第10話 「生き残るのは」
アルキド・ヴィータ二連国の第二首都、アルヴィ。
第二首都というのは正確ではない。首都はあくまでも一つ、リヴァルカンドである。二連国の各種政府機関があるのもリヴァルカンドだ。
しかし、アルキド・ヴィータ二連国の国民は皆、アルヴィを誇りに思っている。
第二首都と呼ぶほどに。
アルキド王国とヴィータ王国の頭を取って、アルヴィ。
世界に冠たる冒険者ギルド機構の本部がある都市である。他国が攻めてくる心配は皆無だし、犯罪率も恐ろしく低い。土地の値段に至っては、文句無く世界一だろう。
当然である。
戦闘や討伐のプロたちがそこかしこに多数暮らしているのだから。
他の都市なら一目置かれるB級冒険者だが、ここアルヴィにおいては、さして珍しくも無い。
まともな犯罪者なら、誰もが避けて通るのがアルキド・ヴィータ二連国の第二首都、アルヴィという都市である。
そのアルヴィに数日前から、ある噂が流れていた。
「近く、大規模討伐が行なわれるらしい」と。
迷宮の大暴走か、あるいは竜の巣からの迷い竜がどこかに潜伏しているか。
詳細は一切不明だが、いずれにしても、名だたるA級、S級の冒険者たちが一斉にアルヴィや周辺国から姿を消したのだ。何かあるはずだと。
彼らは既にカレイニア王国に潜入していた。
目立たないように、細心の注意を払って。
なぜなら、カレイニア王国にとって、猿王種の討伐は、国家の命運を左右する極秘作戦だからだ。金も使うし、国も疲弊する。噂レベルであっても、隣国に知られるわけにはいかないのだ。
カレイニア王国の軍務大臣、セルティア・キシュウが機構本部に指名依頼の仲介を頼みに来た日から、わずか4日後であった。冒険者ギルド機構から指名を受けた高位冒険者15人が、カレイニア王国ガレニア領の最終防衛ラインの外、放置されている古城に一同に集まったのは。
冒険者ギルド機構本部からの指名依頼とは言え、恐るべき迅速さと言えよう。
機構は時間が国家の命運を左右することを知っているのだ。
「全員揃ったようですね」
15人の冒険者と、ギルド機構本部から派遣された事務方、イーガー・エスコバルを合わせて16人が古城の一室に集まっていた。
ズラリと並んだ高位冒険者たちが一同に介すると、壮観である。
漂う雰囲気がただ事ではない。
それも当然だろう。一人ひとりが国家級戦力であり、これだけの数が集まれば、大抵の国なら落とせる戦力なのだから。
雰囲気のある古城だが、放置されて10年や20年ではきかない。ゴブリンやコボルトなどの魔物が巣を作っていなかったのは奇跡に近い。耕作地からそう離れていない為、ガレニア領の地元の百姓たちは雨宿りや物置代わりにちょくちょく利用しているのかも知れない。
今回はイーガーが前乗りして、簡単な掃除を済ませただけである。
皆が集まっている部屋以外は、埃やネズミの糞や死骸などで入れたものではない。拠点と言えば拠点だが、夜露をしのげるだけで、寝泊りするとなると遠慮したい者が大半だろう。
もっとも、討伐中はぐっすり眠ることなど望むべくもないのだが。
臨時S級クラン『猿王討伐隊』、そのクランリーダーの役を受けたのは、「血海」ローウェン・ダリム。
自己紹介の必要はない。
全員A級以上である上に、準備期間が短かった為、近隣国家のギルド支部から選抜しているからだ。まず顔と名前は一致する。
「誰だお前?」とか、「知らない名だな」といった、馬鹿自慢で他人を煽る者などいないし、それぞれの顔と名前くらい知っていて当然なのだ。
荒っぽい性格の者は多いが、組織として動く際の基本くらいは押さえている。また、そうでなくては、A級やS級にはなれない。
