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ビボウロク

作者: 小鳥遊

みなさんは忘れている事、ありませんか?

 

 おじいちゃんが認知症になったらしい。


 私が10歳の時に、お母さんがそうやって私に言った。


 その時の私は認知症なんてものが、どんなものかはっきり分かってなかったし、そこまで会うことも無かったおじいちゃんが認知症になった所で、どうかするわけでも無かった。別に、おじいちゃんが嫌いだとか、そういうのじゃなかったけど、単に思いを馳せることが出来なかったんだと思う。そんな訳で、その頃の記憶は曖昧だ。色々と忘れてしまった。


 でも、その時のお母さんの深刻そうに、悲しむ顔だけは覚えてるかな。


 


 それで、そこからお母さんが介護生活を始めた。おばあちゃんは少し先に旅立ってしまっていて、身内ではお母さんしか介護出来る人が居なかったそう。施設に預けるお金も潤沢にあるわけじゃ無かったし、第一におじいちゃんが嫌がっていた。


 私はお父さんと、時々おじいちゃんの家に行ってお母さんの手伝いをしていた。といっても、半年に一度くらいだ。お父さんがそこまで休みを取れる環境じゃ無かったし、おじいちゃんの家は遠かったから。それでも、おじいちゃんと顔を合わせる機会は格段に増えた。


 おじいちゃんは年に一度顔を合わせるだけ、くらいの私の事なんか、すっかり忘れてしまっていたし、お母さんによれば毎日顔を合わせる自分の事も、たまに忘れてしまうのだそう。


 その時は、人の記憶なんて呆気なく崩れてしまうんだな。とか、気取ったことを考えたりしてたっけ。


 日に日に悪化していく症状を、お母さんはただ優しく、見つめていた。


 私は、たまに手伝いに行って、それから学校で勉強して、高校に入って。授業で認知症の事を習ったりもしたっけ。その時は少し、気分が良かったかな。実例がすぐそばにあって、先生の言う事が手に取る様に分かるんだもの。今思えば、ちょっと酷いよね。


 そんなこんなで月日が経って、八年経ってもそんな生活が変わることは無かった。


 しかし、変わり映えの無い生活の中で一つ、お母さんには不可解なことがあるそう。おじいちゃんは八年間ずっと、決まった時間になると家を出ようとするそうだ。認知症患者としては何らおかしくない症状の一つなのだが、お母さんからしたら、どこか妙に映ったらしい。


 それから私は大学に進学して、おじいちゃんの家には行かなかくなった。勉強や生活が忙しい、とか両親にはそう言っていたけど実は、……ただ面倒臭かったからだ。


 その後、おじいちゃんは亡くなった。九十歳だったそうだ。


 


 ――これが、十八年間の、おじいちゃんと認知症についての記憶だ。頭の片隅に残っていた、取り留めのない記憶達を継ぎ合わせたものだ。少し多く語った気がしたけど、十八年って言われるとたったこれっぽっちだよね。


 


 私は、今はもう28歳。都内の会社に勤めてて、今は一人暮らしをしている。どうしてこんな事を思い起こしたのか。


 お母さんが認知症になったらしい。


 お父さんが、そうやって私にメールを寄越したからだ。


 ろくに連絡もしていなかったお父さんから、突然そう送られてきたのだ。


 私は暫くしてから、休みの日にお父さんの所へ会いに行った。


「――お父さん」


「おお、千絵。よく来たな、仕事、忙しいんだろう……?」


「まあね。……でも、あんまり顔出さないのも悪いし」


 お父さんはずっと申し訳無さそうな顔をしたままだ。


「それで、お母さんは?」


「ああ、今は眠っているよ……、千絵も、朝早くから悪いな」


「うん、ちょっと話聞かせてよ」


 そう言って私は実家の玄関に上がった。


 


 


 お母さんはおじいちゃんと同じアルツハイマー型認知症で、先天的なモノらしい。というのも認知症というのは遺伝する様で、この型の認知症になる人は、半分以上が遺伝が原因だそうだ。


