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ようこそハッピーワンダーランドへ

書き溜めたものを不定期で吐き出していきます。最初の方(今回)は特にキャラがブレているのでご了承願います

「零章 罪と罰」


バン


カラン...


薬莢が落ちた


「次」


ドン


鉄塊が落ちた


「次」


グシャ


人が落ちた


「次」


「はい」


「今から貴様は私達に裁かれる」

「お前の罪は虚飾だ」

「今まで何人喰らった?」


「300と......いくつかだったでしょうか、もう数を覚えていませね」


「何故、それ程まで喰らったのだ」


「埋まらないから満たされないから壊れたから知りたいから救われたいから見たくないから生きたいから苦いからもう、飽きたから。つまらないおもちゃは残したくないんです。だって要らないから必要ない」

「貴方たちもそうですよね、要らないものは捨てるし壊す」


「私語を慎め。それ以上喋らなくていい」

「お前への罰が決まった。お前の罰は”永遠”だ。死ぬことは許されない。永遠に苦しめ」


「永遠ですか...楽しいですね」


「狂ってるなお前。極刑だぞ」


「何言ってるんですか?私がおかしいのではなく、皆さんが狂っているんですよ」


「正気な奴が人を殺すか?そんなわけないだろ」


「んふふっあはは!、ははぁ!」


「何が可笑しい」


「はぁ、人間生きてて1度も罪を犯さない人はいませんよ。」

「1人1回以上は罪を犯します。どんなに小さな罪でも罪は罪です。大きさなんて関係ありません」

「人間ってすっごい醜いんですよ。生き残るためなら家族でも愛人でも尊厳でも、なんでも簡単に捨てますからね」


「もういい、時間だ失せろ」


「ははっ酷いですね」


「早く行け。あとが控えているんだ」



私の罪は永遠だ


死ぬことが許されない


なら、死ぬまで自分を殺し続ければいい


それでもダメなら何か策を探そう


きっと終われるから




だから自分を殺し続けた


殴って切りつけて押し潰して刺して......


でも死ねなかった


だから諦めた


廻って廻って廻って


効率の良い生き方を知った


自分を押し殺してみんなに愛想を振りまく


誰にでも媚びて言うことを聞くいい子を演じた


笑って泣いて怒って喜んで


まるで普通の人間のように


でもそう長くは続かなかった


自分を押し殺したせいで自分がどんな人だったか分からなくなった


どんな風に笑うのかどんな風に怒るのかどんな風に泣くのか


なんにも分からなくなった


誰か教えてよ


どうしたら僕になれるの?どうしたら私を取り戻せるの?どうしたら俺は救われたの?


もう......もう何も残ってないよ


私でさえいなくなってしまった


僕の世界はボロボロだよ


どうやったって直りやしない


だからもう捨てるね


「ごめんね......」


俺のワンダーランド


バキッ






「一章 おはよう」


ピピピ、ピピピ、ピピピ


スマホのアラームが鳴り響いた


「んっ、あぁ?」


目を開けると、そこは自分の部屋ではなく綺麗な遊園地だった

空は晴れ渡り、虹がかかっていて遊園地全体で華麗なパレードが行われている

歓声が響き、そこには存在しない”何か”が列をなし、俺を見せ物の様に見て笑っている


「うぅ、痛い…ここは、どこでしょう?」


日差しが強く前がハッキリと見えない

頭も痛く記憶がはっきりしない


「やぁ、少年調子はどうかな」


虚空から声が聞こえた


「誰ですか?」


辺りを見回す。だが、そこには”何か”しかいない


「んふふ、違うよ少年。こっちだよこっち!」


ブルルルル、ブルルルル


スマホが震え出した


「うんーーっう!」


ポンッ


「うわぁーあ!」


画面が眩く光だし、次の瞬間には奇妙な唸り声をあげながら、仮面を付けた茶髪の少女が飛び出してきた

身長は俺より30センチほど小さく、黒と赤が混じった髪に真っ黒なウサギの髪飾りと、赤いパーカー中に何かの紋章の様なものが付いた制服、赤と黒のハートやらスペードやらが規則正しく並んでいるスカートに身を包んでいる

