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健やかなるときも病めるときも駄目なときも

『おっぱいで機嫌取れる男がいいです』


 社会との繋がりの無さに疲れ果てた結果、私の出した結論だ。


 どこかに理解者がいないか、一人でもいいと思い生きてきたけど、どうにもならないし人生ももう色々面倒になってきたので、そこに至った。


 そのため、婚活ガチ勢が多く登録していると噂のマッチングアプリの自由記入欄にそうやって記入した。


 だってもう私の学歴職歴容姿なにもかもがマッチングアプリにも結婚にも向いてないのだ。どこかしらに間借りした、引き取られたいという気持ちが強いし、正直明日犬に生まれ変わりワンワンワンワン言いながら必要とされて愛されたい以外に希望なんてない。


 たぶん『おっぱいで機嫌とれる男がいい』の記入欄に引っかかる男なんてヤバいのしかいないだろうけど、逆説的に考えれば身体目的とか既婚者は何かの罠とかマルチ商法を疑い来ない気がしたし、生粋の変態が釣れるんだったらもうそれでいい。


 だって変態ならこんな私でも許してくれそうだし、なによりおっぱいで機嫌取れるならそんなに楽なことないから。


 だからもうド変態でいい。


 そう思って誰か引っかかるのを待った結果──1人の男とマッチングした。


 そしてあれよあれよという間に結婚した。芸能人の交際●日婚とかよく話題になるけどそれだ。いわば私は「おっぱいで機嫌が取れるしおっぱいで機嫌が取れる男がいいですとマッチングアプリに登録した女を許せる男」を夫にした。


 ここまでの絶対に結婚式で語れないヒストリーを紹介すると、誰だってどんな男だろうと私の夫に対して疑問を抱くだろう。どんな仕事をしてるか、とか。


「明日は学会があるから少し早く出て少し遅くなる」


 そう言いながら私の作った朝食を食べるのは、私の旦那である宗吾(そうご)さんだ。名字は禍椎(かしい)。獅子井総合病院で小児科医として働いている。


 ちなみに獅子井総合病院は別に変態御用達のいかがわしいお店ではない。


 国から急性期医療認定を受けてる大きな病院で、様々な大学と提携し、「医者が選ぶここで診てもらいたい病院ランキング」で毎回3位以内にランクインしている。なのでちゃんと医師免許もちの小児科医だった。しかも住居はタワマン。


 なのでこの男は社会的に『まとも』であるが、マッチングアプリで「おっぱいで機嫌が取れる男がいいです」と書くような女と二週間で籍をいれた男である。


 普通に、狂ってると思う。スペックだけだと多分、「社長がいい!」みたいな夢を見ず、堅実に医者や税理士や弁護士を狙うタイプの港区女子とかが死ぬほど狙うタイプだろうし、ワンチャンとんでもないドスケベド変態だとしたら、普通にグラドルとかそっち系の女を狙いそうなので、どういう噛み合い方でこうなってるのか構造的に理解できない。


 そしてなにより理解不能なのは、この男がおっぱいを求めてこないところだ。


 電撃結婚と書かれるような結婚をして半年経つけど、一切の身体的接触が無い。身体的接触ありきのマッチングアプリプロフィールだったにも関わらず、本当に微塵もない。


 小児科医なので「おっぱい」は哺乳瓶ミルク的な意味の可能性を疑い、一応哺乳瓶も買った。でも、相手は小児科医、哺乳類でよちよちじゃなく普通に胸を所望していた場合、命の育みというか、母親が赤子にミルク飲ませる大変さを冒涜してると逆鱗に触れる可能性もあり、なおかつ宗吾さんは普段から無口だ。私と喋りたくないのかと思った時もあったけど、結婚前から日記をめちゃくちゃ書いているっぽいので、多分、音としてのお喋りが苦手な可能性がある。