「ダリム卿と事務方のあんたを入れて16人で良いなら、揃ったようだ。結構な爺さんもいるが、大丈夫なのか?」
不遜な物言いはA級冒険者「閃光」リーヴァス・ブルーム。所属クランは『赤竜の翼』。リーダーを務めている。
今回、『赤竜の翼』からは彼一人指名の為、多少気負っているところもあるのだろう。舐められたら冒険者稼業は終わりだ。31歳という年齢も影響していると思われる。
「そう逸るな、若造。俺のことを言ってるのなら、心配はいらんぞ。まだまだガキに譲る気はない」
応えたのは元S級冒険者である「王格」グスタフ・トリィスト。その迫力はさすがに「王格」と言ったところか。
「喧嘩っぱやい獣人族の連中ですら大人しくしてんのに、下らないことでもめるな!」
臨時クランのリーダー、「血海」ローウェン・ダリムが少々キツめの言葉で二人を諌める。
グスタフはダリムよりも年上で、冒険者としての格もグスタフの方が上なのだが、リーダーとして締めるところは締める覚悟のようだ。
ダリムが本部から渡された資料の中から、何かを探している。
「おお、これだ、これだ」
大きな石製のテーブルの上に、ダリムが地図を広げる。
大判のガレニア領北部の地図であった。
「えっと、いきなり作戦の打ち合わせをする前に、いくつか確認しておきたいことがあります。ダリム卿、宜しいですか?」
「ん、ああ、構わんよ。頼む」
「今回、『猿王討伐隊』に随行することになりました、ギルド本部職員のイーガー・エスコバルです。以後、よろしくお願いします」
「「「「「ふむ」」」」」
「まずはこちらの書類を回してください」
書類は二枚。
一枚目には今回の作戦のメンバー16名の名前と所属などが書かれている。
◆臨時S級クラン【猿王討伐隊正式メンバー】
(1)「血海」ローウェン・ダリム(S級)人族45歳/『血盟戦線』所属/剣士
(2)「王格」グスタフ・トリィスト(元S級)人族(エルフ族、獣人族)63歳/機構嘱託勤務/魔槍士
(3)「蛮勇」アヴェル(A級)人族40歳/機構本部勤務/剣士
(4)「閃光」リーヴァス・ブルーム(A級)人族31歳/『赤竜の翼』所属/剣士
(5)「灰燼」リト・ダンティス(A級)人族35歳/『岩壁の魔人』所属/魔剣士
(6)「剣狼」バックス(A級)獣人族狼種23歳/『レガンテの守護者』所属/双剣士
(7)「三日月」ガトリン・ベル(A級)獣人族熊種26歳/『レガンテの守護者』所属/戦槌士
(8)「流星剣」ジライハン(A級)人族(獣人族虎種のクオーター)29歳/『白虎陣』所属/剣士
(9)「牙剣」ブラガ(A級)獣人族虎種25歳/『白虎陣』所属/剣士
(10)「番人」ゲイル・バスケス(A級)人族39歳/『血盟戦線』所属/剣士
(11)「穴熊」グイン・ポート(A級)人族55歳/『血盟戦線』所属/魔術師
(12)「黒槍」ハミル・エルナンデス(A級)人族36歳/『血盟戦線』所属/魔術師
(13)「碧石」アリージュ・ボッツ(A級)エルフ族78歳/『血盟戦線』所属/魔術師
◆【猿王討伐隊サポートメンバー】
(14)「英雄」ダグラス・シーバー(元S級)※2日後、脱退予定/人族とエルフ族のハーフ138歳/ユリジア王国ギルド長/魔剣士
(15)「白蛇」ドウラ・レンツィオ(元S級)※10日後、脱退予定/人族61歳/機構嘱託勤務/魔術師
(16)「爆裂姫」フェイト・ニコ(A級)※4日後、加入予定/エルフ族/機構本部勤務/魔術師
「一枚目の最後に書かれているフェイト・ニコさんは4日後、途中加入の予定です。付け加えますと、報酬は辞退するとのことで、彼女の意思を尊重しまして、皆さんの分け前が減ることはありませんので、ご安心ください」
