来訪者
遅くなりました!気が付いたら読み手に戻ってましたすいません!
来た。漸く来たぞ。助祭様、行商人、どっちだろ?村の入り口まで駆ける。
長かった、長かったよ!長すぎて竹馬遊びが竹馬レースに進化しちゃったよ!ともかくどっちだろうとまずは元気に挨拶だね。お願い事するんだし歓待して良い気持になってもらってから話を聞いて貰うべきだよね。
そんな事を考えている内に到着。大人達の間をすり抜け前へ前へ。
「へいらっしゃい!ようこそこの村へ!ってあんた達誰!?」
どっちでも無かった……
本当にどちら様ですか?おっさんにおばさんに子供が二人、普通に考えて家族でしょうよ。で、こんな辺鄙な村に何しに来「イダダダダダダダダッ!」
「モーブス、初対面の方達に失礼でしょ?」
「ごめんなさい!ほんとすいませんでした!二度としません反省します!だから離して!頭割れちゃう中身でちゃう!」
かーちゃんのアイアンクロー強力すぎぃ!割れちゃう!離してぇ!
「うちの息子が失礼してすみません。さぁモーブス、皆さんに謝りなさい。」
「いえいえ構いませんよ。元気なお子さんですね。うちの子も見習って欲しいくらいですよハハハ。」
おっさん良い事言った!俺の愛馬(竹馬)『ホメホメブラウン試作3号』をあげても良いぞ!だからかーちゃん、今すぐ!離して!割れる!
いくら六歳児とはいえ、全力で抵抗してるのにピクリともしないのはどういう事なの!?普通の主婦だよね!?
「いえいえこの子なんてそれしか取り柄がありませんからホホホ。それより利発そうなお子さんですね?うちの子も見習ってほしいものですわ」
「ハハハありがとうございます。妻に似たのでしょうね。どちらも良い子ですよ。あぁ、そういえば挨拶がまだでした。本日からこちらに移り住む事になりましたオルスと申します。こちらは妻のマリネ、娘のアネッサ、息子のカールスです。今後とも宜しくお願いします。」
「はい、ようこそこの村へ、私はマーサと申します。この子はモーブス、歓迎致しますわ。」
あーなるほど、今年の移民の方々でしたかーそんな時期になったんですねー。
近年は毎年この時期に1~2家族が移り住んでくるのが恒例でしたしねー。
紛らわしい……まぁ俺が勝手に勘違いしただけなんだけどさ。
んで、かーちゃん、話してないで離して。話に混じらずにこっちを見ているアネッサさんとカールス君の視線が痛いし物理的にも痛い。そろそろ俺の頭、潰れたトマトみたくなっちゃうよ?
痛みが快感になりかけてきた頃、別のところに人だかりが出来てる事に気が付いた。
なんだろうね?馬車の陰でよく分かんない。
「かーちゃん話してるところ悪いんだけどさ、あっちの人達何してるの?」
「ん?あっちは行商人の方と助祭様に挨拶をしているのよ。あなたも後で挨拶してらっしゃい。」
両方来てたんかい!
「今すぐ挨拶してきちゃうよ!だから離して!」
「反省した?」
「した!しました!心の底から反省しました!」
「んーなら良し。行ってらっしゃい。」
とんだハプニングがあったけど漸くだ!長かった、長かったよ!長すぎて未知の世界の扉が開きかけたよ!
人だかりに駆け寄るといつもの三人がいた。
「あれ?モーブスって先に行ってなかった?」
「かーちゃんに捕まって遅れちゃったんよ。」
「ああ、あっちの移民の家族の方かーどんな人達だったん?」
「旦那さんはいい人っぽかった。奥さんは慎ましやかってやつ?姉弟のアネッサさんはにーちゃんと同い年位でーカールス君は俺達と一緒位だけど話してないからよく分かんね。こんな感じかなー。てか助祭様と行商人のおっちゃんに挨拶しようよ!」
「お、遊び仲間が増える予感!先にあっちに挨拶しに行くわ。読み書き教えて貰えると良いな。頑張れよー。」
皆走って行っちゃった……そりゃおっさん達への挨拶より遊び仲間が増える方が大事だよね……




