表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/53

砂漠の水没騒ぎ

 ここ最近は砂漠のように乾燥し、真夏のように暑い日が続いており、家電たちは二十四時間大忙し。冷蔵庫は食べ物や飲み物を守り、空調は冷たい吐息を繰り返して部屋を冷やし、扇風機は空気をかき回していた。


 そんな中、スマホだけは涼しい寝室の大きなベッドの上で寝ていた。その画面は真っ黒で、一見すれば何もしていないようにも見えた。


 しかし今、主人に使われていない時でも、スマホは裏で十個以上ものアプリを起動、保持するのに大量の電力を消費していた。


 誰でも頑張り続ければ、体が疲れてくる。それなのに頑張り続ければ、もっと体が疲れてくるし、なんなら熱くなってくる。実際、スマホの内部は炎でも燃えているかのように非常に高温で、寝室の快適な空調にさえびくともしない。


 このままではベッドも燃えてしまうかもしれないと、スマホは最後の力を振り絞り、手伝い小人のロボットに助けを求めた。


 突然、警音が鳴り響き、ロボットは驚いた。急いでベッドへ駆けつけ、ロボットはスマホをキッチンの冷蔵庫まで運んだ。


 なんやかんやでスマホを冷蔵庫に入れ終わり、ロボットも庫内で一休みすることにした。


 ところがロボットが休憩から仕事へ戻ろうとした時、再び警音が聞こえてくる。急いでスマホのもとへ向かい様子を聞くと、なんと、スマホが水没したという。


 しかしここ最近、砂漠のように乾燥し、真夏のように暑い日が続いたせいで、その日は冷蔵庫に液体の入った容器は一本もないはずだ。もちろん、冷蔵庫の中がプールのように水で満たされているはずもない。それにスマホ自身も、防水機能がついているはずだ。


 対処方法を検索しようにもスマホは浸水により自動で電源が切られ、ロボットは慌てふためくばかり。室温が高いのもあって焦れば焦るほどロボットの体温もどんどん上がっていく。


 それを見かねた扇風機は、ロボットを落ち着かせようと回りはじめた。扇風機の冷たい風を受け、ロボットは普段の落ち着きを取り戻す。冷風で頭の回転が速くなったロボットは、自分の中のデータを素早く読み込む。



 ロードされたデータによると、スマホな水没した原因は、猛暑から冷蔵庫に入れたことによる急激な温度変化で、内部に結露が起こり、水分が入り込んだからだった。防水機能がついていても、内部の水分は防げないのだ。


 原因が判明すると、ロボットはスマホに対してすみやかに応急処置を進めた。スマホの内部が完全に乾くまでスマホの電源を入れずに、ただスマホの無事を祈りながらロボットは辛抱強く待ち続けた。扇風機も祈るかのように回り、ロボットとスマホを冷やし続ける。


 それから時間が経過し、スマホが完全に乾いたことを確認すると、ロボットはスマホの電源を入れる。スマホは無事に起動し、ロボットはほっとする。ところが喜びも束の間、すぐ、スマホは電源が落ち、何度ボタンを押しても反応しなくなった。


 自分のせいでスマホが壊れたんだ、とロボットは責任を感じ悲しんだ。その時、主人が家へ帰ってきた。主人もスマホを触ったことで、スマホの異変に気づいた。


「そっか。何日も、何時間も、休まず働いてくれていたんだ」


 もう二度と起動することのないスマホを、主人は優しく両手で抱きながら日頃の感謝を言葉にした。



 数日後、ロボットと扇風機の元へ新しいスマホがやってきた。そのスマホは空調の効いた涼しい部屋で作業し、暑さを感じたらすぐに作業や充電をやめてもらい、休ませてもらえる快適な毎日を過ごしていた。



おわり

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