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魔女セリスと8人の大魔女 〜この世で二度目の大厄災〜  作者: もーる
第8章 未来のための分岐点

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89頁目.スターヴと孤児院と憎むべき悪と……

 次の日の昼、セリスたちはエストが待ち合わせ場所に指定したヘルフス王都の監獄前にやってきた。

 すると、そこにはロヴィアとシバの姿があった。



「あ、来た。数日ぶりね」


『ロヴィア、首尾はどうだ?』


「予定通り、2人の大災司(ファリストス)から情報を引き出してきたわ。かなり苦労したけどね……」


「ロヴィア様、何かあったんです?」


「何かあったのは私じゃなくて、シバの方」



 セリスたちはシバの方を見下ろす。

 フィンはシバを心配して声をかける。



「シ、シバ、大丈夫なの?」


「今は、大丈夫。シバ、土震(どしん)魔法で、あの2人になった。とても、後悔、してる」


「水の大災司(ファリストス)・コラプスは理性が吹き飛んで乱心中。火の大災司(ファリストス)・デモニアは五感が失われて完全廃人状態。こんな人間の殻をコピーして平気でいられるはずがなかったのよ。魂の底にある記憶だけ引き出せれば良いとはいえ、一瞬でもこんな状態になれば心が壊れるのは自明の理だった」


『……その2つをこの数日で味わった、と? 大災司(ファリストス)とはいえこんな子供に体験させて良い精神状態じゃないのは確かだが、その2人にすると決めたのはアタシたちの方だったな……』


「クロ、気にしちゃダメよ。あたしたちがいくら悪いようにしないって言ったとしても、これはこの子たちの贖罪の代わりなんだから。それに、1度だけでなく2度もやったってことはちゃんと目的のために動いてくれたってことなんだし、むしろ感謝するべきだわ。それで結局、その記憶は読み取れたの?」



 シバはこくりと頷いた。



「その辺りの情報はスターヴに会った後よ。今、エストが手続きに行ってるところだから」


「もう戻ってきてるっスよ」


「うにゃあ!?」



 ロヴィアは尻尾を跳ね上げ、後ろを振り返る。



「おー、良い反応」


「何で背後に立つのよ! 普通に話しかけるとかできないわけ!?」


「何でって、そりゃびっくりした時の反応を見たいからに決まってるじゃないっスか」


『まあ、ロヴィアは面白い反応してくれるからな。気持ちは分からなくもない』


「あんたらねぇ……」


「あ、手続きは終わったっスよ。ちょっと大人数だったんで流石に顔パスじゃ無理だったっス。予想以上にめっちゃ書類書かされたっス……」



 そう言って、エストはセリスたちに入館証を渡して監獄内部へと案内を始めた。



***



「このエリアは対魔導士用の設備が整っているっス。魔法はある程度の魔力がないと発動すらできないっスから、それを可能な限り遮断してるっス。体内魔力は空気中の魔力を使って回復してるっスから、施設内は魔力が遮断される仕組みになっているんスよ。あくまで囚人側の話っスけどね」


「今は王都ならどこにでもある設備ね。エストが作った魔法で構成されているんだったかしら」


「エスト様、そんな魔法があるなら対魔導士戦では最強なんじゃないですか?」


「何かあって範囲を絞れなかったら困るのはこっちもっスよ。ここは結界として魔法を展開できているから範囲を絞れているだけっス。しかも魔法としての構成が複雑すぎて、発動している間に攻撃されちゃって普通に負けると思うっス」


