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03-62.だいたいこいつのせい

「調子はどうだ?」


『……悪くはないかな』


 素直じゃないな。ソラは。ファムに対してはすっかりデレデレなのに。



「あ! クーちゃん! 良いところに!」


「なるほど。足場が欲しいのだな。私も手伝おう」


 魔力壁でファムの望む足場を作ってから自分の分のブラシを確保し、ファムと並んでソラの身体を磨いていく。



『主様へたくそ』


「すまん。こうか?」


『……うん。ちょっとマシになった』


「そうか。ふふ♪」


『笑ってないで手動かして』


「うむ♪」


『……何がそんなに楽しいのさ』


「さてな♪」


『……なにさそれ』


「まあ良いではないか♪」


『……変なやつ』


 ふっふっふ♪ 今の私はとても気分が良いのだ♪



「クーちゃんご機嫌だね♪ ディアちゃんのことは大丈夫なの?」


「うむ。心配は要らんだろう」


 秘技丸投げがあるからな。近頃の覚醒ユーシャは頼りになるのだ。


『最低ですギンカ。末妹に頼りすぎです。でもそんなギンカも大好きです♪』


 あかん。ネル姉さんが全肯定botみたいになってきた。



「羨ましいなぁ……」


「ファムもするか?」


『「えぇ!?」』


 何故姉さんまで?



「まあ冗談だ。少なくとも今はまだな」


「むぅ~。そういう冗談良くないと思うなぁ」


「一年後だ。それで全ての決着をつけよう。私は全てを手に入れる。欲しいものは全てだ。それから王都を離れるとしよう」


「それって……」


「待っていておくれ。ファム」


「……うん! うん!」


『まさかお姉ちゃんも?』


 当然だ。一年では長すぎるか?


『いいえ。逆です。そんなに簡単な話ではないのですよ』


 大丈夫だ。心配無い。私には姉さんが憑いているからな。


『私のこと背後霊か何かと思ってません?』


 守護霊だろ?


『ふふ♪ もう♪ ギンカったら♪』


「クーちゃん♪」


「なんだ?」


「待ってるからね♪」


「待ってるだけではダメだな。ファムも頑張れ。何はなくともユーシャに認められねば話にならん」


「むぅ! こんな時までユーちゃん優先しなくたってぇ!」


「私は一途なんだ」


「嘘つき! とういうかそういう意味じゃないよ! 二人きりの時くらい甘やかしてくれても良いじゃん!」


「ソラを忘れておらんか?」


『主様が悪いんでしょ。ファムの邪魔するくらいなら離れててよ』


「ソラ君はどう思う!? クーちゃん酷いと思わない!?」


『思う思う。主様は酷いやつだ』


 投げやりなような。実感が籠もっているような。



「あ! 違うんだよ! クーちゃんは酷い人じゃなくてね! いや! 酷いのは酷いんだけど! でも悪い人じゃ!」


『そもそも人じゃないじゃん』


「ダメだよ! ソラ君! そんなこと言っちゃ!」


『我だって人じゃないし。別に拘らなくても良いじゃん』


「そうかもだけど!」


 仲良いなぁ。ソラもファムにはだいぶ気安くなったなぁ。


「クーちゃん!」


 こっち?


「ボク! クーちゃんが何だって大好きだからね!!」


「う、うむ。ありがとう」


 なんでいきなり告白されたんだ?


『乙女心は複雑なんです』


 私も一応乙女のつもりなんだけど。


『ギンカはすぐ開き直りますから』


 あっちこっち手を出しておいてウジウジ悩んでる方がダメだと思う。


『そういう事はあの子の前で宣言してみせてから言ってください。本命の前ではコソコソ本心を隠して逃げ回るくせに、それ以外の娘達の前では好きだの手に入れるだの、好き放題宣うじゃないですか。姑息過ぎですよ。開き直り方が悪質なんです。これも自覚してください』


 はい……仰る通りです……。


『でも大丈夫です♪ お姉ちゃんは何時だってギンカの味方です♪ どんなに情けなくてもお姉ちゃんだけは愛想を尽かしたりなんてしませんから♪』


 なんかこう……なんだろう。マッチポンプ? は違う気がするけど……。あれだな。取り敢えず私が悪いのは間違いないな。うん。


『つまりはそういうことです。ファムさんも私と同じなんですよ。きっと』


 ……反省します。


『よろしい♪』

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