まるで、不思議の国の住人のような感じだ


「あーごめんねー、驚かせちゃって」


「あなたは誰ですか? それに、ここはどこですか?」


そう聞くと、彼女は少し考える仕草をとった


「えっーと、じゃあ、まずは名前から話そうか。ボクは、アリス・リディア。アリスでいいよ。それと、ここはね『ハッピーワンダーランド』っていう場所なんだ、素敵でしょ!」


そういうと、アリスは手を大きくさ開き、辺りを見回すような仕草をとった


「あの、すいません......それで、どうして俺はここにいるんですか?」


「もぉー少年はせっかちだなぁ」


「ごめんなさい」


「はいはい、謝らなくて大丈夫ですよー。それで、少年がここに来たさ理由はね...入出狐珀、少年が望んだからだよ」


「えっ、俺がですか?」


「うん、そうだよ。覚えてない?ここに来る前のこと」


「ここに来る前?」


_ ̄_ ̄_ ̄


「あれ?おかしいですね。本が見当たりません...昨日しっかり本棚に戻したのに......まだ読んでた途中だったのに......」


「はぁ、朝ごはん食べなきゃ」


今日の朝ごはんはパンとコーンスープとサラダとスクランブルエッグ


一人暮らしになってから自炊は頑張ってますが、ちょっとしたもので限界ですね


もぐもぐごくごく


「スープおいし...ってもう8時!?遅刻してしまいます。急がないと」


俺は入出琥珀。高校2年生だ


「はぁはぁ、30メートル走っただけでこれはやばいですね」


運動が苦手なせいで体も細く、躓いただけで生命の危機を感じる


「運動部に入れば良かったです。ゔぅ」


辛い


「帰宅部を舐めないでください。こんなんで負けるわけ...ありました」

「ここの校舎、無駄に広すぎです。はぁ」


ここは俺が通っている『黒葉妖高等学校』

全校生徒720人+αで全寮制の高校

敷地の大きさが60万平米ある。まるで1つの町だ

それでもすごいのに商店街や大きな公園、異常なほど充実している施設が存在する


おかけで、毎日登校していて全く飽きないけど......


「はぁはぁ、ゔぅ、きゅ、休憩っ」


通学が辛い

どうして全寮制なのに校舎からこんなに遠いんだ


「あぁー、どうしてこの高校を選んでしまったのでしょう。まぁ、選んだの親ですが......はぁ」


不満はまぁ多少あるが、良いところも沢山あるので後悔はあまりしていない


「あぁ、やっと着きました」


ガラガラ ワイワイガヤガヤ


こんな変わった学校だが、もうひとつ忘れてはいけないことがある


「ねぇ、また2年生の子が化学室でいなくなっちゃったんだって」

「えーやば」「こわいなー私も気をつけよ」「ないわー」


それは、『神隠し』や『コレットドール』などのあらゆる都市伝説や童話の様なことが起こることだ


「おい、昨日のウサギ見たか?」


「いや見てないな」


「そういえば、風紀委員の委員長は?」


「あぁー水瀬さんね...ここ1週間誰も見てないし会ってないって」


「それじゃあもう無理だな。結構好きだったんだけど」


この学校ではよく人が居なくなる

これまで行方がわからなくなった生徒は2000人弱

これ程まで異常な値を観測しておきながら閉校にはならない


世間からは、「生徒で人体実験をしている」とか、「生徒を誘拐して売買している」とか様々な噂が流れている

そんな高校が存在していいわけない、それに、そんな高校に通わせる親も親だろう

しかし、この学校は続いている。20年も

それは、この学校が必要とされているからである

この学校には、毎年とんでもない人数の入学希望者が集まる

倍率は脅威の8.52倍、受け入れ人数が100人に対して852人集まる計算だ

この学校には、それほどの人を惹きつける魅力がある

それは、学費や施設費などの費用を国が全額負担してくれるところと...