「残念……」


「さて、着いたっスよ」



 面会室と書かれた部屋の扉をエストは開く。

 セリスたちが面会室に入ると、そこには既にスターヴが椅子に座らされていた。

 腕と足は椅子に拘束されており、その瞳には闇が満ちていた。



「お前ら、何しに……」



 スターヴは憔悴しきっているようだったが、フィンの顔を見た瞬間、瞳に殺意が宿る。



「お前……っ!」


「そんなに憎まれる覚えはないんだけど。でも特に変わりなくて安心したよ。俺たちの復讐がまだだからね。ほら、おいで」


「シ……シバ……?」



 最後に入ってきたシバの姿を見て、スターヴは力が抜けたようだった。



「スターヴ、(にい)……」


「シバ、頼んだ通りにお願い」


「うん。スターヴ(にい)、隠してること、教えて」


「僕が、シバに隠してることだって……? いや、その前にどうしてシバがここに……?」


「スターヴ(にい)に、会いに来た。シバは、教団を裏切った」


「あぁ、やっぱりそこの男に誑かされてしまったんだね……。信じるべきはディーザ様とラミティカ様だけだって、ずっと言ってきただろう!?」



 シバは悲しげな表情で首を横に振る。



「ディーザ様、シバを殺そうとした。フィン様、助けてくれた」


「……何だって?」


『シバが言っていることは事実だぜ。実際にディーザに殺されたあたいが証人だ』



 いつの間にか、セリスたちの側にルインの魂が入ったゴーレムが出現していた。



「は……? 何だよ、お前。ゴーレムが、喋った……?」


『ルインだよ。シバの実の姉。何度も言わせてもらうが、決して、お前の親族じゃ、ねえ』


「……その言い方、確かにルインだね。でもその姿は一体……」


『さっき言ったじゃねえか。あたいはディーザに殺されたって。そして色々あって、今はこの姿になってんだ』


「シバ、本当かい?」


「本当。これ、ルイン」



 スターヴはしばらく押し黙った後、観念したかのように頷いた。



「ディーザ様がシバを殺そうとしたって話については、一旦信じるよ。いや、すぐには信じられないけど……! でも、シバが……そう言うのなら……」


『おい、しれっとあたいの証言を無視してんじゃねえよ』


「ディーザ様が本当にそんなことをしたなら、それは僕にとっても裏切りで……。確かにそれなら教団の情報を話しても問題はないってことになるのかな。でも、シバに秘密にしてることなんて僕にはないはずだけど……」


「教団のこと、教えて。スターヴ(にい)は、シバが知らないこと、知ってる。そう思うから」


「……なるほど、情報を引き出すために来たってことか。大魔女2人に加えてそこの男がここにいるのもそれが理由かな。分かった、今だけは恨み妬みは忘れてあげるよ。だから、シバだけに喋らせて安全圏から見守るなんてことはしないでもらえると、僕としてはありがたい」


「……分かった。それじゃ、俺が大魔女に代わって質問させてもらうよ」



 フィンの言葉にやや引きつった表情を見せつつも、スターヴは頷いた。



「闇の教団のこと、少なくともシバに教えていないことがあれば俺たちに教えて欲しい」


「フィン、とか言ったっけ。とりあえず1つ良いかな」


「うん、どうぞ」


「妬みを忘れようとしても忘れられなくなりそうだから、その腕にくっついているシバを離してもらえると助かるんだけど?」


「分かった。シバ、()()()()()()()()()()()()()から、今は離れてくれるかな」


「……ん」



 シバは小さく頷き、フィンの腕から離れる。

 当然、スターヴはフィンに憎悪を向けずにはいられなかったようで、ガタガタと暴れている。



「フィン……お前っ! お前ぇ……!!」



 フィンは横目でスターヴを見て不敵に微笑む。

 セリスたちは、これがフィンなりの復讐の仕方なのだと理解した。

 ルインから言葉が漏れる。



『おい、こいつは悪鬼か何かか?』


「フィンは優しい子だけど、ああいう手合いに対しては容赦がないのよ。ここまでするとは思わなかったけど」


「フィン、ほどほどにするっスよ。とりあえずは話を聞かないとっスから」


「ええ、分かってますよ。冗談みたいなものですから」



 スターヴは疲れたらしく、数秒で落ち着いた。

 そしてフィンのスタンスを理解したらしく、憎らしい目を向けている。



「お前のやり方はよく分かったとも。だがシバの頼みである以上、兄として断るわけにはいかない! 良いか、これはあくまでシバのためなんだからな!」


「はいはい、ってことは何かあるんだな?」


「あぁ、ディーザ様は数年前からある研究に明け暮れている。いや、明け暮れていた、が正しいかな。それはどうやら大厄災の再演とはまた別の目的のための研究らしいよ。確か、ファーリがどうとか、魔人がどうとか、そういった話をラミティカ様と交わしていた」


