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04-63.ショッピング

「昨夜はお楽しみだったみたいね」


 おい待て何故知っている。



「あら。本当みたい」


 しまった!? カマかけか!?



「エリクは意思が弱いから」


 くっ! なんだその優しげな視線は! なんだその寛容さは!



「それより先ずは朝食だ。ジュリちゃんが首を長くして待っておるぞ」


「「「は~い♪」」」


 早速朝食を済ませ、こちらに来た王都組全員でジュリちゃんの店に向かった。



「あら♪ いらっしゃい♪ 本当に大勢なのね♪」


 何人かはジュリちゃんの迫力に気圧されながらも、一通り挨拶を済ませ、早速指輪作りの話しが始まった。



「と言う訳なのだが……」


「何よエリクちゃん。ユーシャちゃん達に話していなかったの?」


 タイミングが無かったのだ……。



「別のを付けるって言うなら構わないわ」


 パティとディアナは案外と軽く許可してくれた。私達四人だけの領域を侵害しなければ後はお好きにといった感じだ。



「別の指につけて。それが条件」


 大概の事は許す方針に切り替えたユーシャだったが、指輪に関してはパティ達以上に強い拘りを示した。



「わかった。なら右手につけよう」


「それならいい」


「それって私達も?」


「うん。そうして」


「むぅ……ユーシャお姉様は横暴ですぅ……」


 口出さんとこ……。



「クーちゃん様からも何とか言ってください」


 くっ……逃げられなかった……。



「……まあ、あれだ。今回のは婚約指輪だからな。そう拘らんでも良かろう」


「つまり精進しろという事ですね! わかりました! 結婚指輪を頂くまでには本妻にして頂けるよう精進致します!」


 前向きだなぁ~。



「エリクちゃんはそうやって流されてきたのね」


 あかん。またジュリちゃんの視線が……。



「早速打ち合わせを始めましょう」


 諸々察したパティがジュリちゃんに声をかけてくれた。ありがとうパティ。流石私のパティだ。本当に何時も助かってます。まあパティもハーレムの片棒を担いでいるのは間違いないからアレだけども。間違いなく半分はパティが集めてきたメンバーだもの。私達は二人揃ってハーレムの主なのだ。



「ところで何故メアリはそんな隅っこに?」


「っ!?」


「やめたげなさいよ。大丈夫よ。心配しなくてもメアリの分だって作るわ」


「あらあら♪ まあまあ♪」


「っ!!」


 なるへそ。ジュリちゃんに誂われるのが嫌だったのか。ごめん。メアリ。悪気は無かったんだ。ちょっと忘れてた。




----------------------




 指輪の打ち合わせが終わった後は、私の身体についての話題になった。



「驚いたわ」


 一通りの身体検査を行い、私の腕を手にとって調べていたジュリちゃんが言葉を漏らした。



「ねえ、エリク。何時からこうだったの?」


 パティまで首を傾げている。無理もない。


 先日つけたタマラの腕は元々あった方の腕とまったく同じ形状に変化していた。元は別人の腕だ。当然最初は指の長さとか細かい部分が違っていたのだが、今はその差が見つからない。私の腕として違和感無く馴染んでいる。



「姉さんがやってくれたのか?」


「いいえ。私はただ馴染ませただけです。変化はその後にゆっくりと続いていたのでしょう」


 なら私の魔力が原因だろうか。タマラの腕を材料として私本来の腕を回復させたのかもしれん。



「エリクちゃんの身体はもう切り開けないわね」


「そうね。流石にこれはね。逆にメンテナンスの必要もないって事よね。興味深い現象だけどエリク以外でこんな事にはならないでしょうから検証に意味があるかは疑問よね」


 もしかして私の身体以外にもキメラ人形作ってみようとか考えてる?



「エリクの身体の件はこれくらいにしておきましょう。また何か分かったら次来た時にでも伝えるわ」


「ええ。よろしくね。パティちゃん」


 何やらパティとジュリちゃんの間では通じ合うものがあったようだ。技術屋として気になるのかしら。



「それじゃあ最後に鍵の件よ。少し長くなるかもだからエリクは皆を連れて先に帰っていてくれるかしら?」


「私もか?」


 ジュリちゃんとパティとネル姉さんだけで話すの? そのメンバーで大丈夫? 姉さんまだパティの事許してないっぽいよ?



「護衛とお目付け役は必要でしょ」


「ソラとディアナがおるだろ」


 ファムだってそこらの暴漢に遅れを取る事はあり得まい。まだちょっと機嫌の悪そうなメアリだって誰より頼りになるのだ。なんなら完全な非戦闘員なんてディアナとイネスくらいだ。この娘達だけで帰ったってそうそう問題にはならんだろう。



「いいから。皆のことよろしくね」


 なんだろう。取り敢えずここで教えてくれるつもりは無いらしい。仕方ない。言う通りにするとしよう。



「ではなジュリちゃん」


「ええ♪ またね♪ エリクちゃん♪」


「待って! その前に!」


 リリィが何か買いたい物があるようだ。……いや、リリィだけじゃなかった。シュテルとイネスとマーちゃんも何かを手にしている。



「うふふ♪ まいど♪」


 私も何か買ってみよう。ジュリちゃんには何時も世話になっているからな。それに今は資金も潤沢だ。いっそ何か変わった売れ残り、もとい掘り出し物が無いか聞いてみよう。ジュリちゃんは趣味に走り過ぎて店頭に並べられない商品とかも抱えているからな。何か面白いものがあるかもしれん。

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