小さな魔術師2
3人の魔術師はオレの存在に気付いたようで近寄るなり大柄の魔術師がフードを脱いで挨拶してきた。
「配属の命を受け参上いたしました。私はモロク魔術部隊の副隊長をしております。そして部下の竜蘭とセイシュウです、お見知りおき下さい。」
モロクが礼をすれば、竜蘭とセイシュウが頭を垂れる。
無言の2人に不可解さを覚えるも、仕事中は呪文の詠唱意外を仲間うちだけしか情報交換をしないと思い出す。
モロクは大柄で髪は短くて青く、顔は整い男性だ。
セイシュウは中位の体型で痩せ型、髪はフードで隠れて見えないが程よく付いてる筋肉を見るに男性だろう。
竜蘭は.......うーむ。
下から上まで見てみるも小さくて子供体型で少年かなーとか思い、つい側に近寄りかかると、モロクが制し手が伸びて行く道を塞がられた。
「なんだ、この手は?」
「すみませんが彼には近寄らないで下さい。」
彼ねえーやっぱり男かと、ガッカリした。
それよりも近寄るなって言われると反発したくなるのが人間の性だろうかニヤッと不敵に笑み
「ふーん近寄っちゃいけない理由でもあるわけ?」
上司的には俺がいま指揮をとるんだし、相当の理由があるんだよな〜って含ませて言ってやれば、無言になりつつも逡巡し竜蘭を見てから俺を見て苦笑すると首を振る。
「彼はまだ未熟者ゆえ、人との接触して動揺されては困るのです。なのでお止めした次第です。」
なるほどね。まあ、これからも戦場だし魔術師は繊細だって有名だもんな。
だけどさあーこんなチビっこい魔術師まで借り出さんでも良いと思うんだがね。
ジーッと竜蘭を見て守ってやらないとな。と思いハイハイと軽く流してから頭を切り替え、この後の行動を説明していくことにした。
まずは指揮官の口を割らせるように、自白魔法を施し情報を引き出していくと、何故か敵側の人数が少なく攻めて来た理由が明らかになってきた。
「背水の陣かと思いきや、これまた考えましたね。」
「まったくだ。」
「......どうしますか? 伏兵が現れれば、こちらには打つ手はないと思われますが。」
「...そうだな、殿下次第って所だが隊長も余裕そうだし、考えなしな行動をしない方で動く確率もある。ならば...だ。好機の雷もあったんだ、伏兵の知らせと陣営のやり直しを考えておく、お前らは各自に結界と補助魔法で騎士を補強と回復剤の準備、治癒使いは怪我してる奴等の治療を頼む。」
「了解した。」
モロクは指示を受けた後、2人に話し説明を始める。
その時強い風が吹き2人のフードが靡き外れた。
セイシュウの髪は薄い紫色で瞳はグレー、顔つきは男らしく整っている。
竜蘭はやはり少年とも少女とも見える風貌で可愛く、髪は黒くて長いサラサラと靡く黒髪は美しく綺麗で一瞬見惚れる。瞳も黒いんだな。
ジーッとみてたら、2人は自分達の状態に気づき慌ててフードは被り直していた。
ちょっと残念だな竜蘭のは、もうちょい見てたかったかなーっと思いつつもドオン!! と大きな音が鳴り響き空を眺め息を飲む。
「まったく、クソ派手だな。だが面白くなりそうじゃねえかよ。」
これから動き出す戦いに大剣を握りながらも笑みが溢れ、戦闘への高揚感に口元が緩んだ。
始まったようだ隊長の火柱、いつ見ても派手だぜ。
「さてさて俺らも動くとしよう、伏兵知らせも情報の一つだ。支援と補助は頼むぞ魔術師!」
「「「はい!!!」」」