出会いを思い出しました
暑い昼下がりの季節に竜蘭は師匠からのお使いで、いつものように森の中で薬草を採取していると、緑色の髪に肌は健康的な色で身長的には自分よりも高く、服装は身綺麗で茶色の軍服っぽいなあーと思える男性が眠っていた。
木漏れ日の光でまるで一枚の絵のようで、ついぼんやりと眺めていたんだけど不意に様子がおかしい事に気づいた竜蘭は男性に近づくと、健康的に見えていた顔色は何処かある種の現象に似ていた。
最近見た薬学書では呼吸音は通常でも、顔の血色が健康的で眠るような毒を持つ魔物虫があって、数時間で命を落とす事があると書かれていることを思い出す。
竜蘭は男性の口に手をあて、次に意識があるかを確かめてみる。
揺らしたり声をかけたり、ほっぺをつねってみるけれど反応はなく、軽く魔力循環を見るため目に魔力を宿らせれば、男性の身体に異常がる事に気づく。
やっぱり魔物虫にやられてるようね。
本来なら見習い期間は師匠が側にいるときにしか魔法を使ってはならないんだけど、怪我人を放っておいたと師匠を知られた方が怖いなと思い。
男性の口に懐かた出したカプセル状の薬を取り出して入れてみるけれど、意識もなく身体が動く事のない男性は薬を飲んではくれなかった。
ふむ、どうしよう?
そこまで考えたけど、この緊急時にファーストキスもないよね。と思い直し手に水魔法を使い自分の口に含むと男性の口に移し薬を飲み込めるように促していけば、コクンと喉が鳴る音がして、口を離してから男性の様子を観察する。
しばらくジッと観察すること暫し、身体に赤みはさしているのを確認した竜蘭は、脈拍や魔力循環が正常に働いているかを調べれば、異常はなく治っていた。
あとは意識が戻ってくれたら安心するのに。と思ってたらブルッと身体の震え、ゆっくりながらも瞼が開き真っ直ぐ竜蘭を見詰める。
瞳は翡翠色で綺麗ね。
「きみが助けてくれたのかい?」
声をかけられて、意識が戻っていると確信した竜蘭はコクンと頷き返していると男性は、眩しいものを見るかの如く目を細め小さく笑みを作り微笑んでくる。
「ありがとう。」
笑みについ見惚れ礼を言われた事に気づくのを遅れてしまい、ブンブンと首を左右に振れば、男性が首を傾げる。
別にお礼を言われるようなことはしていない、当たり前なことはするけれど礼はいらないんだ。
私達はそう学んでいる。
使われる物として。
そう思考の中にいて、ふわりと髪に感触を感じて意識が現実に戻れば、男性が自分の髪に触れて不思議そうに見られている。
竜蘭は自分の髪は嫌いだ。
だって真っ白く色に染まらないようでいて、年寄りっぽいから。それにこの髪のせいで両親からは捨てられたのだから。
離して! そう口に出そうとしたら
「白百合の花に雪結晶のようで綺麗だな。」
などと言われ驚きと初めて自分の髪を気色悪いものではないように言われて、じわりと赤くなる熱に戸惑い、竜蘭は男性手を掴んでいる髪を懐にしまっているナイフで切り取り、瞬時に距離を取る。
そして竜蘭は男性を睨みつけてから逃げた。
そのときに後方から何か叫んでたけど、恥ずかしいのと異性に言われた言葉で混乱していて聞いていなかった。