『ユメ』 が叶うと言われているからである


どんな夢でも


「どうせ嘘なんでしょ?」と、疑問に思う人もいると思うが...というか、信じていない人の方が多いだろう

しかしこれは嘘じゃない

その証拠にこの学校を卒業した人の数多くが、有名人や資産家、モデルや俳優になっている。そして今や世界を動かすほどの政治家「姫乃未空」を輩出している超名門校だ


超人気な黒葉妖高校だが、この学校に在学している生徒の全員が賢いわけではない

私立学校ならテストの点数や面接で決めているだろが、この学校は少し特殊な方法で、合格者を決めているようだ


そのためか、授業の内容などはかの有名な学校より全然レベルが低い

偏差値を平均化したら、60前後だろう

俺としては自分の学力にちょうどよく、過ごしやすい環境だと感じる


それに、ここの校則は有っても無いようなものだ

髪を自由に染めたり、制服を着崩したり、魔改造したり、ピアスをしたり

まぁ、とにかく自由だ

ほんとに


「ふぅ、何とか間に合いました。」


「おはよう琥珀くん」


「おはよう琥珀、今日は遅いんだな」


「おはようございます結衣さん、大輔くん」

このふたりは俺の大切な友達

姫乃結衣さん、元気出優しくて誰にも愛されるような性格をしている

あるときはポニーテールだったり、あるときはツインテールだったり、その日の気分によって髪型を変えているらしい

大変そう


久保大輔さん、卓球が上手なサッカー部、勉強は得意じゃないけど、何事にも前向きに挑む頑張り屋さん

運動に関しては、やればなんでもてきるらしい

羨ましい


「アラームかける時間、間違えてたみたいで」


「どんまい、あっそうだ!大輔くんは昨日言ってたレポート出したの?」


レポートか、確かにそんなものがあった気がする


「あっ!?やべ、ちょっと行ってくるわ!」


「出してないの?早く行ってきな」


「オイロウカヲハシルナ―」


「スイマセ―ン」


「ははっ怒られてやーんの。それで琥珀くんは出したのレポート?」


「はい、だいぶ前に」


「ゆーとーせーってやつじゃん」


「いえ、そんなんじゃないですよ」


「結衣さんは?」


「私もだいぶ前かな」


「偉いですね」


「だって、先生怖いんだもん」


「確かに、少し圧がありますからね」


「少しじゃないでしょ!あの人饒舌すぎなのよ!勝てる自信ない...」


「あはは...そうですね」


「あっそうだ!聞いてよー、また私告白されちゃった」


「モテモテですね。それでどうしたんですか?また振ったんですか?」


「もちろん!私はもう心に決めている人がいるからね」


あの結衣さんが惚れる人なんて、きっと素敵な人なんだろうな


「結衣さんならきっと大丈夫ですよ」


「ほんと〜?」


「はい」


ゴソゴソ


あれっ?また本が無い


「話は変わりますが、最近ものが無くなることってありますか?」


「もの?」


「本とかお守りとか、ちょっとしたアクセサリーとか」


「んー、私はないかな」


「そうですか...」


「琥珀くんは幽霊に好かれてるんじゃない?優しいから」


「そうだと良いんですが...」


ガラガラ


そんなの何気のない雑談をしていたら先生が来た


「おはようございます」


「「「おはようございます」」」


「今日は昨日も言った通り全校集会があるので、8時20分には廊下に並んで体育館に整列していてください」


「「「はーい」」」


今日は集会か...