『魔人……! やはりあいつらはその存在を知っていたんだな!』


「もっと具体的な情報はないのか? あるいはもっと別の情報とか」


「はぁ!? もっとだって!? いいか、僕は大災司(ファリストス)とはいえ、コラプスさんやデモニアさんみたいな古参じゃないんだ! シバやルインが知らないことを僕が全て知っていると思ったら大間違いだからな!」



 フィンは少し考える。

 そして、スターヴに尋ねた。



「スターヴ、お前はルインよりも年上ってことで間違いないな?」


「ん? ルインっていくつだったっけ」


『あたいは生きてりゃ17だ。シバとは10歳差だから、シバは今年で7歳になる』


「僕は20だ。確かに、ルインよりは年上で間違いないね。それがどうかした?」


「それじゃ、孤児院ってところにいたのもスターヴの方が先?」


「……あぁ、そうだね。ルインとシバは6年前に孤児院に来た。僕があの孤児院に来たのは10年くらい前になるかな。それで?」



 フィンは続けて尋ねた。



「昔話をしてくれないかな。シバやルイン、そしてスターヴがいたっていう孤児院について。2人が来るより前のことを知っているのは、少なくともお前だけということになる」


「なるほど、そういうことか。確かにそれは僕だけしか知らない話だね。それじゃ、僕が……いや、()()()が10年前にあの孤児院に来た頃のことから話すとし――」



 それを聞いたセリスはハッとして、静かに目を瞑る。

 そして、魔眼を発動してスターヴが過去に集められた視点を視た。

 しばらくして、セリスは不意に呟いた。



「……妹が、いたのね?」


「ど、どうしてそれを……! あぁ……そうだよ。かつて僕には妹がいた。名をファミナといって……いや、妹のことを話すならもっと最初からの方が良さそうだね」


「その方が助かるよ」


「僕はメモラにある騎士の家に生まれた。剣の技はそこで磨いたものさ。普通の騎士である父と普通の人間の母の間に生まれた僕は、幼少まで裕福に暮らしていた。そんなある日、父が魔物討伐の遠征で殉死した。その報せを受けた日から、母は壊れた。そして、父の収入で支えられていた家計も、家庭も、全てが壊れてしまったんだ……」



 スターヴが紡ぐ言葉は重々しく、それが事実だったのだと伝えてくる。

 セリスたちはそれを息を呑んで聞いていた。



「壊れた母は、心の拠り所を探し続けた。そして色んな男と関係を持ち、やがて魔法使いとの間に子供をもうけた。それがファミナだ。それから、僕たちの新たな家庭は順調に前へと進み始めたんだ。ファミナは優しい両親に囲まれ、僕もその頃が一番幸せだったと思う。でも、ファミナが4歳になる頃、その生活も唐突に終わりを迎えた」


「……何が、あったんだ?」


「その魔法使いは母に興味などなかったんだ。そいつは最初から、ファミナの……魔力を持った魔女の血を集めるためだけに娘を生ませたに過ぎなかった。俺たちが散歩から家に帰ると、母はその男に殺されていた。そして、その男の殺意は妹へと向けられた。僕は妹をかばいながら、そいつをどうにか殺した。殺してやったのさ」


