異世界いってもハーレムなし
そこは真っ白な空間だった。
さっきまで普段通りの生活をしていたはずだった。
今日も元気に職場に行き、午後5時でカバンに荷物を詰めて午後5時15分の就業時間の終わりを待っていたはす。
「どこここ。」
一人ごとを呟いてみる。
「あなたは死にました」
声がしたほうを振り向いてみると年齢は40歳後半くらいの色っぽい女の人が立っていた。
服は胸元が大きくあいた黒いイブニングドレスを着ていた。
きた! キター!!
これは念願の異世界じゃないの?!
俺も異世界にいったらチートでモテモテで女の子とウハウハした乱れた生活がおくれちゃったりするんじゃないですか。
俺の時代がやっときたよ。
平成の終わりまでには異世界転生できると思ってたのに、年号も令和に変わってから5年も経っちゃったよ。
妙齢の女性がじっとこちらを見ている。
俺の勘が告げている、きっとこの人は女神だ。
なろう黎明期からずっと異世界小説を追いかけている中年の俺が言うんだから間違いない。
美人、露出過多、熟女
全てが俺の女神像に合致しとる。
間違いない、彼女はきっと女神だ。
最近のなろうとかノクターンだとこの女神すら攻略してオホーってできるみたいだけどそんな都合よくできないのかな。
「あのー、すいません。突然で混乱していますよね。」
挙動不審なわけでもなく、不自然に上から目線でもない。
いたって普通の最初の会話だった。
ノジャロリだとかお嬢様口調などを期待していたのに裏切られた。
理不尽な仕打ちを受けてからのざまあ展開はなさそうだ。
「あなたをここに連れてきたのは私です。お話ししたかったことはあなたの住んでいた世界とは別の世界に行ってみませんかという提案をするためです。」
「異世界ですね、わかりましたいつでもオッケーです。こちとらスマホ小説で異世界に行く予習は常にしているので、いつ行きますか? もしかしてこの場でチュートリアルを100年くらいしてから最強状態で転生したりできますか。」
こちらが食い気味にまくしたてると女神は答えた。
「あなたを突然ここに召還してしまって混乱しているかと心配していたのですが、そんなに簡単に異世界にいくといいことを納得してしまって大丈夫ですか。 こちらとしては異世界に行っていただけるのであればあなたの異世界での生活に役立つスキルを与えようと思っています。」
「私がこれから行く世界はどういった世界なのですか。」
「基本的にはあなたが現世でたくさん読んできた剣と魔法、スキルのある世界でモンスターがいる世界になります。」
「ほんとに女神さまからのスキルをもらえるんですか?! 鑑定とか、すこし古いけど相手の能力を奪える強奪などが欲しいです。あと異世界の言葉がわからないと苦労しそうなので翻訳が欲しいです。」
「これからあなたが行く異世界には現世ほどの医療はないので健康(大)と経験値アップ10倍もステータスに追加しておきます。」
「何から何までありがとうございます。じゃあさっそく異世界に行きますかね。できることなら転生よりも転移が希望です。」
「わかりました。転移にいたします。では異世界でもお元気で。さらに勝手にあたなたを召還して異世界に送り付けるような行いを重ね重ねお詫びいたします。」
「いえいえ。私もあこがれていた異世界に行くことができて心が躍っています。 異世界にいったら地球の現世ではできなかった冒険と暴力とハーレムを味わい尽くしたいと思います。」
女神が右手を差し出すと私の足元に魔法陣が現れた。
その魔法陣に自分の体がドロドロになって吸い込まれていく。
え、思っていたよりも大分グロくね?
その光景にショックを受けていると意識がなくなった。
排水溝にゲロが吸い込まれていくように人影が吸い込まれていったのを見届けたあとに女神が言った。
「まあ、異世界といってもコンプライアンスはゴリゴリなんですけどね。」