「あと10分で20分だから、もう並んだ方がいいんじゃない?」


「そうですね」


_ ̄_ ̄_ ̄


取り敢えず体育館には着きましたが、大輔くんはどこに行ってしまったんでしょう

もうすっかり時間なのに

体育館を見渡してみても大輔の姿が見当たらない


「あー、あ。それでは、令和××年7月18日、全校集会を始めます。気を付け、礼」


「皆さんおはようございます。皆さんはもう気づいていると思いますが、今日は期末テストの1週間前です。勉強はしてきましたか?期末テストは、いままでの...」


それからは学習のポイントや将来についての話をされた

入学してからもう1年と3ヶ月が経ってしまったのだ、時間が経つのは早い


初めての環境、初めての友達、初めての先生、いろんな初めてがありすぎて最初は面食らった。

でも自然と慣れていった。

勉強だって、生活だって何だって

小説家であるドストエフスキーが言ったように、人は慣れの生き物だ

慣れていくのが遅くても、最後はどんな事にも慣れていく

恐怖にも痛みにも絶望にも


だから怖いのだ


当たり前に慣れていたら、当たり前が当たり前じゃなくなったときに何が起こるのか分からない


もし今の生活が壊れたらきっと...


「琥珀くん、もう終わったよ」


どうやら、そんなことを考えている間に話は終わったようだ


「諸連絡をお持ちの先生はいらっしゃいますか?」


あれ大輔くんがいない

もうかれこれ20分は経っているはずなのに


「結衣さん、大輔くんは何処に?」


「さぁ、朝のあれから見てないけど」


「おかしくないですか?こんなに時間がかかるなんて」


「うんー......もしかしたらあれかも」


「あれ?」


「ほら、この前2年生の子がいなくなっちゃったやつ。あれ、科学室だったよね?大輔くんが出しに行ったのも科学のレポートだし」


「まさかそんなわけ...冗談きついですよ」


「もしかしたらだよ?」


もしかしたらでも可能性がある分、被害に遭わなかった保証は出来ない


「俺、探してきます」


「待って1人じゃ危ないよ」


「早くしないと、大輔くんが何かに巻き込まれるかもしれません。急がないと」


「落ち着いて、私も行くから少し待ってて」


「はい...」


3分後


「ごめん少し待たせたね。じゃあ行こうか」


「まずは化学室から探しましょう」


「そうだね」


科学室への道を歩いているときだった


「あれ?これって大輔のお守りじゃない?」


結衣さんの視線の先には赤のお守りが落ちていた


「確かに」


なんか気分が優れなくなってきた

大輔くんが無事であって欲しいです


「大輔くんいますか!」


いない


「いないね」


「そんなはずは...きっと先生を探して職員室に行ったんですよ」


そうだ、きっとそうに違いない

「だから水瀬先生に聞いてみましょう、ね...」


「...うん」


大丈夫、きっと見つかる、だから、だから... 



「私のところに来てないわよ」


「え...」


「今日は集会3分前まで化学室で実験の準備をしてたけど、誰も来なかったわよ」


「えっ、で、でも大輔くんは「そうなんですか、ありがとうございました!!」」


「えっ、ちょまっ!」


ばたん


「はぁっ、ねぇ結衣さ「琥珀くん」」


「あのね、こんなこといいたくないんだけど...もう、大輔くんは戻ってこないかもしれない...」


「っ!...」


「自分でも気付いてるんでしょ。帰ってこないって」


「......」


嘘だ、そんなはずがない

だってさっきまでいたから急にいなくなるわけない

普通に考えて怪奇現象なんて起こるわけないじゃないか


「い、いやっ!...です...まだ、まだっ」


ぎゅっ


「んっ!?」


暖かい 甘い 眠い


俺は結衣さんに抱かれていた


「大丈夫。大丈夫だよ。絶対見つかる、いや見つけるから。ね?」


苦い、苦い苦い苦い。なんだろうこれ


「だからさ、今は目も耳も塞いで忘れよ?ね?」


眠い眠い眠い眠い眠いなんかふわふわする

眠い眠い眠い眠いあつ...い?