「「「「「はははは」」」」」
成功報酬は受け取らないが、機構保証の日当は支払われることになっている。機構保証の日当があるのに受け取らないのは、他の職員の手前、許されないことになっている。
だが、彼らが声を出して笑ったのは、それだけが理由ではないだろう。
一枚目のメンバー表を見て、彼ら自身確信したのだ。
これ以上の戦力はあり得ないし、不要だと。
それだけ充実したメンバーが揃っていた。
前衛、後衛、全く隙がない。
負けようがない。
彼らは皆、A級以上の冒険者だ。
元と現役、合わせて4人のS級冒険者がいる。クランのリーダーを務めている者もいる。竜討伐の経験者も一人や二人ではない。戦場で大将首を取ったことのある者もいる。
猿王種を甘く見ているわけでも、過小評価しているわけでもない。公平に戦力を見比べた結果、勝利を確信したからだ。
心の余裕が、笑い声として出たのだ。
「ダグラス卿とレンツィオ卿につきましては、合わせて600万セラを日割りで今回の参加報酬とさせて頂きます。これは機構が保証します」
ダグラス・シーバーが2日間参加、ドウラ・レンツィオが10日参加なので、日割りで50万セラ。日本円で日当500万円になる計算だ。フェイト・ニコにも同額が支払われる。
景気の良い話は続く。
「二枚目の書類をご覧下さい」
「今回の依頼完遂の成功報酬は50億セラです。ただし、補足条項があります。ブラックピテクスを逃したら、記載の通り、機構が保証する参加報酬のみとなりますので、お知りおきください」
参加報酬とは日当のことだ。もちろん、一人一日50万セラ。
日本円で約500万円。
その額を多いと見るか、少ないと見るかは、人それぞれだろうが、彼ら一騎一騎の戦力を考えれば、妥当な額だとするのが一般的な意見だろう。
「ようは、ブラックピテクスを討てば良いんだろ?」
ダリムは内心、「やる前から逃がす心配する奴がいるか」といった気持ち。
確かに、ブラックピテクスを討てば何の問題もない。
「その通りですが、補足条項があります。ホワイトピテクスと合わせて40頭以上狩る必要があります。40頭以下だと、25億セラに減額されますので、ご注意ください」
カレイニア王国が支払う予定の依頼料は満額で60億セラ。(日本円で約600億円)
機構の取り分が10億セラで、クランの取り分が50億セラ。
ただし、例えブラックピテクスの討伐に成功しても、総計40頭以下なら、それぞれ半額になる。
実は、カレイニア王国にとっては、この結果が一番望ましい。
ブラックピテクス+他の猿王種39頭以上だと、満額支払いになるからだ。
「カレイニア王国軍が確認したのが50頭前後なら、群れはそれ以上だから、60~70頭規模かな?」
とは、「灰燼」リト。
「戦闘に参加する猿の数が50頭規模なんだろ? 50頭の内の40頭狩るのは、意外に難しいぞ。山の奥に行けば群れの残りがまだいるだろうが、いちいち探して狩るんじゃ、時間がいくらあっても足りない」
追跡は得意な狼種、「剣狼」バックス。
実際のところ、冒険者側が攻めれば、逃げる猿王種も出てくるだろう。白猿ならただ追えば良いが、黒猿なら、間違っても見失うわけにはいかない。そうなれば、作戦の失敗だ。
平野での戦ではないのだ。
状況によっては、黒猿を追跡する局面も出てくるだろう。
「高地で散開されたら、厄介だな」
手前勝手な理想的展開を夢想するなら、緒戦で双方最大戦力で激突した上で、黒猿を討つ。その後、逃げた白猿を一頭一頭シラミ潰しに、総計40頭になるまで狩り続ける。これが一番だ。
