戦場の結末2
このころからだろうか、度々竜蘭の側にはアルバトスがちょっかいをかけるようになるも、竜蘭は基本無視し、アルバトスが一人で話すと言う構図がふぇきあがっていた。
そんな中で戦況はこちら側に有利となるも、竜蘭がアルバトスとのやり取りのあと、殿下の合図が上がって緊張感が周囲に漂い始めた。
アルバトスの隊長が言伝に伝令兵より、隣国の者がこちらの兵の数よりも多く敵側についた事を伝えられ、アルバトスは歯噛みし近くの木に拳を叩きつける。
「っざけんなよ!! いくら隣国でもつく相手を間違えてんじゃねえ!!」
「落ち着け、お前が怒りもわかる。だが、あすこにはクウガがいる、バカは打たれて終わりだ。それまで堪えておけば勝てるさ、なっ魔術師殿。」
隊長の言葉にアルバトスは竜蘭を見れば、からかっても無関心だった感じとは違う雰囲気を漂わせこくりと頷く姿は、まるでこの戦いが終わることを知ってるかのように見えた。竜蘭も隊長もと。
アルバトスは不思議そうにしている間、竜蘭の空を眺めて思う。
(やるべき指示は伝わった、なら私がやるべきことは一つだと。)
そして話しは冒頭へと戻り、竜蘭が敵兵を稲妻を落したことにより敵兵は減少、およびこちら側が優位に立つことが出来たのである。
ただ一つ竜蘭がこの時、影で無茶をして大怪我をし入院したとは、魔術師達以外知ることはなかった。
ーーーーーーー戦場にて報告書よりーーーーーーー
「さて、戦場は終息してしまったと言えよう。出会いもなった、始めようか君と僕だけの新しい賭けがどちらに傾き、勝利するのか。」
金色の髪が夜空にあたり、月の明かりの中で青年は笑みを浮かべて窓辺のバルコニーから外を眺めていた。
「待ってるね竜蘭。ゲーム内でのどちらが有利か楽しみだよ。」
青年はクスクスと冷笑な笑いと一緒に小さな言霊を乗せ、夜空に手をかかげると白い鳩が空に出現し青年の肩に止まると、鳩の足に紙を括り付け放つ。
「今回の報酬分ですよ、届けてあげなさい。」
青年が言った言葉を理解したように鳩は飛んでいく、竜蘭がいる入院病棟へと。
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私こと竜蘭は病院にて意識がなくなる程の重傷を受けていたようで目を覚ませば、ベッドにいるということから、またアイツで負けたにだとため息しか出ないでいた。
コンコンと嘴があたる音に首だけで見ると、窓辺にて殿下のトリであるヒヨ丸がコツコツコツコツコンコンと嘴で叩いているではないか。
ふむ私は今動けないのだが、指は......うん動くようね。
小さく風魔法で窓を開いてやればヒヨ丸は中に入ってくるなり、私の側にあるベッドの端に降り立ち「ピイー」と鳴く。
私は一瞬鳴いてはダメだと思うも、殿下の意向か個室であると空間探知を使い気づいたので、まあ良いかと考えた。
「それにしても何で来たのお前?ん?アレ...これって手紙かも。」
ヒヨ丸の足に括り付けられている紙に気づき、結ばれていた紙を解き中の内容を読むと、ちょっとした毒舌と労いの文字が書かれていて、妙に嬉しいけど気持ち悪いなあーとか思ってしまう。
そして最後の文面を見て驚いた。
だってアルバトス様との出会いが殿下のお節介もとい、面白がるために、あの戦場に入れられたのだからか。
「まったく何でも面白がらないで欲しいよ。でも負けないからね。」
私は夜空を眺める月を見て、そう呟いた。