便りが無いのは無事な証拠ってやつだな。きっと。たぶん。



「ありがとうパティ。実はあわよくばと思っていたんだ♪」


 留学から帰ったばかりのお姫様にも我々の状況は伝わっていたようだ。警告でもされたのかもしれん。さもありなん。


 と言うかそれって、まさか私の悪評を利用しようとしてるってこと? 妖精王のお手付きになれば他の誰かからちょっかい掛けられなくなるとか思ってる?



「そもそも貴方がたが姉さんを誑かしたのが原因ではありませんか」


 マッチポンプである事は否定せんがな。



「ダメだよ。エフィ。私達の方こそ都合を押し付けようとしているんだ。それにロロさんは私のお義姉さんになるんだからね。喧嘩腰ではいけないよ。家族には祝福されたいじゃないか。きっと彼女たちは良き理解者となってくれるよ」


「うっ……はい……あなたがそう言うなら……我慢します」


「ふふ♪ 良い子だね♪」


 なんというか……わかりやすい関係だな。この二人。



「先ずは話を聞かせて♪ 二人の馴れ初めから♪」


「今それは関係無いだろうが」


「何言ってるのよ! あるに決まってるじゃない!」


 えぇ……。



「そうだね。先ずはそこから話すべきだね」


「良いでしょう。聞かせて差し上げます」


 なんでぇ……。




----------------------




 恋バナがしたかっただけなのだ。結局のところ。


 この娘達はきっと誰にも明かせずにいたのだろう。実に健全だ。うちとは大違いだな。ここまであけっぴろげに広まっているのはうちくらいだろう。王家との対立など仕方の無かった部分もあるのだけど。


 結局研究所の見学なんぞ始まらんまま、その日は二人とも屋敷に泊まっていく事になった。あの娘達はベットに入っても今度はディアナ達も含めて皆で恋バナを続けていた。



『ギンカは参加しないのですか?』


「性に合わんのだ。むず痒くなる」


『少しくらい付き合ってあげればいいのに』


「姉さんには言われたくないな」


 自分だって避難してきたくせに。



『違いますぅ~。お姉ちゃんはギンカが寂しいと思って心配してあげただけですぅ~』


 はいはい。気遣いありがとう。姉さん。



『わかれば良いのです♪』


「そうだ。姉さん。この際だから色々聞いておきたいのだ」


『どうぞ~♪ こちらもこちらで楽しむと致しましょう♪』


 やっぱ逃げてきたんじゃん。



『意地悪言うなら答えませんよ?』


「冗談だ。それでだ。先ずは聖教国の件なのだがな。かの国は何を信仰しているのだ?」


『そこに気付きましたか』


「ルベドの記憶でな」


『ああ……。そうですね。ならばお答えしましょう』


 私は今何らかの条件でも満たしたのだろうか。



『現在聖教国が信仰しているのは「アーエル」と言う名の神です』


「アーエル? 女神様以外にもこの世界に神がいるのか?」


『いいえ。アーエルという名の神は存在しません』


 存在しない?



「つまり女神様がでっちあげたのか?」


『ええ。そういう事です。正確には偽名に近い扱いとも言えますが』


「たしか聖教会も女神様の神器を集めているのだったな」


 ロロが所属していたのは聖教国由来の組織だったらしい。そんな話をベルトランから聞いている。そしてロロも彼らが神器を集めていた事を証言していた。



『結局は同じなのです。主様は自らの名前だけをこの地上から消し去ったのです』


 そうか。ルベドが言っていたのはそういう事だったのか。確かにそれなら女神様がエーテルシリーズなんて名前を付ける筈が無いな。むしろネル姉さんは何故そんな名前を?


『かつてのルベド姉さんと同じです。私も主様の名を忘れられたくないのです』


「だが女神様本人が望んでおらんのだろう? 下手に広めてしまえばエルメラの二の舞いとなるのではないか?」


『広めはしません。私達が勝手に名乗るだけです』


 ああ。別に第三者に向かってエーテルシリーズだなんて名乗る事は無いものな。家族内で使うに留めるつもりなのか。


 相変わらずネル姉さんは言葉が足りんな。そういう腹積もりは先に伝えておいてもらわないと。まあ多少外で漏らした所でそうそう問題にはならんのだろうけど。あくまで意図的に広めようとしない限りは。



「しかし気を付けるべきだな」


『ギンカも疑うのですか?』


「念の為だ。女神様の真意がわからん。本当に何か世界を脅かすような問題があるのかもしれん」


『……そうですね。程々にしておきます』


 やめるつもりは無いのだな。まあ本当にマズイなら女神様かルベドがもう少し何か言ってくるだろう。あくまでルベドは女神様の名を名乗る事が嫌だってだけだろうし。ルベドお姉ちゃんは複雑なのだ。色々と。



『会いに行きましょう』


「会ってくれるだろうか」


『心配は要りません。私も無策で付き纏っていたわけではないのです』


 付き纏っていた自覚はあるのだな……。

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