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04-20.決戦準備

「それでどうだ? ギルドの策は打ち破れるか?」


「無理よ。奴らだってバカじゃないわ。当然まだ公表してはいないもの。貴方の討伐司令はあくまで内々で進められているだけよ。先手を打って釘を刺したって聞く気はないでしょうしね」


 そりゃそうか。元々陛下が似たような決定を下しているのにも関わらずなんだし。



「彼女はどうだ?」


「なによ。未練でもあるの? 残念だったわね。今は教育中よ。私が指示するところは貴方も見ていたでしょ」


「なんだ? 嫉妬でもしておるのか? 可愛いやつだな」


「やめてよ。気持ち悪い。そんなわけないじゃない」


「パティが気にしておるのだ」


「知ってるわよ。ここ最近毎日来てるんだもの。彼女の件もお決まりの質問じゃない。もしかして貴方見てないの?」


「当然だ。姉妹の憩いの一時を邪魔する程無粋ではない」


「ふ~ん♪ それは良い事を聞いたわね♪」


「無駄だぞ。ユーシャが私に伝えるからな」


「だからセットで来るのね。あの子達」


「ユーシャは私にとって最も大切な存在だ。くれぐれも妙な事は考えるなよ」


「そんな事教えてくれちゃって良いのかしら?」


「別に本気で釘を差しているわけじゃないからな。ただの牽制だ。ニアが危害を加えるだなんて思ってはいないさ」


「つまり私の嫉妬を煽りたいと? やっぱり私の事好きなのね。なんだかんだ言って」


「そう言っておるだろう。頼りにしてるぞ。ニア」


「……貴方のそういう所が大嫌いなのよ」


「ふっ」


 可愛い奴め。




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「よう。大将」


「来たぞ」


「悪いな。ベルトラン。ニコライ」


「まぁた厄介な奴と因縁作っちまったな」


「ベルトランならば勝てるか?」


「あたぼうよ」


 まあベルトランは相性良いだろうな。この剣の切れ味と当人の力量が合わされば相手の硬さはあまり関係無いからな。



「早速始めようぜ! わりぃがそう時間はねえんでな!」


 本当に頭が上がらない。忙しい中模擬戦の相手を請け負ってくれたのだ。少しでも実となるよう集中するとしよう。




----------------------




『そうそう。上手上手。主様飲み込み早いね』


『ソラの教え方が上手いのだ。良いなこれ。意識の共有か。どうにかして接していなくとも使えんか? 私達のパスを使えば方法もあるのではないか?』


『我を主様の主にしてくれたら出来るよ♪』


『すまんな。それは聞けんのだ。今のままで頼む』


『もう♪ 無茶言うんだから♪ 良いよやってあげる♪』


『ありがとう。ソラ』


『その代わり♪』


『うむ。この後でな』


『今すぐ♪ これも修行だよ♪』


 ソラはどうしてこうキス魔なんだか。こんな状態では集中できんぞ。


『ほら! 乱れてる! 集中して!』


 やるしかないな。




----------------------




「うん。そう。そんな感じ」


「お~♪ これが魔力壁ってやつやな♪ シル姉さんほんまおおきに♪」


「凄いなぁ~。この調子じゃあっという間に抜かされちゃいそう。私も頑張らなきゃ! でも何で先生は私に頼んだんだろう?」


「シル姉さんがそういう人やからやん。うちシル姉さんめっちゃ好きや♪」


「え? ありがとう。でも突然どうしたの?」


「ふふ♪ シル姉さんほんま可愛いなぁ♪」


「え? え?」




----------------------




「エリク! エリク!」


「こっちだディアナ。合格おめでとう」


「もう! なんで知ってるのよ!?」


「メアリを介して覗いていたからな」


「私から言いたかったのに!」


「すまんすまん。だが凄いじゃないか。満点とは」


「皆のお陰よ! 今日は盛大にお祝いしましょう!」


「自分で言うのか? まあいいが。というかメアリ達は言われるまでもなく準備に取り掛かっているぞ」


「私も手伝ってくるわ!」


「やめておけ。料理だけは零点なのだ」


「失礼しちゃうわ! 今に見てなさい!」


 ああ。行っちゃった。すまん、メアリ。後は頼んだ。




----------------------




「多層魔力壁で囲い込むのは……」


「耐久力が……ソラは普通に……」


 パティとレティが策を練っている。既に何度も話し合ってはいるが、未だ完璧な策と呼べるものは用意できていない。タマラ殿が戻るのは何時になるかわからんが、そう時間は残されていない筈だ。