 今はお父さんが介護しているそうだが、お父さんももう六十を過ぎた頃だ。老体には、肉体的にも精神的にも堪えるらしい。


「千絵」


 今までそうやって話していたお父さんは、何かを決心したように言った。さっきまでの申し訳無さそうな顔の上から、真剣な面を張り合わせたみたいに、表情が変わる。


「実家に、帰って来てくれないか……?」


 私はそれを聞いた瞬間、腹が立ってしまった。


「――待って、いや、お父さんが大変なのも分かるよ? でもさ、私だって仕事があるし、それに介護の経験だって……。いや、おじいちゃんのことで、ちょっとはあるけどさ。でも……」


 一気に捲し立てて、次第に言葉に詰まってしまった。出来ない理由を探して、探して。


「……貯金はあるから、千絵が生活に困ることは無い筈だし、保険金も出るんだ。それに、お母さんだって千絵が居てくれれば、安心するはずだから……」


 私の反応を見てか、お父さんに張り付いていた表情は剝がれていって、申し訳無さそうな顔が再び現れる。


 私だって、人生を楽しみたい。仕事は毎日大変だし、最近はやりたいことも出来て無い、というかやりたいことすら無くなってしまって、それに彼氏も出来ないし、でも……。


 あれ……?そんな筈……。


 冷や汗みたいなのが、額を伝う感覚を覚えた。ぎゅっと膝の上の手を握りしめる。


 私は今、焦っている。思った程人生が詰まらない物だと、知ってしまわない様に。


「……お母さん、起きたみたいだ」


 その言葉で、私は意識の海から引きあげられた。このままじゃどうにかなってしまいそうで、取り敢えずお母さんを一目、見てみたかった。


 


「あら、千絵。よく来たわね~」


 ベッドに背を預けるお母さんは、目を擦ってから、私を一目見るなりそう言った。私の事は、まだ覚えているみたいだ。私はどこか、安心した。


 しかし、次第に私の事すらも、忘れてしまうのだろう。おじいちゃんが、お母さんに対してそうだった様に。お母さんが介護生活を始めてから、私はろくに顔も合わせずに今があるのだ。きっと私の事なんか、直ぐに忘れてしまうだろう。


 


 ――その時、私は実感した。人に忘れられてしまう事に対する、恐怖みたいなのを。私は怖かった。実の母親に忘れられてしまう事が。


 


 私が手伝いにおじいちゃんの家に行った時。私の前であんなに張り切っていたお母さんは今、介護用のベッドの上にいる。ただし、にこやかな笑顔は、変わることは無い。お母さんにはそんな笑顔と、それから娘である私の事を忘れて欲しくないと、そう思った。


 その日から私の、お母さんの介護生活が始まった。


 仕事は辞めて、住んでいたアパートも退去届を出した。荷物だとか道具は全部送って、私も、昔過ごしていた部屋に戻って来た。東京に残して来たものはたったの、未練だけだ。


 最初の方は、何をすればいいかお父さんが教えてくれて、探り探りでお母さんの生活を援助していた。


 お母さんが起きている時は、常に様子を見張らないといけないらしい。というのも、目を離してしまうとどこかをほっつき歩いたりしてしまうそうで、本当に常に、様子を監視する必要があるそうだ。私とお父さんで、交代で監視をすることにした。


 そしてもう一つ、お父さんから教えられたことがある。それは、思いやることだ。


 突拍子もない行動にイライラしてつい怒鳴ってしまうと、その時の負の感情は残ってしまい、その人を恐れる対象として見てしまうそうなのだ。だから、話す時は目線を合わせて、優しい口調で話さないといけない。

 

 そんな感じで、忙しい日々の元、時間は過ぎていった。慌しく過ごしていると、時間は直ぐに過ぎ去っていく。

 


