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第六章 『拠点のドジっ娘女将』

グレンの隣を歩きながら街を見渡す。洋風な石造りの家が多く、綺麗な街並みだ。



「聞いてたとおり、治安は良いみたいですね。」

「国境沿いの街だからな。いざこざへの対処は速いんだよ。」



この街はなら活動拠点にしても大丈夫そうだな、と思いながらグレンの様子の様子を見る。何故か、彼が先ほどからこちらを見ているからだ。



「どうかしたんですか?」

「……そういや、フィニアって喋り方がなんとなく男っぽいよな。何でだ?」

「まぁ、そういう性格なんです。……変ですか?俺の口調。」

「いや、大丈夫。俺の方が慣れてないだけだ。……着いたぜ。」



グレンが指さす建物を見上げる。結構良さげな宿だな……。



「じゃあ、入るぞ。」

「はい。」



中に入ると、そこは前世でいう『旅館』に似ていた。



「ここはかつてこの街を訪れた『勇者』が考案した宿らしいぜ。」

「へ、へぇ~………勇者って?」

「あぁ、勇者ってのは、この世界に魔王が現れるときに、女神様によって異世界から召喚される人間のことだ。特別なスキルを持っているらしい。」



どうやらここを旅館のように感じたのは間違いじゃないらしい。もしかしたらこっちの世界でも日本人に会えるのか………?そんなことを考えていると……。



「わっ!?そこの人、危ない!!」

「え?」



突如、後ろから声が聞こえ、振り返る。すると………皿が飛んできていた。



「ぴゃッ!?!?」



その皿はその勢いのままフィニアの顔面に命中し、パコォォォンという音を立ててから床に落ちた。



「ひゃああぁぁっ!?だ、大丈夫ですかぁっ!?」

「い、痛い……。」

「………はぁ~……相変わらずの自動皿割り女将っぷりだな。メル。」



グレンにメルと呼ばれた少女はあたふたとした様子で俺に駆け寄ってきた。どうやらここの女将さんらしい。



「ひゃわわわわ……。グ、グレンさんのお知り合いの方ですかぁ!?すすす、すいませんでしたぁっ!!」

「だ、大丈夫です。だから落ち着いて……。」

「は、はいぃぃっ!落ち着きますぅっ!!……すー、はー、すー、はー……。」

「グ、グレン………この子大丈夫なんですか?」

「まぁ、忙しないのは昔からだな。」



その後、メルが落ち着くのを待って、自己紹介をする。



「フィニアさんですね?私はメルっていいます。この旅館の女将を務めています!」

「はい、メルちゃん、よろしく。」

「ちゃ、ちゃん付けなんて止めてくださいよぉ。もう今年で四十路なんですから……。」



………今衝撃的な事を聞いた気がした。



「え、四十路?」

「ま、そうは見えねぇよな。」



その後、メルは獣人族なので若く見えるという話を聞いた。そして、グレンに連れられて部屋に向かった。



「じゃあ、荷物を置いたら街に行って装備を買うぞ。」

「えっと、もしかして……。」

「……金は依頼こなせるようになったら返してくれってことで。」

「…………ありがとうございます……。」



これは頑張って力を付けなければと、改めて決心するのだった。


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