 結婚し半年、こうして私は宗吾さんに対して様々な仮説をたて、謎の推理ゲームをしながら暮らしている。


 人の気持ちとかそういうものすべて考える事に疲れた果ての逃亡結婚に近いのに。


 私は少し疲労感を覚えながら朝食を食べていた。


◇◇◇


 宗吾さんを見送った私は、引っ越しの時になあなあで持ってきていた段ボールを処分していた。そこにはたくさんの楽譜がある。元々私は音楽に関する仕事をしていた。いわば作曲家だ。職人っぽいイメージを持たれがちだけど、商業においては人間関係がキモである。

 

 そしてそのキモ部分に途方もなく疲れた。誹謗中傷とか結果が出ないとか色々あるけど、普通に、人間関係が。


 内々に、進めていた曲があった。プロデューサーと一緒に、作詞家さんとの共同制作だ。私はその作詞家さんのファンで、一緒に仕事が出来ることが嬉しかった。でもその制作中、作詞家さんがもっと他に適任がいるんじゃないかと不安を持ち、企画をやめようと考えているとプロデューサーから深夜に連絡がきた。


 作詞家さんは専業なので、収入に強い不安がある。時間がかかるようなら作詞家さんが他に仕事する。作詞家さんは企画に思い入れがあるので、作品のウィークポイントを教えてほしい。作詞家さんは、私の曲に対して色々と短所を感じている。


 そういう、多分プロデューサー自身も整理しきれていないことが、一気に届いた。


 要するに私に求められていたのは、時間制限付きのプレゼンだ。相手の収入が関わる中、それを犠牲にしてでも自分のいいところを伝える、そういうプレゼン。


 伝えられなかったら企画は白紙、そういう構造。白紙化されたら、私は終わり。でも、相手の収入がある。


 頭の中にあるのは自分の作曲より、相手の収入のことしかなかった。そのうえで、プロデューサーさんに一応、プレゼンをした。


 駄目だった。それは違う、あれは違う。何を求められているか分からず、最後には、「スポンサーに交渉いただき企画を進めるかはあなたに判断してもらうほうがいいと思うんです」と言われた。私が強い人だかららしい。


 スポンサーに作曲家一人がなんて言って断れば許されるんだろう。作詞家を庇いながらどういえばいいんだろう。プロデューサーはそのための存在じゃないのか。色々悩んで考えて、ハッキリと分かったのは、私は、たぶん、存在が邪魔というだけ。


 でも、なんでか企画は進みだした。


 もう、よく分からなかった。


 もしかしたら当時作詞家さんが求めていたのは、「それを担う理由」「自分が必要かどうか」だったのかもしれない。


 収入が不安だったのは、多分、プロデューサーの進行が当初のスケジュールから二か月ズレたからだ。根拠は、私に対してスポンサーとの交渉をすると言っていた月から、まるまる二か月後、スポンサーのアドレスが分からないと私に質問があったからだ。


 その二ヶ月の空白、作詞家さんは制作待機状態であり、その期間中、プロデューサーはスポンサーのアドレスがないことに気付かなかったわけだから、待機時間中の説明も無かった可能性がある。


 どこも人手不足だし、家族のことでバタバタしている人だったから、仕方がない。


 結果的に作詞家さんには、スケジュールが見通せない収入不安と、私の作った曲が自分に適合するかの2つの不安をプロデューサーに向けたわけだが、おそらくその二つをミックスさせ、私に通した。


 そのミックス部分も、おそらく「作詞家さんの意向」と、「プロデューサーが考える作詞家さんの意向」が重なり、なおかつ作詞家さんがプロデューサーと解決したいことと、私に求めていることが混ざった状態だったために、混乱が発生したような気がする。


 ただ、全部私の想像でしかない。


 プロデューサーが作詞家を守ろうとすることは悪いことではない、でも、それを伝えるとき、作詞家が「仕事はしたい」という前提を持っているか、「仕事をしたいからこその不安なのか」を明確化せずに、「関係者さんは収入について不安がある」「他に適任がいるんじゃないかと言っている」と伝えると、もうこちらとしては、「自分の作曲を担当するのは迷惑になるから、駄目だ」となる構造がある。なにより、プロデューサーは、仕事を切れる立場にある。