 そうして、一ヵ月が経った。


 慣れというのは怖いもので、東京での多忙な職務生活はもうすっかり忘れてしまった。今は、段々と介護生活での遅寝早起きが習慣付いて来た頃だ。お父さんと日替わりで健康に気を付けた食事を作っているので、皮肉にもレトルト食品やカップ麺ばかりだった以前より、食生活は健康そのものだ。たださっきの通り、在宅介護では睡眠時間の確保が難しい。


 ましてや一日中、見守ることに気を張らないといけないので、お父さんが居なければ、私が先にくたばってしまいそうだ。お母さんはこんな生活を、十数年もの間一人で続けていたんだなと、心苦しくもなった。


 お父さんは時々、私に気を使ってか商店街のロールケーキを買ってきてくれる。私が昔好きだったものだ。家を出てからも、自分へのご褒美はロールケーキ、と決めていたくらいには好きだった。


 私は久々に、人の暖かさに触れた気がした。ずっと忘れていた、私を想ってくれる人の、温かさを。


 


 そして、分かったことがある。お母さんは、毎日午前十時に、家を出て何処かへ向かおうとするのだ。


 何処へ行くの?と聞いても、お母さんは「分からない」と答える。「そんな事していたかしら」とも。


 


 そうだ。おじいちゃんと同じなのだ。おじいちゃんは定時になると、どこかへ向かおうとする。お母さんはそう話していた。きっとおじいちゃんも、今のお母さんと同じ様な返事をしたのだろう。昔、お母さんが不可解そうにしていたものだから、優に想像が出来る。


 親子なんだな、と納得するような感情と共にもう一つ、ある感情が私の中に浮かんで来た。


「ねえ、お父さん。お母さんは毎日、何処に向かおうとしてるんだと思う?」


 その疑問をお父さんにぶつけてみたが、明快な回答はなく、結局お父さんにも分からない様だった。


 毎日、欠かさず徘徊を止めないお母さんを見ていると、日に日にその疑問は膨れ上がって、いつからかずうっとそんなことを考えるようになった。


 だから、少し調べてみた。インターネットで適当に「認知症」だとか、「記憶」だとかそういうキーワードを検索機能の欄に詰め込んでみたり、書店で認知症に関しての本を買ってみたり。……そんなのじっくり読む時間なんか無かったんだけどね。


 そうやって上辺だけをなぞって得た知識だけで、私は一つ結論を出した。


「お父さん。お母さん、もう寝たみたい」


「ああ、そうか。今日もお疲れ様、千絵」


 ストン、と横開きの扉が音を立てる。私はお父さんの向かいに腰を下ろした。


「ね、お父さん。この前の話なんだけどさ」


「ん、ああ。お母さんがどこに行こうとしてるのか、だったか。確かに、今日も十時丁度だったな」


「そう。そのことについて、ちょっと調べてみたんだ。って言っても、素人の私が勝手にまとめただけなんだけどね」


 テーブルの上のお茶を一口、喉を潤してから再び話す。


「おじいちゃんも、今のお母さんと同じ様な徘徊症状があるって、言ってたよね。多分、お母さんとおじいちゃん、一緒だと思うんだ。……えっと、症状の話ね。きっと、向かおうとしてる所に、『何か』があると思うんだ」