バタッ


「おやすみ」


_ ̄_ ̄_ ̄


思い出した


「俺、眠ってたんでした。ってことは、これも夢なんですよね」


「違うよ」


「はい?」


「これは夢だけど夢じゃない。この夢で少年の身に起こったことが現実になる」


なんだそれ


「それに、さっきのは眠ったんじゃなくて『仮死状態』になったんだよ」


「どうしてそんなことに?」


「しよーねん、さっきは何を思い出したの?少年は“落ちたんだよ”」


『屋上から』


「まぁ、いきなりのことで混乱してるんだろうね」


「何言ってるんですか?」


屋上から落ちた?そんなわけない、だって俺はあの時結衣さんに...結衣さん?誰だそれ


「ごめんねいきなり、難しいよね。少し休憩しようか」


俺って何処に居たんだっけ


「...ネン」


あー、頭が痛い


(ほら、またそうやって見ようとしない)


うるさい


「ショーネン」


(何も出来ない癖に救われることを望んで)


黙れ


(裏切られて)


黙れ


「ショーネン!」


(お前は愚か者だ)


「黙れ!!」


「っ!?」


「あっ、ご、ごめんなさい。考え事してて...」


「とっ、とりあえずさ、少年の話聞いていい?」


「はい...?」


俺の話?


「んーとね、少年の出身はどこ?」


「出身は、えーっと、確か山奥の方ですかね」


「えー!田舎っ子じゃん!以外!」


「まぁ、ほとんど家の中に居たので外のことは知りませんでしたが」


「箱入り娘ってやつ?」


「いえ、俺の場合ただ引きこもってただけです」


「へー、コミュ力高そうなのに...じゃあ次は、えーっとね、じゃあ、少年の好きな異性のタイプは?」


「凄い質問ですね。初対面の人にする質問じゃないですよ」


「いーじゃん!答えてよ」


好きな異性のタイプか...やっぱり一緒にいて楽しい人がいいかな


「うーん、そうですね。笑顔が素敵な人ですかね」


「へー...ボクみたいな?」(ニコッ)


「は、はい」


不覚にも可愛いと思ってしまった


「えー反応びみょーじゃない?」


「そんなことないですよ」


「ほんとー?」(ツンツン)


スキンシップ激しい


「その...あまり異性にそういうことしない方がいいですよ」


「え〜どうしてかな〜」


「どうしてって…」


どうしてと言われましても...


「不純だから?でしょうか」


「ほっぺつんつんしてるだけで不純なら、さっき少年がされてた事の方が不純じゃん」


「あ、あれは不可抗力ってやつですよ」


「なら、これも不可抗力で片付ければ問題ないよね」(ニコッ)


「はい...」


それからたくさん話した

好きな食べ物から趣味、家庭のことや学校でのことなど、かれこれ30分は話た気がする

それと、彼女はカウンセラーのように俺のことを分析していた。

性格はどうとか生活がどうとか、茶化されたりもしたけど、彼女なりの人との接し方や、気遣いだったのかもしれない


「そうだ、少年の『ユメ』はなに?」


ゆめ、夢か、なんだろう、卒業してしたいことは特にないし

強いてゆうなら小説家かな


「小説家ですかね」


「ほほーん、小説家か意外だな」


「そうですかね。まぁ、確かに人気があるとは言えないかもしれませんけど、俺は考えるのが好きなので、お話を書くのが楽しいです」


「どんなのを考えてるの?えっちなこと?」


「違いますよ。そうですね…人にあまり話せる内容じゃないですが、誰かが死んでしまったり、いなくなったりする話ですかね」


「へー、けっこうダークなことが好きなんだね」


「小さい時に、怖い話とか悲しい話とかをよく読んでいたので、それに影響されたんだと思います」


「ふーん」

「よし、それじゃあそろそろ本題に移ろうか」


本題?


