第五章 『冒険者登録』
街の途中、『冒険者ギルド』の前でグレンと共に馬車を降りる。
「俺は報酬をもらってくる。フィニアは冒険者登録しに行ってこい。」
そう言ってグレンは別の受付に行った。とりあえず、正面の受付に向かった。
「あの、すみません。」
「……?依頼でしょうか?」
「冒険者登録に来たんですけど。」
「えっと………君は冒険者がどんなものか分かっているのかな?」
「はい。」
「そ、そう……何か事情があるのね。分かったわ。」
受付嬢はそう言って冒険者登録用のシートを出してくれた。
「絶対に書いて欲しいのは名前と年齢、後は種族かな。これを元に身分証明用のプレートを作るから。」
「分かりました。」
受付嬢の言うとおりに名前と年齢を書く。種族は………。
「あの、ハーフエルフなんですけど、何のハーフか書かないといけないですか?」
「そうね、書かないと本人確認の時大変だからお願い。」
仕方ないので本当のことを書く。
「はい、書き終わりました。」
「了解、今確認するわ。」
受付嬢がシートに目を通す。
「貴女………デーモンとエルフのハーフなんて珍しいわね。」
「そうですか?」
「まぁ、シートはこれでオーケーよ。次は………。」
「お?今からステータスを調べるのか?」
グレンが報酬の袋を持って近づいてくる。
「えっ!?グレンの知り合い!?」
「おう、そうだが………仕事中に呼び捨ては止めろ、ミシェーラ。」
この様子ではグレンと受付嬢は知り合いらしい。
「そうなの、グレンの知り合いなら大丈夫ね。あ、私はミシェーラっていうの。さっきは怪しんでゴメンね?」
「は、はぁ………見事な手のひら返しですね。」
「褒め言葉として受け取っておくわ。さ、ステータスを調べに行くわよ。」
「……ま、こんな奴だが受付嬢としては優秀だ。仲良くしてやってくれ。」
「……グレンも大変なんですね。では、行ってきます。」
ミシェーラについて行く形で、ギルドの奥に入っていった。通路を歩きながら話す。
「あの、ステータスってどうやって調べるんですか?」
「簡単に言うと、今から行く部屋にある『ステータス板』っていうマジックアイテムで調べるんだけど。」
そういってミシェーラに通されて、部屋に入る。その部屋の中央には黒い石版が置かれていた。
「あれがステータス板?」
「そう、とりあえず触れてみて。」
ミシェーラに促され、ステータス板に触れる。すると目の前にスクリーンのようなものが表示された。
名前『フィニア・ドレッド』 性別『女』 年齢『10』
種族『ハーフエルフ(デーモン)』
ステータス
レベル 1
筋力 13
守備 18
魔力 測定不能
俊敏 20
運 0
異名 『なし』
スキル『UNKNOWN』
……と表示されていた。
「え、えっと………何これ、初めて見る現象なんだけど。」
「ミシェーラさん。これ壊れてません?」
「ま、まぁ測定出来なかったところは後でどうにかするわ。はい、ギルド証。」
「あ、ありがとうございます。」
こうして、なんとか魔力とスキルのことを知られずに冒険者になれたのだった……。