 ベルトラン達との模擬戦やソラとの修行も続けてはいるが、そちらも確実に大丈夫と言い切れる程のものではない。


『もう一度前借りします?』


 まったく。ネル姉さんは甘すぎるな。無理だと言ったのは姉さん自身ではないか。


『でもぉ……』


 大丈夫だ。信じて見守っていておくれ。必ず姉さんに勝利を捧げてみせよう。


『私に捧げてくださるのですか?』


 前金だ。それで姉さんの予約を頼む。


『なんですかそれ♪ ふふ♪ まったく仕方ないですね♪ お姉ちゃんがそんな安いわけないじゃないですか♪ いくら前金だからって全然足りてませんよ♪ 桁が二つも三つも違います♪ でも良いですよ♪ 認めてあげます♪ ギンカだけに特別ですよ♪』


 ウッキウキじゃん。可愛い。


『ですがダメですよ。姉さんを手に入れる方法は対価を支払う事なんかじゃありません。そんな事したら破産しちゃいます。姉さんは奪えと言ったのです。怪盗ギンカちゃんに颯爽と盗み出してもらいたいのです。っていけないいけない。喋りすぎてしまいました。仕方ありません。前金はこっちに当ててもらうとしましょう。まあこれくらいなら許容範囲でしょう。ですがこれでギンカは絶対負けられなくなりました。負けたらギンカの身柄を差し押さえます。お姉ちゃんの側で一生可愛がってあげます。まあそれも良いかもしれませんけどね。でも折角なら末妹とも話してみたいのです。ギンカがリタイアすればそのチャンスも失われるでしょう。ですからどうか頑張ってください。信じていますよ。ギンカ』


 うむ。任せておけ。




----------------------




「最近忙しいね」


「そうだな」


「こんな事してて良いの?」


「必要な事だ。私は毎日必ずユーシャとの時間を取ると決めておるのだ」


「しゅてう~!」


「そうだな。シュテルもいるな。ふふ♪」


「そうだ。今日シュテルったらね」


「おねーちゃ!? ないちょ!!!」


「なんだ? いったい何があったのだ?」


「だぁ~め~あぉ~!!」


「ふふ♪ だってさ♪ 残念。エリクにも教えてあげたかったのに♪」


「あまり意地悪をしてはダメだぞ。姉妹仲良くな」


「本当はシュテルの方がお姉ちゃんなんだっけ?」


「まあ聖女の杖は大昔の神器だからな」


「でもシュテルとして産まれたのはつい最近だよ?」


「だから別にいいさ。ユーシャが姉でシュテルが妹だ」


「う~! おねーちゃ! おねーちゃ!」


「ふふ♪ は~い。シュテル♪」


「う~!!!」


 実は私もユーシャ達の姉妹なんだけどな。それはまだ伝えてない。あまり話しすぎて姉さんの事に繋がっても困るし。


 私達は母娘だ。それで良いのだ。伴侶でもあるけどね。シュテルも何時か加わるのだろうか? 想像出来んな。というかこれ以上成長せんのだろうか? 正体を考えるならどこかで一気に成長してもおかしくないと思っていたのだが。


 いやでも、一応成長はしているのか? 私に何やら秘密を作っているくらいだし。ふふ♪ 少し寂しいが同時になんだか嬉しくなるな♪


 この子達との日常を守る為にも必ず勝とう。そして何時か姉さんも迎えに行こう。もしかしたら他の姉さん達も。ユーシャとネル姉さんには同系統の姉妹があと五人いるって話しだしね。学園組が卒業したら姉妹を集める旅に出よう。他の家族にも付き合ってもらおう。きっと楽しい旅になる筈だ。

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