第二章 『狂い出す運命』
前世の記憶を取り戻して3日目の朝。少し退屈さを感じつつも、この平和な生活に満足していた。
「しかし、驚いた……。魔法が使える世界だったとは……。」
知った切っ掛けはアリシアが料理中に使ったのを見たからだ。どうやら、これまでのフィニアはアリシアの料理中は部屋にいたようだったし……。
「そして、一番驚いたのは………これだな。」
頭の中で自分の能力がどれほどか考える。すると、視界に文字が表示され始める。
名前『フィニア・ドレッド』 性別『女』 年齢『10』
種族『ハーフエルフ(デーモン)』
ステータス
筋力 13
守備 18
魔力 99999
俊敏 20
運 0
異名『なし』
スキル『魔王の再来』
……という感じで能力確認が出来た。
「……って、スキル『魔王の再来』って何だよ……。俺は平和に暮らしたいだけだから、ほぼ不必要だし。」
そんなことを考えつつ、アリシアの帰りを待つ。
「…………ただ待ってるのも暇だな。魔法の練習でもしよ……。」
昨日教えてもらった簡易魔法の『ファイヤ』を練習し始めた……。
それから数時間……。
(……おかしい。やけに母さんの帰りが遅い。……何かあったのか?)
窓の外はすでに暗くなり始めている。これは本格的に何かあったのかもしれない。
(しかし、魔族と人族の混血は禁忌。外に出れば危険だらけだ。………でも母さんに何かあったかもしれないのに放っておくことは………出来そうにない。)
意を決して行動を開始する。まずは部屋にかけてある服から姿を隠せるものを探す。
「これは………母さんのローブか。少しサイズが大きいが大丈夫かな。」
ローブを纏い、小走りで家を出る。街の路地はかなり広く感じるが、一応母さんの仕事場は知っている。
「急ごう………。」
母さんの仕事場である工房へ急いだ……。
街の広場を通りかかったとき、人集りを見つける。
(何だ……?)
少し離れたところから聞き耳を立てる。
「おい、聞いたか?『これ』って混血種を生んだ魔女らしいぜ?」
「マジかよ……なんて罰当たりだ。」
「ま、こうなって当然って訳だ。」
胸騒ぎがする。嫌な汗が出てきた。
「まさかこんな近くに潜んでるとはな……。」
「あぁ、まったくだ。あの工房、俺の親父も働いてるんだぜ?」
そんなハズはない。勘違いであってくれ。
「しかも、エルフにもこんなのがいるとは。あの種族大丈夫か?」
「さぁな。まぁ、ここで退治されて良かったぜ。」
そこで、見えてしまった。人集りの奥に倒れている………アリシアの姿が。
「………………。」
広場に背を向け、歩き出す。………頭が酷く痛い。
(前世でも………今生でも………俺は一人なのか?………巫山戯るな。前世で命を奪われ、今回は母の命?そんな運命を許すわけがない!!)
俺は決意した。俺が平和に暮らすためならどんなことでもする。それを邪魔する者は…………容赦しない。
(だが、平和を掴む前にやることが出来た。混血種の排斥を唱える存在を排除しなければ………。)
酷く色褪せて見えるようになった街を眺め、そう思った。
「………仇は取るよ……………お母さん。」
スキル解説
『魔王の再来』
魔力数値に99999まで補正。毎秒10000の魔力回復。ちなみに魔族にとって魔力回復は生命力そのものの回復のため、このスキルを持つ魔族はほぼ不死身である。




