プロローグ的な
青天の霹靂
多分それが俺の人生の最初の分岐点だったと思う
まず、俺の生まれだがフォール山脈に近い森の傍の村、村の名前は無い
何人が暮らしていたのかは正直憶えていないが100人はいなかったはず、10数世帯の小さな村だ
今になって考えてもその時まで俺はただの子供だった
いや、正直に言うとただの子供ではなく馬鹿な子供だった
どこの村にもいる、何人かの同世代の幼馴染と一緒に遊び、大人になったらただの村人に成長する普通の馬鹿な子供、それが俺、モーブスだった
その日も家の仕事を終えて、マルス、サシャ、ジンの4人で村外れの小さな丘のあたりで遊んでいたんだ
たまたまその日は丘の上まで誰が一番乗りするか競争することになった
この間遊んだ時に置いてきた木の棒を先に拾ったら勝ち、他愛ない子供の遊び、そのはずだった
横並びになってよーいドン
三分の一も進まない内に先頭だったマルスがこけた、これで一人脱落
あいつはこの頃からすでにドジだったんだよなぁ
そしてマルスのすぐ後ろを走っていたジンが避けきれずに突っ込んだ
マルスがその場で泣き始めたが当然無視
三番手だった俺は一位に躍り出て丘の上に到着、棒切れを拾い天高く掲げ「やふーーー!」と勝利の雄叫びを上げたのだった
ちなみにジンとサシャは泣いたマルスの周りでオロオロしていた
そしてここから記憶が飛ぶ
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次に目が覚めたのはベットの上だった
上を見つめつつ「知らない天井だ・・・」
言ってやったぜ!まぁ自宅の天井なんだけどね。でもテンプレでしょ?
実はこの時点で俺は前世?の記憶があった
「モーブス!起きたの!?良かった・・・良かった・・・グスッ」
「お!起きた!大丈夫モーブ?」
「よかった~死んだかと思ったよ!」
「え~んもう目が覚めないかと思ったよ~」
ベットの横には母ちゃんとマルス、ジン、サシャがいた
「一体何があったの・・・?」
とりあえず俺は気が付いたらベットの上だった訳で現状把握は大事
「昨日お前晴れてたのに雷に撃たれたんだよ!凄い光と音だったんだ!」
「んで塞いだ耳と目を開けるとモーブが倒れていたと」
「大きな音で村中大騒ぎになってすぐに大人の人達が駆けつけてくれたんだよ!」
「グスッ・・・それでお前を家まで運んで薬師のマーロンさんに容体を見てもらったんだけどねぇ・・・頭に軽い火傷だけでねぇ・・・雷に撃たれてその程度で・・・目も覚めて・・・神様ありがとうございます」
言われてみると少し頭がヒリヒリする・・・まじか雷か・・・良く生きてたな俺
九死に一生を得た訳だね更に特典も付いてきたと
先ほどチョロっと言ったけど俺前世の記憶があるっす
多分原因は雷に撃たれたことっす
なんで雷に撃たれて前世の記憶を思い出したかは知りません!森羅万象とか因果律とか小難しい事が色々あるかもしれないけどわかんないっす!神様に聞いて!
んで、俺の前世だけど現代日本の建築現場の肉体労働者っす
職人っすね
「かーちゃん!みんな!聞いて!俺前世の記憶思い出したんだ!」
待って俺いきなり何言ってんだ
でもこの言いたい衝動がすごいナニコレ?あれか?精神は肉体に引っ張られるって奴か?
頭じゃ分かってるけど体が勝手に的な?すごく自制できないぞ
「ゼンセ?なにそれ?」
「あれでしょ人に物を教える人の事」
「それは先生じゃなかったっけ?」
「まぁよく分からないけど何を思い出したの?」
そう、この村の教えや宗教に前世なんて概念存在しない
具体的にどういう宗教なのかは分からん
なにせこの村、教会はあっても牧師も神父も宣教師もいないし
「あれだよあれあれ!生まれる前の記憶の事!」
止まらない俺の口!なんでや!静まれ俺の口!体が子供だと頭も子供か!知識はあっても知恵はないって奴か!
「・・・?お母さんの中にいた時の事?すごーい覚えてるの?」
「あーなるほどそれはすごい」
「へーやっぱりあったかかった?」
「あらあらまぁまぁ」