 その後、たとえば作詞家さんは作詞をすることになったけど、真意は分からない。一応、作詞家さんについて悪く思ってないことだけは確かなので、それをプロデューサーに伝えたけど、多分駄目だった。


 プロデューサーの焦点は私が作詞家の言葉に傷ついた、私が肯定を求めていたになっていて、作詞家さんの気持ちは作品で私に伝わればいいと思っていたとの言葉があり、世界の違いを感じた。


 私は、自分の曲で人に迷惑がかかることを恐れている。そもそも私は、自分が生きていていいと思ったこと自体がない。


 作詞家さんを信じたいけど、収入の話があった以上、この作品は収入を犠牲にして生まれてるという視点を外すわけにはいかない。それに私は当時兼業だったけど、豊かな副業生活とはほど遠く、作曲活動そのものが負債にしかならない収入だ。


 そんなことを言えば関係する人間は、気を遣う。プレッシャーになる。だから黙っていた。だけど、プロデューサーからは「ビジネスライクな判断で」「あくまでビジネスなので」が連なり、疲れた。いい人だけど、途方もなく、理解しあえない人間は存在する。


 でもいい作品を作ろうとしてるなら、私がそういうレンズで作品に触れることは間違い。そしてプロデューサーさんは悪気がない。


 だから構造に問題があった。作詞家、作曲家、プロデューサー、全員の意向と、その意向の想像、誰が何を知っているか、どんな状況かを把握しないまま、物事が進んだことにたぶん問題がある。


 でも、それを私が言っても、当事者であるかぎり感情論で話をしていると見られるし、取り合ってはもらえない。傷ついたけれど、それを誰かに言う場所もないし、仮に言ったとしても「傷つくようには思えなかった」「あなたは強い人だから」と退路を断たれる。


 結局、私が一人であることは確かで、途方もなくなって、私は結婚に逃げた。


 私も私で生活は苦しかったし、毎日が来るのが怖い。もう誰にも理解されなくていいから独りぼっちじゃなくなりたい。私のことが何も分からなくても、もういい。私が辛いと言って、事態を解決することなんて望んでないから、辛かったねと言ってくれる人が欲しい。そして私が死んだとき、死ななくてよかった。死んでほしくなかったと言ってくれる人が欲しい。そういう話をしたときに、「あなたを必要な人はいっぱいいる」と言わずに、嫌だと言ってくれる人が一人でいいから欲しい。そういう話を作曲家時代に話をしたこともあるけど、みんな、「受賞したんだから」「売れてるんだから」「ないものねだり」と言っていた。


 疲れる。強くならなきゃ生きていけなかったのに、元々強い人として扱われ、立ち止まったら強い人であることを求められ、弱音を吐くことも許されない。


 そして許されないと言えばそういうつもりじゃない、考えすぎ、敵味方じゃないと言われる。


 誰も、味方になるよ、大丈夫だよと言わない中でだ。励ましや慰めのない人生の中で、なんとか曲で人を励ましたり慰めたらと曲を作ってきて、誰かと繋がれたらと思って頑張った結果、恵まれた人間だと思われて、一人であることを思い知って終わった。


 だから、おっぱいで機嫌が取れる男を選んだ。このおっぱいが失われるのは嫌だって言ってくれそうだから。


 楽譜を見つめていると、涙が出てきて、シュレッダーにかけようか悩んで、やめた。未練がましい。作曲家の自分を毎日ちゃんと殺してるのに死んでくれない。ちゃんと、殺してるのに。曲が浮かぶ。出せばまた強い人扱いされて一人になるのに。なんなんだろう私は。


 透明になりたい。死にたいとか消えたいとか言うとかまってちゃん扱いされるから。ネガティブとか言われるし前向きにって言われるから。透明になりたい。


◇◇◇


 過去の副産物を見て死にたくなる以外のルーティーンは、家事に占められている。起きたら朝食と宗吾さんが持っていく弁当を作り、掃除洗濯をして夜ご飯を作る。


 その間、宗吾さんのお父様の足が若干悪い関係から、電車で義実家に向かい作り置きを届けたり、日用品の配達をする。


 宗吾さんのお父様は基本的にまだ認知症や脳の廊下兆候は出てないまでも、気質としてドジがある。足が悪い原因は転倒であり、私の配達が必要なのはネットショッピングを使うとコンビニの誤発注っぽいことを起こしてしまうからだ。


