戦況と作戦
彼の笑みに思考停止していた竜蘭は同僚の声で現実に戻り、作戦内容確認及び戦場での状況下を聞き部隊の集合場所へと移動する。
ふと思い出したせいで、つい彼の無事を願いながら集合場所に戻ると上官であるジョアンヌ様が竜蘭を見て何故か面白そうな表情を浮かべていた。
「ふふふ、ランってば出会っちゃったのね。」
ニマニマする上官に私はフードを深く被ってからプイッと視線を逸らす。
ほんと腹立つ師匠だ。
こっちのこと良く見てるんだからさ!
「アンあんまり彼女を揶揄うと晩ご飯の料理で仕返しされますよ。」
「あーそれは嫌かも。ランの料理は絶品だし、私の癒しなんだったわ、許してねラン!」
パチンとウインク付きのアピールに、絶対に反省していいないのは長年の生活で知っているせいか、どうしてくれようか。と思っていたけれど、せっかくやる気の出ている師匠の根拠を無下にもできないかもと思い直し
ハアーと小さく息を吐きながらも頷き「もう良い」と短めに返事を返しておいた。
師匠はホッとしたようで、緩く笑みを浮かべるも。
すぐに顔は真剣なものとなって、新しく示された策と行動範囲、補助魔術など使う場所の配置などを説明しました。
そして竜蘭の場所は、やはり思っていた場所に配置された。
記憶の中でもっとも危険な場所、中央の位置
戦場で激しく怒号がする場所だ。
何故に此処かと言うのは自分から提案したのだ。
私が前世にあったゲームで危険で、もっとも国の作戦で穴となり敵国に隙をつかれていまう場所だから。我が国が勝利し、勝つためには私がいかないといけない。
魔力が大きく異質な自分が。
師匠の策で同僚や他の上官は、やはりかと思うように自分を見るが、心配する者はなく、これで戦況は此方に向くだろうと喜んでいた。
「ラン頼んだよ。でも無理はするんじゃないよ良いね。」
「......うん。」
側に師匠が来て労いの言葉をくれるけれど、自分は同僚達の喜びの表情に見入っていた。
自分が危なくとも、仲間が変わりにならないこと、彼ら彼女らの笑顔を犠牲にならないのに安堵した。
「約束は出来ないけど、仲間達が死なないのが1番だからさ、気にしないでよ。私は私のためにしてるんだし、師匠を一人残したりしないから安心して良いよ。」
ニカッと笑みを向けて見るも表情筋が引きつってる感が否めないけれど気にせず師匠を見てみたら
明かに機嫌が悪そうで、ガシガシとフードに上から乱暴に撫でくり回された。
文句を言えば、ペシッと頭を叩かれて
「もう少し命を大事にしな、このバカ弟子が!」
と叱られてしまう。
うーむ、別にいらない存在だし使われるなら良いと思うんだけど。
そんなに起こらなくても良いのに。
少々不貞腐れてたら、思いっきり溜息を吐かれ優しく撫でてから師匠は、約束した事を復唱しておくようにと言い残し、同僚達に指示を出した。
竜蘭は師匠を見て昔に言われたことを思い出すと、小さく復唱する。
「必ず生きること、自分は一人じゃない。」
「前を向き歩むこと」
「そして......歩みを止めないことだったはず。」
口に出せば、やはり謎だけど、今はそれで良いかもと気合いが入る。
さて動こうか。生きるためにこの国が勝利するために。