 上手く纏まらない稚拙な語らいを、お父さんは真面目な表情で聞いてくれている。そこまで真剣な表情で聞かれると、こちらの方が恥ずかしくなってきてしまう。


「何か……、か。でも、徘徊症状ってのは、他の認知症患者にもよくある事なんだろう? もしかしたら、特別な事じゃないのかもしれないぞ?」


「十分前の昼食の事も覚えていられないのに、毎日同じ時間に毎日同じ方向へ向かおうとするかな……、普通」


「……なるほど」


 お父さんは顎に手を当てて、考える素振りを見せる。この事をそこまで気にしていない様だったお父さんだが、今初めて、真剣に考えてくれているみたいだ。


「しかし、その何かというのが、なかなか思い当たるような事が無くてな……。三十年以上も連れ添っているのに、何だか不甲斐ないな……」


「お父さんが気負う事じゃないと思うけど。それに、介護生活が始まってからは中々会えなかったワケだし、しょうがないでしょ」


 顔を下に向けて、声も段々と小さくなっていって、分かり易く落ち込むお父さんを慰めていると、この人ももう年で弱ってきてるんだなと実感させられる。無理も無いか。妻が認知症になって、自分は娘の前で不甲斐ない様子を晒して。それに、もしかしたら私と同じ事、思ってるのかもしれないな。お母さんに忘れられちゃうのが、怖いって。


 私は、お父さんも同じことを思ってるかもしれない、と考えただけで、少し安心した気がした。


「……それでさ、一つ提案なんだけど」


 お父さんは顔を上げてこちらを向く。


「明日さ、お母さんと一緒に出掛けない? もちろん、お母さんの行こうとしてる所にさ」


 お父さんは上げた顔で、そのまま驚いた表情を見せる。「大丈夫か?」と、顔に書いてあるみたいだ。


「いや、私達でちゃんと注意して観察して、危なくない様にしてさ。そうすれば、お母さんがどこに行こうとしてるのか、分かるかもしれないじゃん?」


「それは、そうだが……、千絵は、そこまでして知りたいのか……?」


 私は瞳を据えて「うん」と、牢とした表情で答えた。


 この感じ、今まで適当に過ごしてきて、忘れてしまっていた親孝行の想いがまた芽生えた。とかだったらいいな。


 


 ――次の日の午前十時前。


 今、私とお父さんは支度を済ませて、お母さんが動き始めるのを待って居る所だ。


「しかし、本当に大丈夫か……? もし車にでも撥ねられたりしたら……」


「もう、大丈夫だって。この時間、あんま車通らないし。それに私達が見てるんだから」


 お父さんは未だに不安そうだ。


「千絵、やっぱり……」


「ほら、お母さん動き出した。行くよ」


 弱気なお父さんの言葉を遮って、私はわざと強めの口調で言った。


 お母さんはベッドから降りると、そのまま玄関に向かって一直線に歩いていく。私達はその後を追って、自然な風に歩いた。


 お母さんは昔みたいに靴を履き、家を出て行った。すると、迷いなく家の右に曲がっていく。いつも部屋の中をうろうろしていたりするのに、今のお母さんはスタスタと、軽快な足取りで歩いている。


 予想通り、この時間の車通りは少ない。それに、お母さんもしっかりと歩道の所を歩いているので、特に危険といった感じはしない。


 私達も二人で後をつけていると、突然お母さんが曲がったので少し驚いた。


 そんなお母さんが方向を変えて入っていたのは、花屋だった。


「花屋だね」


「そうだな」


 店の中へ入っていったお母さんは、にこやかな表情で店員と少し会話を交わしたかと思うと、そのすぐ後に店員はレジのあるカウンターの所から、白いカーネーションの花束を取り出した。


 すると、店員はこちらに気が付いたのか、私達にの方に笑顔で会釈をする。私はそれに会釈を返してやった。


「お母さん、楽しそうだね。ここ、よく来たの?」


「俺は、お母さんの付き添いでたまに来ていた。千絵は、あまり馴染み無い場所かもしれないな。昔は、こうやって店先でお母さんの選ぶのをよく待って居たものだ……」


「へえ」


 お父さんの不安な表情はすっかり消え去り、今は穏やかな顔をしている。この間、久しぶりに会った時の張り付いたような表情ではなく、きっと心から。


 店員から三本程見繕ってもらうと、お母さんは軽く頭を下げて、振り返った。


「ヤバ」


 私達は急いで店の陰に隠れる。幸い、お母さんが私達に気付いた様子は無い。


「ふぅ……、危な……」


「しかし、お母さんの行きたかった場所とは、ここの花屋だったのか」


「……どーやら、違うみたいだよ」


 店を出たお母さんは、家とは反対の方向に歩き出す。やはり、その足取りは昔を思い出させるようなものだった。


「行こ、お父さん」


「……ああ」


 さっきまで、一段と老けて見えていたお父さんの顔は、なんだかまた若返ったみたいだった。


 