『魔法の実験に魔女の血、か。そいつはきっと、禁術指定の闇魔法にでも魅入られたんだろう。そういった供物を使った研究は十中八九、闇魔法の儀式だ』


「もう今さらそれが何かなんて、知ろうとも思わない。とにかく、僕は妹と一緒に逃げた。その男の仲間がいる可能性もあったし、それしかできることがなかったんだ。そして、僕たちはある孤児院に逃げ込んだ」


「そこが、闇の教団の孤児院?」



 スターヴは首を横に振った。



「そこはまた別の孤児院だよ。でも、妹が魔法を使えると知って、別の孤児院を紹介されたんだ。きっと、ディーザ様かラミティカ様が魔導士を集めるために色んなところに宣伝して回っていたんだと思う。そして、僕たちは教団が運営している孤児院に入ったんだ。それを知ったのはずっと後のことだけどね」


『あたいたちと似たような感じだな。けどよ、お前って魔導士じゃねえだろ。どうやって入れたんだ?』


「僕がファミナを置いていけるわけがないだろう? そこはラミティカ様を必死に説得したよ。まあ、説得するまでもなく受け入れてくれたんだけどね。だからこそ、僕は教団のみんなを心から信頼した」


「ちょ、ちょっと待って!? あんた、魔導士じゃなかったの!?」


「あぁ、そうだよ。僕が使っていた魔法は全て、あの魔導書に書かれていたものだからね。どうやら僕の魂のことを気にかけてくれているのか、魔導書が近くにあることは分かっているんだけど……」


「ちゃんと魔力干渉を受けない場所に保管してあるっス。距離さえ離れてなけりゃ、魔導書の中の魂が抜けることはないって分かってるっスから」


「そう、命を握られている気分っていうのはこんな感じなんだね。今は感謝しておくよ」



 すると、ノエルはスターヴに尋ねる。



『今ので話は終わりじゃないだろう? お前は最初に()()()妹がいた、と言った。教団の孤児院に入った後、一体何があった?』


「……それから間もなく死んだよ。男から妹をかばったって言ったけど、その時にあいつは妹に闇魔法をかけていた。ただの人間が、殺意を持って放たれた魔法を全てかばいきれるはずなんてないだろう? その魔法は毒のように妹の体力を奪い続けた。ラミティカ様も他の人たちも頑張って手当てしてくれたけど、ファミナは衰弱していった」


「闇魔法……毒……。禁術に指定されるだけあって凶悪な魔法もあるのね……」


「そして、ファミナは死んだ……。その日から僕は魔導士に恨みを持つようになったんだ。剣術を鍛えた。敵を知るために使えもしない魔法を学んだ。やがて教団に入って活動するようになった。魔導士を殺せる仕事なら、どんな汚れ仕事も請け負った。それが妹を失った僕にできる、数少ない復讐だった」


『それからしばらくして、あたいとシバが孤児院に来たんだな。既に大災司(ファリストス)だったこいつはシバを見るなり急に顔色を変えて、自分を兄と呼んで欲しいとか意味分かんねえこと言い始めたんだよな。ファミナとかいう妹の話を聞いた上でも、やっぱりお前の頭はおかしいとしか言いようがねえよ』


「そ、それには流石に同情するわ……。まあ、話を聞いた限りだと、こいつは色んな環境が重なって悪に染まってしまったのね。そう思うと、ディーザたちは孤児という純粋な存在を悪用している……ってことで確定して良さそうね。そしてきっと十分に手駒が揃ったから、孤児院の運営をやめたんだわ」



 スターヴは頷く。

 そして、言った。



「お前たちが聞きたいのはきっと、教団の昔の情報だったんだろう。でも、当時の僕は復讐に手いっぱいで、周りの環境に気を配っている暇なんてなかった。大災司(ファリストス)になってからようやく、自分の呪いと呼ばれる力が、色んな犠牲を伴う実験によって作り出されたものだと知ったくらいだからね」


