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04-23.魔王vs勇者③

「それにしても酷い絵面だよね。ボクあの人と上手くやっていける気がしないよ」


「んな呑気なぁ。これマズいんちゃうの?」


「そうね。マズいわね。いくら何でも泥仕合が過ぎるわ。これじゃあギルドだって納得しないわよ」


「パティ。アカネちゃんが言ったのはそういう意味ではありませんよ。それはそうと、そろそろお姉ちゃんも我慢の限界です。邪魔してきても良いですか?」


「良いわけ無いでしょ。レティお姉様。もう暫く我慢して見守っていましょう」


「ディア姉は心配じゃないの?」


「リリィ。ディアナが心配してないわけないよ。けどそれ以上に私達はエリクの事を信じてるの。エリクは必ず勝つよ」


「ユーシャお姉様も流石の信頼ですね♪ 正妻とは斯くあるべしなのですね♪ かく言う私もクーちゃん様の勝利を疑ってなどおりません♪」


「私ダッテ疑ッテマセ~ン。ソシテ私もハニィと同ジク絶対に諦メタリシマセ~ン。正妻の座は必ズ貰イ受ケマ~ス♪」


「ダメですよ。ロロ。私達は主様の所有物です。分を弁えてください」


「ミカゲが言うの? それ」


「スノウも大概では? 何時までも椅子と言い張って独占するのは如何なものかと」


「メアリさんも最近……いえ、何でもないです」


『どいつもこいつもたかが人間の分際で。主様は我の主様なのに』


「めっ! まぁましゅき! みーな!」


『っ!?』


「なんでこの飛竜娘は赤ん坊相手にビビってるのかしら?」


「気にしないで。姉様。ソラはシュテルが苦手なの」


「そう。まあいいわ。それより策を考えましょう。知恵を貸してパティ」


「ふふ♪ ジェシー姉様も心配で堪らないのね♪」


「……」


「冗談だってば♪ そんな顔しないで♪」


「ぷーくすくす♪ ジェシーちゃんったら素直じゃないですね♪」


「わざわざこっちの席に参加してるくらいだもんね。本当はクーちゃんの事が気になって仕方ないんだよね」


「貴方達……。いい加減にしなさい」


「ジェシーちゃんはもっと心に正直になるべきですね」


「あいつが歪めたんじゃない!」


「ほら喧嘩しないで姉様。レティもダメよ。ジェシー姉様が余計拗らせたらどうするのよ。今はそんな事してる場合じゃないでしょ。どの道この状況は変えなきゃなんだから。下手をするとこのまま何日もサンドバック状態が続くわよ」


「そうだね。パトちゃんの言う通りだ。こんなんじゃギルドが素直に納得しないよ。わざわざ人を集めた意味が無くなっちゃう。やっぱりクーちゃんも余裕が無いのかな? 気付いていないって事は無いと思うんだけど。まだ硬直状態に持ち込むのは早いよね。それとも他に何か考えがあるのかな?」


「余裕が無いだけだと思うわよ。それにエリクってあれで結構短絡的だし。記憶力は良いのに何でか抜けちゃうのよね」


「そこはほら。クーちゃんはストレートだから。良くも悪くも」


「そうね。開き直るのが早いのよね。一つの手段に拘って足掻き続けるより、開き直って別の道を見つける方が良いって考えなのよね。その切替の速さは強みにも弱みにもなるわ」


「今回は間違いなく悪手だよ。格上相手には持久戦じゃなくて短期決戦こそが最良だ。自分から持久戦を仕掛けるなんて愚策だよ。まだ相手の手の内だって判明してないんだから」


「でもそれも仕方無いのよね。エリクの力は元々守る事に特化しすぎているもの」


「ならボク達で攻略の糸口を見つけてあげないとだね。クーちゃんが時間を稼いでくれている間に倒し方を考えないと。そんな風に考えよう。クーちゃんを見習ってね」


「そうね。けどそんな方法あるのかしら。あれきっと支配も通じてないわよね。エリク魔力流すのやめちゃったし」


「先程も見ていた限り魔力が追従しきれていませんでした。強引に振り払うとか意味がわかりません」


「凄いねティーちゃん。そこまで見えるんだ」


「レティは流石ね」


「辛うじてです。それから私達の中で最も強いのはソラちゃんです。ここはソラちゃんの意見も聞いてみましょう」


『主様が一人で勝つ方法なんて無いよ?』


「もう。ソラったら。そんな風に言い切らないでよ」


『どうしても勝ちたいなら我の参加も認めさせてよ。主様が絶対に我だけは手を出すなって言うんだもん』


「そりゃそうでしょ。ソラ君は魔物なんだから。クーちゃんが心配するのも当然だよ」


『心配要らない。我と主様ならあの程度敵じゃない』


「そんなに自信あるの?」


『ファムまで信じてくれないの? 我をそんじゃそこらのトカゲと一緒にしないでよ』


「ソラ君がそこまで言うなら試してみる?」


「ダメよ。相手は対魔物のエキスパートよ。いくらなんでも相性が悪すぎるわ」


「ですが他に手があるようにも思えません」


「取り敢えずゴングを鳴らしましょう。ラウンドを切り替えるのよ。妖精王自身の意見も聞いてみましょう」


「それよ! 流石ジェシー姉様! ソラ! お願い!」


『咆えろって事? 別に良いけど。すぅ~~~!』




----------------------




 なんだ!? ソラ!? 何故咆哮を!? 何か問題か!?



「んだよ。良いところだってのに」


 え? タマラ? 何故手を止めた?



「仕切り直しだとよ。パティは気に入らねえんだと」


 タマラの視線に促されて背後を振り返ると、上階のパティが手で合図を示していた。



「すまんな。こちらの都合で観客を呼んでしまったせいだろう」


「まあ確かに見栄えは悪かったな。オレもちっとばかし夢中になりすぎたわ。わりぃな。空気読めてねえ事しちまった」


「気にするな。とことん受けて立とうと先に足を止めたのは私の方だ。これでも負けず嫌いなもんでな。どんな手を使ってもお主に勝ちたかったのだ」


「へっ♪ それじゃあまるで負けを認めてるみてえじゃねえか♪」


「まさか。私の勝ちだよ。既に目的は果たしているのだからな」


「なるほどな。オレはもう堕とされちまったわけか」


「自覚はあるようだな。私が恋しくて堪らんだろう?」


「ああ。だが負けてねえ。オレは魔王さんが愛しくて堪らねえ。だから打ち砕く。オレの手で。オレを夢中にさせたのは失敗だったな♪」


「残念だったな。お主が夢中になっているこれはパティの拵えた人形に過ぎん。元より我が本体はこの場に無い。例えこの仮初の肉体が打ち砕かれようとも私の負けはあり得ない」


「へっ! 負けず嫌いにも程があんだろ♪」


「ふふ♪ 最初からお前は負けているのだ。この場に乗り込んできた時点でな♪」




----------------------




「なんか早速イチャイチャし始めたわよ?」


「一回くらい頭砕いてもらった方が良かったんじゃない?」


「エリクちゃんにも困ったものです」


「眷属化も含めて貴方達の立てた作戦じゃない。流石にそれは勝手過ぎるんじゃないかしら?」


「「「……」」」


「……何よその顔」


「「「べっつに~」」」


「何なのよ! もう!」

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