だが、猿王種が最初から散開した上で、ゲリラ戦を仕掛けてきたなら、討伐のハードルは一気に上がる。
「……つまり、40頭以下でブラックピテクスを漏らしたら、成功報酬はゼロてことか?」
首に三日月形の傷痕がある熊種の「三日月」ガトリン・ベル。
A級であっても、ややこしい話は苦手な者もいるらしい。
「ガトリン、正しくは黒を逃したら、白を何頭狩ろうがゼロってことだ」
「三日月」ガトリンのボケをたしなめたのは同じクラン、『レガンテの守護者』の「剣狼」バックス。 しかし――
「「「!!」」」
ガトリン以外にも補足条項が曖昧な者が若干名いたようだ。
「おいおい、何だその反応は。大丈夫かよ……」
「そ、そういうことです。とにかく、ブラックピテクスの首が討伐の最低条件になります。機構が日割りで50万セラは保証しますが、90日間追いかけて空振りに終わりますと、機構は大赤字ですので、宜しくお願いします」
単純計算で、15人×50万セラ×90日=6億7500万セラ。
日本円で60億円を超える。
「英雄」ダグラス・シーバーは2日後脱退予定、「白蛇」ドウラ・レンツィオは10日後脱退予定なので、細かく言えば額は変わってくる。
さらに、もし途中で冒険者側に犠牲者が出れば、その分もまた。
ただ、いずれにしても冒険者ギルド機構の大赤字は間違いない。
機構側としては、その辺りも考慮した上で、短期間で集められる最大戦力を用意したのだろう。
「90日も猿の尻を追っかけてられるか! 一週間で討つぞ!」
「「「「「おう!!」」」」」
ダグラスの激に一同が応じる。
「皆さんの中で、マギバッグをお持ちで無い方はいますか? いれば日割り1万セラで貸し出しますが?」
「俺は持ってない。借りよう」
クラン『白虎陣』所属、「流星剣」ジライハンが手を挙げる。
「「俺もだ」」
さらに、「剣狼」バックスと「三日月」ガトリン・ベルも。
奇しくも三人とも獣人族だが、別に獣人族が貧しいわけではない。
いや、平均所得を比べれば、人族よりも貧しいのは確かだが、彼らはA級冒険者である。マギバッグは一般的に流通している魔道具の中では最も高価な魔道具の一つだが、彼らに買えないほど高いわけではない。
獣人族は魔道具をあまり好まないのだ。
特に理由はない。
今回にしても、必要とあらば使うことに躊躇はない。
魔力容量の問題でもないのだが、何故か、なるべく魔道具を使わない、というのが獣人族の習性のようになっている。
「3人ですね。バッグには白猿の毛皮を入れて貰います。内臓や肉は不要ですので、落としてくれて構いません。どの道、容量は250kgくらいですので、死体をそのまま入れることは出来ませんから」
「内臓抜いただけじゃ、入りませんか……」
忘れていたわけでもないだろうが、アヴェルが顎に手をやり、考え込む。
「結構、難しい問題ですね。山岳地帯で300kg以上の死体を何頭も持ち運ぶわけにも行きませんし」
ダリム配下の「黒槍」ハミル。
彼の得意魔術は召喚した槍。自身の槍で串刺しになった猿王種の群れを想像したのだろう。
「そうなんです。いろいろ考えたんですが、上手い方法がありません。その場で解体するにしても、時間が掛かりますしね。皆さん、何か上手い方法はありませんかね」
「うむ。せっかくのホワイトピテクスの毛皮だ。捨てるのは惜しいしのぅ」
「俺は解体は得意な方だが、3m400kg以上の魔物の解体だと、最低でも一頭あたり20分は掛かるぞ」
「白蛇」ドウラの呟きに応えたのは虎種の「牙剣」ブラガだが、正確には、「解体」ではなく、「皮剥ぎ」になる。つまり、「皮剥ぎ」だけなら、解体は手馴れた彼らのこと、そこまで掛からない。