 そのわりに性格が「テヘ☆」みたいな明るさがなく普通に頑固で気難しいので、親戚とか自分の血縁から煙たがられているらしい。普通に嫌味とか飛んでくるけど、構造がよく分からない状況よりは気が楽だった。お父さんは全方位気に入らない人なので、もしかしたら私をよく思ってるかもしれないと期待せずに済む。


 だから、かもしれない。宗吾さんといると疲れる。


 もしかしたら自分のことよく思ってるかもしれないと期待があるから。


 マッチングアプリで引っかかるだけじゃなく、結婚してくれたから、私に存在していいと言ってくれてるのかも、と期待する。宗吾さんが疲れるんじゃなく、宗吾さんに勝手に期待して、その期待する自分は果たして魅力や価値のある人間か、という点の思考も始まり、疲れる。


 ◇◇◇


 今日も一日のルーティーンを終え、宗吾さんの帰宅まで後少しのところになり、私はソファでうつぶせになっていた。


 今日は宗吾さんのお父さんへの配達で、大容量パックを安いからと言う理由で選び、結果的に食器と洗濯洗剤、柔軟剤、トイレットペーパー12ロール2セットと地獄の家庭内筋トレセットみたいな重量を運搬したからだろう。


 2つ買うと安いは車で買い物する人間の特権なのに、デカデカと書かれた数字を見るたびにリュックでいけるだろと慢心する。結果、地獄を見る。

 

 宗吾さんがいるときは、座らないようにしている。なんとなく養ってもらってるのに悪い、という気持ちがあるからだ。たぶんネットで書けばゴリゴリに叩かれると思う。宗吾さんじゃなくて私が。男を増長させてる、みたいな。そこまで想像してさらに疲れた。何かを思ったり考えた後、必ず反論が同時に浮かび、死にたくなる。


 だから、正直なるべく喋りたくない。誰に対しても。すでに、相手の反論が想像できるから。それに話をしていて意味が分からないと言われることが多かったし、基本的な会話のベースとして質問されるたびに相手が拒否したいのか、本当に疑問なのか、その質問をして粗を出して交渉をすすめたいのか、何を目的としているのかの前提がこちらも分からないので、もう喋らなくていいになってしまう。


 それに、自分の気持ちを伝えたところで、相手に得がない。私の言葉に価値なんてないから。それでも人と人との繋がりだからと自分の意思を伝えていたけど、周囲からは「自我が強い」「意思が強い」「何を言っても平気な人」「我慢してもらえる人」と思われ誤解されるし、限界まで耐えてもう無理だと言っても「まだいける」とされるので、もういいやとなってしまった。


 ◇◇◇



 膝裏に違和感を覚え、ハッとする。どうやら私はソファにうつぶせになったまま寝ていたらしい。起き上がろうと思うけど、膝裏の違和感に動きを止める。


 宗吾さんが膝裏を撫でてる。


 え……と思いつつ、私はうつぶせのまま周囲の気配に気を配る。前髪の隙間からうっすら薄目で視線だけ動かし状況把握に努めると、やっぱり宗吾さんが膝裏を撫でていた。無表情で。


 そういう性癖もある……?


 一般人というか何も知らず普通だと思っていた旦那から膝裏を撫でられていたら戸惑うけど、宗吾さんはおっぱいで機嫌が取れる男……らしい。だから目の前の奇行は、ある程度理解出来る。


 いやでも何で膝裏?


 おっぱいはブレーキがかかってる?


 寝込みを襲うみたいだからおっぱいはキツいけど膝裏はギリギリセーフ、みたいな認識なのだろうか。



 もしかして本命は膝裏だけど、おっぱいで機嫌取ってくれる嫁なら膝裏も大丈夫だろうという見立てか……?


