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1 主人公にはなれない

罰ゲームシリーズは結構書かれてそうですけど·····なんとなくノリでw

現代社会において、正義感なんてものはあまり意味を成さない。自分本位の自己保身、悪いことではないけどそれは時にあらゆる悪を許容することにも等しい。


悪……では、悪とは何か。それこそ人によって定義は違うだろうが、法律を犯すこと、犯罪は悪なのだろう。まあ、厳密に言えば法とは人が定めた大多数を納得させる方便とも言えるだろうが、では法律にさえ引っかからなければ悪ではないのか?


そう、例えば子供のイジメ。あるいはエロ漫画みたいな無理やりの性行為の強要。まあ、それらもバレればガッツリブラックなのだが……被害者が泣き寝入りをしたらそれらは犯罪にはならない。


よしんば被害者が勇気を出しても解決しないとなればそこには絶望しかないのだ。例え本来正しい行いでも時にそれらは一蹴されるもの。結局は強い者が正義なのだろう。


それでも……知ってしまったら助けたくなる。しかし助けるとは同時に失うことにも繋がりかねない。それまで築いてきたものを考えるとどうしたって人は前には進めない。そう、そこで迷わず手を差し伸べられるのが本当にカッコイイ主人公なのだろう。


だから俺にはきっと主人公の資格はない。でも、それでも……


「なあ、これに負けた奴さ、地味子に告白しようぜ」


それは昼休みの時のこと。仲の良い友人同士でポーカーをしていると、そんな提案を友人の佐々木はした。


「地味子って、あの?」

「そうそう、めっちゃ女子からハブられてるやつ。なんか援交とかもしてるって噂だぞ」

「貧乏だからって、ひくわー」


ケラケラと笑う友人達に合わせはするが内心では歯ぎしりをしてしまいたくなった。何も知らない癖に。


………いや、今こうして否定できない俺も十分同罪か。助けたくても、そのために無理して作った友人との関係を壊すのが怖いのだ。


「そういや、地味子って名前なんだっけ?」

「確か……中野なかのぷりんせすだったような……」

「名前は地味子じゃない件についてwつうか、なんで地味子なんて呼ばれてるんだっけ?」

「あれだろ?いつもオドオドしてて、無口だからだろ」

「案外ヤラせろって言えばヤラせてくれそうだよな」

「お前あんなのとヤリたいのか?」

「絶対ゴメンだ」


楽しげに話す友人達だが、これほど嫌悪感を覚えるのも問題かもしれない。高校生とはいえ、幼稚な感覚と大人気取りの物言い。やっぱり入る高校間違えたかもしれない。いや、どこに行ってもこんなものなのかな。多少の差異はあれど、人間それまでの環境で培われた性格というのは変わらないしね。


「お、八王子はちおうじの負けー」

「はっちー、弱すぎ」

「じゃあ、あいは今日絶対に地味子に告れよー」

「分かってるよ」


狙い通りポーカーで負けられたので一安心する。まあ、馬鹿な提案をしたコイツらはきっと明日にはそんなこと忘れてそうだけど……こうして免罪符が出来たのだからようやく助けられる。


子供の世界でも大人の世界でも、特別がない限り人間関係というのは本当に害悪になりかねない。どうしたって合わない人間というのは存在するのに、それをわざわざよってたかって集まって差別する。


俺は物語の主人公ではない。俺は本当にどうしようもないクズだ。だけど……1度くらい、誰かのヒーローになりたいのだ。


これは、そんな俺と彼女の物語。俺、八王子愛はちおうじあいと彼女、中野なかのぷりんせすのありふれ恋物語だ。



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