 


 


「ここは……」


 ずっと道路の脇を歩いて行くお母さんを追って、暫く歩いた後。お母さんはある所に入っていった。


 市街地の中にある――墓地だ。大小様々なお墓が詰めるように設置されている。


「お母さん、どうして墓地なんかに……? お父さん、何か――」


 そう言って振り向くと、お父さんの瞳からは涙が、流れていた。瞳から零れた粒が、頬を伝って落ちていく。繰り返し一粒。


 私はその様子に驚いて、その間、立ち尽くすお父さんを見つめていた。


 それから、ハッとして私は、お父さんの見つめる先を向いた。


 


 お母さんは、三本の白いカーネーションを墓前に添え、手を合わせていた。


「……おじいちゃんの、お墓だ」


 お父さんは私に、震えた声で言う。


 その瞬間、私は心臓を掴まれたような感覚がして、声すら出せなかった。喉元まで出掛かった言葉は霧の様に散って、考えていたことはみんな掻き消された。


 私とお父さんは、安らかな顔で手を合わせるお母さんを、ただ見つめていた。


 照り付ける太陽のせいで、景色がゆらゆらと揺れる。蝉時雨は私達の間の沈黙を取り持った。


 


 暫くして、お母さんは合わせていた手を解いて、立ち上がった。


「あら、お父さん。それに、千絵も」


 今は、覚えていてくれるだけでも、十分だ。


「お母さん、今さ、なんでここに、来たの?」


 継ぎ接ぎの間を置いて、私は問う。


「……? うーんと、なんでだったかしら?」


 それを聞いた瞬間、私の両眼から、涙が溢れ出した。水分がぽたぽた、と頬を伝って滴り落ちる。鼻を啜って、瞼を擦ってそれを止めようとしても、やっぱり溢れてくる。


「ちょっと、どうしたの、急に」


 いきなり泣き出した私を見て、お母さんは変に思っただろうか。


 でも、きっとそんな変に思った事も、すぐに忘れてしまうのだろう。ろくに親孝行してこなかった娘の事なんて、この先いつか忘れてしまうのだろう。愛を誓った夫の事も、きっといつか忘れてしまうのだろう。


 私は今更、自分が忘れ去られてしまう事を、お母さんが全部を忘れて行くことを、悲しく思った。


 ちょっと前までは、怖かったけど、悲しくなかった。


 でも今は怖くて悲しくて、いつかまた泣いてしまいそうだ。


「さあ、帰りましょ。そろそろ食事にしたいわ」


「お母さん、朝ごはん、……さっき食べたでしょ」


「あら、そうだったかしら?」


 


 


 


 私のお母さんは認知症になって、記憶が曖昧になってしまった。


 数分前の食事の事も忘れてしまうし、知らないところに電話を掛けたりもする。意味も無く部屋を歩いたり、そんなのばっかりだ。


 でも、そんなお母さんは決まって毎日、午前十時におじいちゃんのお墓へと向かう。その時間は、その場所は、お母さんにとって大切なところ。記憶が欠けていって、自分がどうして、誰に花を手向けるのかすらも分からないお母さんは、今日も変わらず白のカーネーションを贈る。


 


 ――――私達は、どうかな。記憶も、考える力も残っている私達。


 


 そんな私達は、忘れずにお墓参り、出来てるかな。


 忘れずに自分を、保てているかな。


 忘れずに大切な人の事を、想えているかな。

こんにちは、小鳥遊といいます。

初投稿になります。

ふと、思ったことを文にしたいと思ってこの小説を書きました。宜しくお願いします。



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