 彼の中には触ってもいい難易度階級みたいなものがあり、最高難易度レベル5が生の心臓として、おっぱいがレベル3、膝裏がレベル1みたいな。


 そしておっぱいが認可済なので、レベル1の膝裏も自動許可みたいな。


 私はうつぶせになりながら思考を巡らせる。すると、撫でる手が止まった。起きてるのに気付かれたのだろうか。


 というか膝裏に触るのが性癖じゃなく、寝てる人間の膝裏に触るのが性癖の可能性もある……?


 だとすると私がこの半年「全然おっぱい所望しないな~」と思っている間、寝てる間に彼は本懐を遂げていた可能性がある。だからおっぱいの所望が無かったということか……?


 考えていると、なんか膝裏についた。なんだろうと思っていればスゥウウウウウと吸入音と共に膝裏に違和感が発生した。


 ああこれ、吸われてる。膝裏。


 勢いが勢いなので匂い嗅がれてるというより吸われてる気がする。


 これでまた謎が増えた。膝裏フェチなのか寝てる間に膝裏触るフェチなのか膝裏吸入フェチなのか寝てる間に……なんなんだろう。


 どちらにせよ明らかな異常行動だけど、そもそも前提として「おっぱいで機嫌取れる私でも問題ない手遅れ型変態」を所望して結果的に正気っぽい宗吾さんが現れ、どうしようと思っていた。


 今、明らかに変態行動の被害を被っているけど、ちゃんと変態だったんだという安堵が強い。


「ありがとうございます」


 少し辿々しい口調で宗吾さんは言う。膝裏撫でられて吸われてるのに、生きてていいって言ってもらえてる気がして、ちょっと泣いた。



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 きょう、すきなひととけっこんしました。しょうがっこうのころからずっとすきで、ずっとねっとでみていたので、とてもうれしかったです。しあわせになりたいです。


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 けっこんしてから、まいにちたのしいです。あったかいごはんがたべられて、ぼくはいいこじゃないのにいいのかなとおもいました。


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 きょうはいやなゆめをみました。おかあさんのゆめです。おまえはいらないこ、うまれてこなければよかったっていってました。


 そんなのぼくがいちばんよくわかっています。



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 きょう、およめさんにおててをにぎっていいかきこうとおもってやめました。いやっておもわれたらかなしいからです。


 およめさんはまっちんぐあぷりでおっぱいできげんがとれるおとこのひととであおうとしていたので、おっぱいがだいじょうぶならおててもだいじょうぶかな、とおもったけど、じぶんのからだのじゅうようなじゅんいは、ひとによってちがうのでやめました。



 いつかおててにぎりたい。



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 きょうはおよめさんにしょうがっこうのころのはなしをしようかとなやんで、やめました。おべんきょうしかできない、くらすでだれともはなしをしたことのないぼくに、おはようっていってくれたの、すごくうれしかったよっておれいをいいたいです。


 いつかいえるといいとおもいました。


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ぼくのおよめさんは、ぼくのおとうさんのおせわをしてくれます。そんなことしなくていいよといっても、「ひとりはさみしいから」といいます。ぼくはおとうさんのこときらいだけど、およめさんが「ひとりはさみしい」といってくれて、ぼくがかってにすくわれたきもちになったので、ちょっときらいなのへりました。



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およめさんはたまによるないています。たぶん、きづいてません。きょくかけないごめんなさいっていいます。かけなくてもぼくはすきだよっておもうけど、それがよろこぶかわからないので、どうしようとおもいます。だっこしてあげたいなとおもいます。でも、いやだったらたいへんなので、どうかくるしくないようにとかみさまにおねがいしています。かみさまなんていないとおもうけど、およめさんのためならいっぱいおねがいします。



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きょうはおよめさんがおひるねしてました。あんしんしてくれたのかなとおもって、こころがほかほかしました。おててはだめなので、かわりにおひざにさわりました。おひさまのにおいがしてうれしかったです。いつかおててつなぎたいです。


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