『それを知った時、手を引こうとは思わなかったのか? お前の妹を結果的に奪ったのもそういった犠牲を伴う実験の成果だったんだろう?』


「お前のことはディーザ様から聞かされているよ。かつて『魔女狩り』があった頃に()()()()()()()()()()()、ってね。だとしたら、理解できるんじゃない? 誰かを殺した時点で、その手は死んでも汚れたままだ。そして、そのために得た力は簡単に手放すことなんてできないって」


『……あぁ、理解できるとも。確かにアタシは魔女狩りが終わってからも闇魔法の研究を続け、力を手放さなかった。だけどね、アタシはそれを別のことに使おうとしたよ。復讐なんてしても、あの日殺されたイースは喜ばないって気づいたんだ』


「ノエル……」



 ロヴィアとエストは悲しげにノエルを見つめている。

 セリスとフィンは初めて聞いた事実に驚きつつも、何も口にしないでいた。



「まあ、今となってはディーザ様やラミティカ様の都合の良い手駒さ。もう僕はシバに依存することくらいしかできることがなかったんだ。後に戻る道なんて、最初からなかったんだよ――」


「あー、ちょっとだけ口を挟ませてもらうっスよ。今のうちに言っておくっスけど、あんたには死刑が下されるのが確定してるっス。それがいつになるかはまだ決まってないっス。でも、考える時間は腐るほどあると思うっスよ。この意味、分かるっスか?」


「懺悔でもしろって言いたいのか? でも僕は後悔なんてしていない。魔導士が憎い。魔導士は悪だ。魔法はこの世の膿だ。呪いなんてクソくらえだ! そう思い続けて、ここまで走ってきた。妹のためだなんて思っちゃいない。これはあくまで僕の復讐なんだ。僕が最初から担っている罪だったんだ」


「それじゃ、シバを殺そうとしたディーザは憎くないの? あいつこそあんたが憎む魔導士で、あんたが憎む悪で、あんたがクソくらえと思ってる呪いの根源でしょ?」


「確かにここまで歩いてきた足跡だけを振り返ればディーザ様は間違いなく悪だ。憎むべき悪だろう。でも、どうしてかな……今の僕には何もできないって自覚してから、そんな気持ちはもう忘れてしまったよ」



 その瞳の闇はいつの間にか消えていた。

 セリスは告げた。



「あんたは、ただ()()だったのよ。幸せだった生活から恵まれない人災に見舞われて、結果的に悪い人たちに捕まって、個人的な復讐の道を歩んで……。でもあんたはその不運から目を背けた。あんたは不運から目を逸らし続けて、幸せを諦めちゃった。だから、今ここにいるのよ」


「幸せを諦める、だって? そもそもこの道のどこに幸せが転がってたっていうんだ? そんなものあったら――!」


「……やっぱり、幸せになりたかったのね。その言葉が聞ければ十分でしょう、エスト様?」


「あぁ、感謝するっス」


「おい、今のはどういう……」



 困惑するスターヴをよそに、セリスたちは頷き合う。

 セリスはフィンに尋ねる。



「フィン、あたしはもう十分よ。あんたは?」



 すると、フィンは1つ溜息を吐いて言った。



「……あーあ。うん、俺の方も気が変わったよ。こんな話を聞かされて、無体な真似をしようとは思わない。今日はもう帰ろう。ほら、シバも帰るよ」


「う……ん」


「おい、待ってくれよ……! 最後にシバと話くらい……」



 部屋を出ていこうとするセリスたちを、スターヴは必死に呼び止める。

 すると、エストが振り返って言った。



「スターヴ。あんたは死刑レベルの罪人っス。でも、それ以前に教団の被害者っス。きっとまた話を聞きに来るっスから、それまでは牢屋の中で何話すか考えておくっスよ」


「え……? わ、分かった……」



 呆然とするスターヴを残して、エストは面会室を最後に出てその扉の鍵を閉めた。

 こうして、セリスたちはスターヴとの面会を終え、エストの家へと戻るのだった。

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