「少年は、今どーしよもなく叶えたいお願いってある?」


「あります」


「それってどんなお願い?」


「友達を、久保大輔くんを生き返らせることです」


「ふーん、ヨミガエリ、ね」


「それを聞いてどうするんですか」


「ボクがその願い叶えてあげようか」


「出来るんですか」


「うん、でもねそれには条件があるんだ」


「なんですか」


「まぁまぁ、そんな急がないでよ少年。別に逃げたりしないから」


「はい」


「それでね、その条件っていうのが”この世界にあるトビラの先のセカイからコアを全部私に持ってくること”」


「そのトビラは何処にあるんですか」


「それはこっちにあるよ。着いてきて少年」


コツコツ


彼女はゆったりとした足取りで歩き始めた


「あの、アリスさん」


「ん、どうしたの?」


「アリスさんって足が悪いんですか?」


「あー、ごめんね。ボク生まれつき体が皆より弱くてさ、杖が無いと歩くの少し大変なんだ。」


「謝る必要ないですよ。元はと言えば聞いたの俺ですし、嫌な思いさせてたらごめんなさい」


「大丈夫だよ少年。ボクあんまり気にしてないからさ。ね?」


「はい.......」


気まずいな


「そういえば、今向かってるトビラの先のセカイは、どんな場所なんですか?」


「うーん...あそこはね、ちょっと目が痛くなるけど素敵なとこだよ」


目が痛くなる?


「そんなにチカチカしてるんですか?」


「いや、色合いがね、異彩すぎて、「スゴいなぁ」って言葉しか出てこないと思う。なんか...こう...ね、キノコが虹色だったり、地面がチェック柄だったり...まぁ、見ればわかるよ...それと、あそこは”比較的安全だから”安心して」


「安全って、何がですか?」


「まぁ、それは着いてからのお楽しみ。ほら、見えてきたよ」


あれがトビラ...ウサギと少女の絵がかいてある


「ステンドグラスみたいで綺麗ですね」


「でしょ〜♪あっ、でも可愛いからって、甘く見ちゃダメだよ。油断してると簡単に逝っちゃうから」


「え”っ」


いきなりのこと過ぎて素っ頓狂な声を上げてしまった


「逝くって、死ぬってことですか」


「まぁそうだね、でも大丈夫。比較的安全だから」


「その比較的安全ってヤツが不気味なんですよ...」


「つべこべ言わない、入った入った!」


「ちょっ、押さないでください!あぁー!」


_ ̄_ ̄_ ̄


「金貸してくんね」


「おい無視すんなよぉ!」


パンッ


乾いた音が響いた後、頬から痛みが広がる


「痛ぃ、うっ...」


前髪を掴まれる


ガシッ


「やめて...」


「あぁー聞こえねぇよ!」


「いっ...やめてください!!」


あぁ、まただ


私はクラスの町田と井上、他2人に恐喝されている


「やめて欲しいんだろ?じゃあ金くれよ、金」


「ぃ、いや...」


「え〜、じゃあ身体でもいいんだよ〜ww」ニヤニヤ


体をまさぐられる


「い、いやっ、やめて」


「黙れ」


パン


「うぅ、っ......ぅぁっ、はぁっ...」


痛い


「んだよ、泣いてんじゃねえよ」

「あっ!やっぱ財布あんじゃん」


返して


「すっくな。お前これしか持ってねぇのかよ」

「まぁいいや。これ、くれんだよね」


「だめっ...」


「えっ!くれんの!ありがとねっ!」


バンッ


左脚を蹴られ


フラッ


蹴られた衝撃で体制を崩し、階段を転がり落ちた


ドンドンドンドン


「うぐぁ…あ”っはぁっ」


痛い、痛い痛い痛い


「wwうっわ、やる事はやばww」

「ぁんだよ、これだけかよ貧乏人」

「すっくなww」

「お前、あんな立派家に住んでたのに、こんなしかと持ってねぇのかよww」


痛い


「ごめん、なざぁぃ...」


痛い


なんでこんな目に会わなきゃしならなの?


コイツらのせいで体はボロボロ、頭の中はぐちゃぐちゃ


もう無理だよ。やだ、キツい、これ以上は家族に隠す事が出来ない


「ひぐぅっ……うっ…かぁっはあ…っゔぇっ…」


あぁ、なんて無力なんだろう....


はぁ、嫌だなぁ


私が何をしたっていうの?


人生なんて...


「やめてください」


誰?


「あぁ?誰だテメェ」


「その子を虐めるのをやめてください」


来ちゃだめ...