ただ、「皮剥ぎ」の最短記録を目指すわけではないし、質に直結する。当然、丁寧に剥ぐ必要がある。その辺りを考慮すれば、皮下の脂を残したとしても、30分以上は掛かるだろう。
「ええ、皮剥ぎだけでも、掛かりますよね。高地での危険な任務になるので、ドワーフ族の強力を連れて来るのも難しいんですよ。ラモン村が殲滅されましたから尚更です」
「イーガーさんは俺たちが討伐している最中、どこにいるんだ?」
「王格」グスタフが何か思いついたらしい。
「ここにいます。ただ、この後、ダリム卿からもあると思いますが、作戦としては、ラモン村を最初に攻略してもらいます。奪われた失地の回復は基本ですからね。皆さんがラモン村を攻略したら、私も向かいます」
「じゃぁ、決まりだな。俺たちは白猿を狩ったら、ラモン村まで運ぶ。あんたはそこで猿の皮を剥ぎながら待ってりゃ良い」
「良いアイデアです、グスタフさん。すまんが、全員の日当から毎日1万セラずつ抜いて良いか? 15人分でイーガーの日当は15万セラになる。これだけの規模の討伐だ。それくらいのボーナスは随行職員にもあって良いだろ。皆、どうだ?」
「良いんじゃないでしょうか」
「俺も1万セラなら問題ない。それくらい抜いてもらった方が、こっちも気が楽だ」
ダリムの鶴の一声で、ダグラスとリーファスが同意する。
他の者も、「良いアイデアだ」といった様子。
危険な場所に同行させる上に、剥ぎ取りの手伝いまでやらせるのだ。しかも、その間、護衛が付くことも無い。
気分良く頼みを聞いて欲しいという、彼らなりの気持ちだろう。
「皆、納得か。じゃぁ、イーガー、そういうことだ」
「皆さん、ありがとうございます! いやぁ、これは嬉しい臨時ボーナスになります。猿王種の解体はやったことありませんが、冒険者時代はさんざん剥ぎ取りをやらされましたからね。割と得意な方ですよ、任せてください」
機構から出る随行手当に、日当150万円のボーナスがプラスされることになった。イーガーは笑いが止まらないだろう。
通常規模の討伐隊なら、ポーターや剥ぎ取り専門業者が同行することもあるが、今回の場合、高地での討伐である上に、極秘の大規模討伐である。
いろいろと特殊な事情があるのだ。
その為、随行は職員ただ一人となっている。目立たないように、ギリギリまで人員を削ったのだ。
それ自体は特に問題はない。
機構には機構の、カレイニア王国にはカレイニア王国の、それぞれの事情があるだろう。
それはもう、仕方の無いことであろう。
ただ、そういう個々の事情とは別に、現状、討伐隊は肝心な事を失念している可能性がある。
非常に大事な事を。
それは他でもない。
彼ら自身も狩られる可能性があるということだ。
これは言ってみれば、猿王種と冒険者の生存を賭けた戦争である。
敵は逃げるばかりではない。
抵抗もするし、反撃もするだろう。
果たして、一人の犠牲も出さない戦場があるだろうか。
もちろん、稀な事例はあるだろう。現に、猿王種vsカレイニア王国軍の一戦では、猿王種側は一頭の被害も出していない。
だが、戦場が強い弱いを決める場ではなく、奪うか奪われるか、死ぬか生きるかを決める場である以上、例え圧倒的勝利の下でも犠牲が出る可能性は常に付きまとうはずだ。
猿王種を過小評価していたわけではない。
自分たちを過大評価していたのだと。
強き集団であればあるほど、その罠に陥りやすい。
確かに彼らは一国を落とせる戦力なのだろう。国家級戦力が15人も集まることなど、そうそうあることではない。
だが、それすなわち、被害ゼロで収まる保証足り得ない。
それを彼らが骨身にしみて知るのは今日より2日後である。




