第七章 『魔法使いの第一歩』
グレンと共に装備を買いに行く頃には、夕暮れになっていた。
「ところでフィニア、お前どうやって戦闘するつもりだ?お前の細腕じゃ剣を持ち上げる事すら難しいぜ?」
「それについては俺に案があります。魔法での戦闘はどうでしょう?」
「ほぅ……つまり魔法使いか。それなら今から買う装備もそういうのに変えるか。」
「はい。」
そういってグレンと武具屋に入った。中には鎧やローブ、剣や杖などが置かれていた。
「あれ?グレンの旦那じゃねぇか。帰ってきてたのか?」
「おう、久しぶりだなレッグス。ちょっと良いか?」
………どうやら、またグレンの知り合いらしい。グレンって意外と顔が広い……?
「なんだ?まさかもう装備を使い潰してきたのか?」
「違う、今回頼みに来たのはこの娘の装備だ。」
グレンの言葉を聞いてレッグスは目を見開く。
「はぁ!?……その、大丈夫なのか?まだ子供だろう。」
「あ、俺が面倒を見るからな。それに……本人がどうしても力をつけたいようでな。」
レッグスがこちらを見る。それは明らかに俺を心配した様子だった。
「お願いします、レッグスさん。」
「…………分かった。お代はいらん。グレン、ちゃんと面倒見ろよ。」
「了解だ。」
その後、レッグスは奥の部屋に行ってしまった。どうやら俺に合うサイズの装備がないらしく、オーダーメイドで作ってくれるらしい。
「ところでグレン。魔法のコツってなんだと思います?」
「……俺もよく知ってる訳じゃないが、イメージが重要だって知り合いの冒険者が言ってたな。」
「イメージですか。……後で試してみます。」
そんな話をしながら待つこと1時間……。
「おーい、できたぞ。入ってこい。」
「………フィニア、行ってこい。」
俺が奥の部屋に入ると、そこにはフード付きのマントと軽装の冒険服、そして杖ができていた。
「俺はグレンと待ってるから、着たら出てこい。」
そう言ってレッグスは部屋を出て行った。
「とりあえず着てみるか。」
そして装備を全て装備してみると………。
「…………これは良いな。動きやすいし、色々便利そうだ。」
鏡で自分を見てみると、それは完全に冒険者の少女に見えた。……ショートパンツを履くのは少し躊躇ったが。
「どうだ?どこか着てみて変なところはないか?」
「えっと、特にないです。」
「そうか。それと、その装備は最近入荷した魔力を込めてエンチャントができる繊維で縫っておいた。杖は魔石付きだ。まぁ、大事に使ってくれ。」
「ありがとうございます。」
そして、レッグスに挨拶して店を出た。
「今日はこんなとこか。よし、明日からは依頼だ。帰って休むぞ。」
「分かった。」
グレンと共に旅館に戻った………。