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変態映画監督あらわる!!

僕には小説家になるという夢があった。

町中をただブラブラ歩き回って、目についたものをネタに物語をつくる。小学生のころの僕はそれが楽しくて仕方なかった。誰に見せる訳でもないが頭の中でつくった物語をノートに書き、それを『夢ノート』と名付けた。『夢ノート』の7冊目を書き切った頃、おじさんとおばさんが中学校入学祝いだと言って3DSを買ってくれた。その結果、『夢ノート』の8冊目が書かれることはなかった。

まあよくある話である。

小っちゃい頃は本気で小説家になりたかった。だけど目の前の快楽や日々のあれこれに埋もれて、そんな夢も、小説の書き方も忘れてしまった。

そんな時だ。あいつらが僕の前に現れたのは。

「九十九くんだね?」

短く切り揃えられた黒く艶のある髪。身長は大体160cmくらい。

そしておそらく…Dカップ。

「あ…うん」

「よかった!私はニノマエ」

「知ってるよ」

「なんで?」

「なんでって…さっき自己紹介してたから。転校してきたニノマエさんでしょ?」

「おー!覚えててくれたんだ!」

「うん、特徴的な名前だったから。むしろなんでニノマエさんは僕の名前を知ってるの?」

「あはは、ニノマエでいいよ。君の名前を知ってる理由は、私はあなたに会うために転校してきたからだよ」

…聞き間違いか?

「ニノマエさん…僕たち初対面だよね?」

「だからニノマエでいいってー。うん、初対面だね」

「だよね。なのに僕に会うために転校ってどういう…?」

「私、世界一の映画監督になるっていう夢があるの。で、その夢を叶えるためにあなたの密着ドキュメンタリー映画を撮りたい。だから転校してきたの」

…この人、もしかしてやばい奴?

「す、素晴らしい夢だと思うよ。でも僕はドキュメンタリー映画に出来るほど濃密で刺激的な日々はおくってないけど」

「いいや!この地球上であなたほど濃密で刺激的な日々をおくってる人はいない!例え今はおくってないとしても、すぐにおくることになる」

OK。かなりやばい奴。

「ごめんニノマエさん。僕…そういう話には興味ないかな。悪いけど断るよ」

「ニノマエでいいよ。それでこれからのことなんだけど、さっそく今日の放課後からカメラを…」

「ニノマエさん人の話聞いてる?断るって言ったんだけど」

「だからニノマエで…」

「ニノマエ」

「はい」

「断る」

「いやだ!!」

突然の大声。今まで落ち着いていたニノマエが手足をばたつかせて暴れている。

これは驚いた。高校二年生から小学二年生へメタモルフォーゼだ。

驚いている僕の顔を見て、ニノマエはにやりと不敵な笑みをうかべた。

「どう?必殺やだやだアタック」

「よく高校生になってそんなこと出来るなって感心してる」

「その顔…やるしかないと覚悟を決めた顔ね」

「いえ、どん引いてる顔です」

「なんでよー!!」

必殺やだやだアタックが通じないと分かるやいなや、今度は胸ぐらを掴み泣きついてくるニノマエ。最初の上品なイメージはどこえやら、話しかけられたとき少しドキッとした過去の自分を殴りたい。

「なあお願いだよー!九十九!九十九くーん!九十九さーん!!」

その幼稚かつ凶暴な行動がさすがに目に余ったのか、誰かが呼んできた体育教師の田村によって引きずられていくニノマエ。

ニノマエと田村がいなくなった教室では、重苦しい沈黙とみんなの僕に対する冷ややかな視線だけが残った。

まあこうして僕とニノマエは出会ったわけだが、だからといってすぐになにか変わるわけでもなく、一日は平穏にすぎていく。

そしてニノマエのことさえ忘れそうになっていた六限目に、事件は起きた。

「九十九くん」

「ん?あ…はい!」

体育の授業中、僕に話しかけてきたのはクラスのマドンナ、栗原美歩さんだった。

「今いいかな?」

「う、うん。どうしたの?」

「実は九十九くんに大事な話があって…放課後時間あるかな?」

「え…あるけど…」

「よかったあ!じゃあ放課後、被服室に集合ね!」

「あ…うん」

「約束だからね!来なかったら承知しないから!」

「う、うん…おっけー」

おおジーザス。

手を振りながら、笑顔で走り去っていく栗原さん。

その笑顔の美しさときたら。きっと光源氏も失神するに違いない。


そうしてウキウキで迎えた放課後。

終礼が終わるやいなや、僕は教室から飛び出した。

「廊下をはしるなー」

どこからか聞こえる田村の声。うるさいな。別に良いだろ廊下走るくらい。

そんなこと言ってるから35歳で独身なんだ。

「すいませーん」

一度止まり、適当に謝ってまた走り始める。そうしてついに、僕は被服室に到着した。

扉の前で胸に手を置き深呼吸。僕の人生史上最高の笑顔で扉を開ける。

「お待たせ栗原さん!」

放課後の被服室は窓から夕日が差し込み、ほんのりと赤い。机の上にはミシンが均一に並べられ少し不気味に思えた。教室を見渡す限り人影は…ない。

「ちょっと早すぎたか」

おかしいな。栗原さん教室にはいなかったと思うんだけど。

扉を閉めて教室の中に入る。最初は椅子に座っていたのだが、どうも落ち着かず立ってうろうろしてしまう。

ぴちゃ。

うわっ…何か踏んだ。しかも液状の何か。

しゃがんで足下を確認する。

「これは…赤の染料?」

おいおい危ないな。俺はいいけど栗原さんが踏んだらどうするんだ。

後で家庭科の先生にチクっておかねば。

しかしこの染料、どうも目の前の棚から垂れてきているらしい。

何気なく棚の取っ手に手をかける。

「お、重いな…」

片手から両手に。思い切り力を込めて…引くっ!!

重々しい音と共に棚が開く。赤い染料が床に一気に広がっていく。

そして中に入っている物を見てビックリ仰天。

それは…折りたたまれた栗原さんだった。

初めまして竹藤大雅です!

なんか一話だとニノマエのヤバさが表現しきれなくて誠に遺憾であります。

これからどんどん強烈でイカレタ話になっていくのでお楽しみに!

最後に一応…主人公の名前の呼び方はツクモです

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