「誰かって聞いてんだよ!!」

「何アンタ、ウチらが誰だかわかって言ってんの?」


「近づくな!」


「っ!...んだとてめぇ」


ガシッ


「殴ります?俺のこと」


「は?」


「いいですよ殴っても、でも俺を殴ったら貴方たちが苦しむことになります」


「ムカつくんだけど、何?」

「なんだ?俺を今ここでぶちのめせるって言いたいのか?」


「いえ、今は無理です」


「はっ、だだの間抜けじゃねぇか」


「でも、戦えないとは言ってません。今貴方たちをい懲らしめることはできなくても、近いうち貴方たちを裁くことができます」


「おい、いつまで舐めた口聞いてんだこの糞ガキが」


「刑法第208条件、暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときに成立する。2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金」


「は?」


「それとも、刑法第204条、傷害の結果を意図して暴行を加え、よって傷害の結果が発生した場合に成立する。15年以下の懲役若しくは50万円以下の罰金。貴方の行っていることは立派な犯罪です。貴方が私に危害を加えれば、私は証拠を得ることが出来ます」


「だ、だったら何だよ」


「その証拠で貴方たちを訴えます」


「お、お前にできるわけ『できます』」


「できますよ。暴行罪に傷害罪、脅迫罪や彼女にしようとしていた強制わいせつ罪。その気になれば幾らでも追い詰められます。貴方がここで俺を殴れば、さっき何処かに設置したスマホのカメラに、その映像と音声が残ります。それに、証人だってそこに。そうだよねキミ?」


私...?


「は、ぃっ...」


えっ!?私が証人!?


「だそうなので、貴方たちをまとめて裁くことがでます」


「ふざけんなよてめぇ!!」


「ふざけてません。でも、俺はあまり傷つきたくありません。だから...交渉がしたいんです。貴方たちも彼女も俺も傷つかない方法がひとつあります。それは貴方たちが、今後一切彼女に関わらないことです。それが約束できるのであれば、俺は録画データを削除します。でも、これは彼女に聞いてからでないとできません。ねぇ、キミ。俺の条件で納得してくれますか?嫌なら嫌って言ってくれても結構です」


あいつらと一生虐められなくていいなら...うん


「はい、おっ、お願いし、ます...」


「はい、なら成立です。貴方たちもこの条件を呑んでください。呑みないなら戦いましょう、法廷で」


「ふざけんな糞ガキ!殺すかんな!」

「ちょっ、ちょっと待て町田、流石にマズイだろ」

「やめよ?」


「ちっ」


ドン


「いてっ、投げないでくださいよ」


「覚えてろよクソガキ」


タッタッタッ


「はぁ、大丈夫ですか?」


「は、ぃっ、うぅぅ...わぁぁぁ」


ギュッ


「ごわがっだぁぁ」


よかった、ついに助かったんだ

嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい


「もう大丈夫ですよ」ギュ


あぁ、あぁ


「助けるのが遅くなってごめんなさい。もっと早く気づければ、あなたがこんなに苦しい思いをせずに済んだのに...」


安心する


「あのすみません、あなたの名前を聞いても大丈夫ですか?」


私の名前?


「っ、私は、橘葵って言いますっ」


「葵さんですか、いい名前ですね。俺は入出琥珀って言います。2年生です」


「私は1年生、です...」


「後輩でしたか...その、嫌だったら答えなくてもいいんですけど、どうして彼らから虐められてたんですか?」


「それは...私が地味で可愛くないからです...」


「えっ、とてもそうには思えませんが...」


「それに私太ってるから...ほら」


「それは太ってるって言うか、大きいだけだと思いますよ...あの、あれが...」


「あれって?」


「いや、なんでもないです。取り敢えず無事そうで何よりって...あれっその赤いのって血ですか?」


「えっ血?」


ピト


「あ、赤いっ、血だ」


「ちょっと待ってください。拭きますね」


「い、いや悪いですよ。入出さんのハンカチ汚れちゃいますし...」


「ハンカチなんてまた買えばいいんです。だから、少しじっとしててください。おねがいします。ね?」


スッ


「いっ」


「大丈夫ですか?」


「だ、大丈夫です。少し痛んだだけで...」


「あとちょっとです、少し我慢してください」


ん、近い...

かっこいいなぁ


「終わりましたよ。大丈夫ですか?少し顔赤いですよ?」


「あっ、い、いや!これはその、違うんです!///」


「ははっ、ん、何が違うのかは分かりませんが、取り敢えず元気そうでなによりてす。でも、怪我が意外と大きいので、保健室か病院に行って診てもらってください。1人でいけそうですか?」


「はっ、はい!」


「困ったことがあったら俺を頼ってください。今回みたいに上手くいくかは分かりませんが、助けに行きます。それではまた」


「ありがとうございました!」


行っちゃった...




いつもと違う軽い足取りで階段を登る


先生は、話なんてまともに聞いてくれない

学校に問いかけても無駄だ

役に立たない

でも彼は、入出さんは助けてくれた


でもそれってどうして?


もしかして私のこと好きとか?

そんなわけないか、初対面だし

もしかしたら身体が目当てなのかも

そんなわけないよね、あんなに優しかったし


でも、今までの人と同じように彼もそうなのかも

いや、きっとそうだ。でなきゃ私のことなんか助けてくれない


なんかがっかり、結局みんな身体目当て

人は本当に信用出来ない


嫌い


嫌い嫌い嫌い


信じれる人が出来たと思ったのに

人間ってろくなひとがいない


「はぁ、疲れた」


気がついたら、私は学校の屋上のフェンスの前に立っていた

正確に言えば、フェンスを”越した“場所に立っていた


「はぁ、全てなくなっちゃえば良いのに」


カァーカァー


カラスが何なかを咥えている


空を喰らっている


だんだん暗く、だんだん寂しく


「あの烏の様にどこまでも自由に...なんて、無理だよね。はぁ」


夢なんて叶わない


だって夢だから理想だから


もし叶うなら


私は空を飛びたい


ドサッ


 ̄_ ̄_ ̄_


「今日も見つかりませんでした」


今日はいじめっ子から投げりたり、落ちたり、記憶が飛んだり、とても変な1日だったな


あれっ?今日っていじめっ子だけじゃない?なんで落ちたり記憶が飛んだって思ったんだろ

まあいいか


「はぁ、疲れました」


身体がボロボロ、明日は筋肉痛やばいだろうな


「あぁ、本当に綺麗だな、夕日...」


綺麗な茜色だ、目が焼けてしまいそうなくらい朱い


「明日は見つかるかな...」


正直もう嫌だな


「そうだね、狐珀くん」


すぐ後ろで声がする

少し高めの綺麗なウィスパーボイスだ


聞いたことのない声、振り返ることが出来ない


「どうしたの?こんなところで、落ちたら危ないよ」


誰だ


「そうですね、■■みさん」


誰だ


どうして知らない人なのに名前が口から出てくるのだろう


「か■■さんの夢ってなんですか?」


どうしてそんな事を聞いているのだろう


「私の夢はね、君の■■になるとことだよ」


どうして


どうして君はそんなことを言うのだろう


「それはね、私が君のことを愛してるからだよ」


ギュゥ


どうして


「どうしてそんなことを言うの?」


答えてくれない


「…じゃあさ、君の夢も教えてよ」

「そしたら教えてあげるから」


はぁ


「俺の夢は…」


あぁ




ここにきてどれくらい時間が経ったのだろうか

門限や時間なんてもう、気にならない


「はぁーあぁ...なんだか眠くなってきました」


気がついたら彼女はいなくなっていた

そもそも本当にいたかも怪しい


きっとうたた寝をしていたのだろう

だからあんな夢を見てしまったのだ


「んぅ、はぁ、寒い」


冬の風に当てられて少し肌寒い


「そろそろ帰りますか」


空は真っ暗だ、どこを眺めても寮の灯りしか目に入らない



ガタッ



「あっ、お…」



グシャ




人が落ちた





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