第八話:ワルツ第八楽章
果たしていくつの精霊を消したのだろうか。
敵は、蠢く野生種は、オオカミの形をした精霊達は、初めから何もなかったかのように消えていった。
「すごい・・・」
羽がようやく光を失なった時、私は思わずつぶやいていた。
花のような香りが、あたりを包み込む。現実とは思えなかった。たとえて言うなら、お話の。
それも子供向けの絵本のような光景だった。
『ふぅ。疲れましたね。』
「まったくだよ。また無意味な演出しやがって。なんだよ!あの雪は!」
『必要な演出でしたよ。なかなかきれいだったでしょ?』
「霊力吸い取られた側としては、腹立つことこの上ない光景だったね」
『ふぅ。やはりあなたは文化的ではないのですね。いや、文芸的ではない、ですかね』
「無意味な力の非効率的な活用法が文化的だっていうのなら、願い下げさ」
目の前には、銀の光を纏う天使と、赤い光を纏う少年。
夢だ。
そう、夢に違いない。
★
最終防衛ラインは、大混乱に陥っていた。
目の前の光景が、八雲同様に信じられなかったのだ。
空に浮かぶ金の円盤から落ちてきた光。熱量。それにより目に見える、莫大な霊力の波。
「な、な、なんだったんだ!あれは!」
「八雲の言っていた、最終、兵器」
「つったって霊力数値はざっと見ても四ケタ越えだって!?」
「私にもわからん!・・・だが、昔八雲から聞いたことがある」
「なにを?」
「この学園都市の地下には、天精戦争の遺産、強大な力が隠されている。とな」
「それがこれ?」
「ああ。おそらくは。だが私は一度も見たことがなくてな」
いったいどういうものなのか。あの時代の科学力の遺物だとすれば、このようなこと造作もないのかもしれないが・・・。
「あ!やばい、なんか思い出した!」
薫が大声を上げる。
「そーいや見たことあったな!そうだ、確か・・・」
「なに!それはどういうものだったんだ?」
「あー。えっと。八雲と学校内の点検をするときに、西棟開かずの間からいけるらせん階段の一番下、22ケタのパスワード・・・その一番奥の研究所。うん、やっぱり見たことがあった!」
必死に思い出そうとする薫。混乱して記憶があやふやになっているようだった。私も同じように混乱をしている。急かすのは逆効果だろう。
「それで、薫。それはどういうものだったんだ?」
「黄色、いや、金色の古代ルーンで埋め尽くされた、強化ガラスのドームだったな。えっとー、そう。その中に、赤い籠手?みたいな、あぁ、八雲は手甲っていってたな」
「紅手甲のことか?」
「そう、それ!ってなんだよセンセー。知ってんじゃねーか」
「いや、私の知っているのは天精戦争時末期に天空軍によって開発された兵器のことだ」
「ほらやっぱそれじゃん。地下に眠る天精戦争の遺産!」
「おまえ歴史習ってないのか?・・・ってそうだったな。数学以外はおまえは赤点だったな」
「すいませんね。特務科いなかったら落第で」
「だから私はもっと勉学のほうにも力を入れろと・・・ん。まぁいい。それでだ。その紅手甲だが、当時のほとんどの文献、さらには世界史の教科書にもこう書かれている。“使用したものの精神を侵食し、八割の被験者を廃人に追い込んだ”さらに詳しく言うと、“それをはめたものは激しい激痛、幻惑に襲われ、耐えきった者でも、その後赤い光を見ただけで発狂した”とな。現在より遥かに発展していた天空軍が不可能だったんだ。今の私たちが扱えるはずかない」
「でもそれ天空軍の切り札だったんだろ?だったら八雲がうまいことして発動させたんじゃ」
「本当に学がないというのは、あぁ、もう!私は悔しいぞ薫!いいか、その紅手甲の能力は、コントラクトを疑似的に発生させるものだ。つまり、精霊魔導士がないものでも精霊の力を使役できるようにするためのものだ。だから仮に八雲が発動させたとしても、基礎も知らない人間にあんな細かな演出付きの力が使えるわけないだろう」
精霊魔道。私は何度か対面したことがある。戦ったこともある。だから、わかる。あれは錬金術とは根本的に違う。体の使い方、霊力の感覚、すべてが別物だった。
「まてよ、たしかあの時、八雲の隣に誰かいなかったか?」
「あのときって、あぁ、空が赤く染まって、八雲が私たちの上を通過して行った時か?」
「そう、変な金色の円盤にのって」
確かに隣に誰かいた。
「だがあれは・・・」
「姫ちゃんだったな。そーいえば」
★
「ハックシュン!」
「ほんとうに緊張感のない人です」
『場の空気を読めないのが、この人ですからね』
「うるさいな。まったく。・・・誰か俺のこと話してんのかな」
「能天気、ここに極まれり、ですね」
『おそらく悪い噂だね』
「うるさいよ!本当に!」
って、こんなことを話している暇はない。最初から感じていた疑問。低級な野生種が普通錬金術師のいる場所に来るはずがない。ということ。たとえ群れでも、リスクの高い場所へはふつう避けるはずだ。
「ねえ、小林さん」
『えぇ、そうですね』
「あー、やっぱり気づいてた?」
『私は精霊です。あなたより、あちらのほうに近い存在ですから』
「?なんのことですか?」
その疑問の答え。ここで考えられるのは一つだ。
「何者かが・・・」
『野生種を使役し、ここを襲わせたようだということです』
「そういうこと」
八雲さんが息をのむ。
「可能、なのですか?」
『精霊魔導士、そうですね。ハイナイトクラス以上ならば、可能です』
「そんな・・・どうして!?」
「理由は分かりません。ですが、放っておくわけにはいきません」
「すぐに大学のほうへ連絡をしないと!」
『あー、非常に言いにくいんですが、私が感じますに、野生種使役を行ったのはマスターナイトレベルの人間でしょう。数からしても、質からしても』
「ここの大学のレベルは分からないんですけど、おそらく返り討ちにあうのが関の山かと」
八雲さんの顔が、また最初に戻っていく。悲しい、ひどく悲しい目。
「では・・・もう私たちは・・・」
「俺が行きますよ」
「え?」
「俺が行って、ぶっ倒してきます」
『かっこいいですね~このええかっこしー』
「そんな、でも!」
「八雲さんは、すぐに学校に戻って、事態の収集を。俺のことは、まぁ、特務科の二人以外には秘密でお願いします」
「ちょっと待ってください。私が離れれば姫は!」
『2分』
「え?」
『2分までなら、私が食いとめます』
「無理です!大学の力でも太刀打ちできないほどの敵なんですよね?それを二分だなんて!」
心配、されてるんだな。
うれしい、本当にうれしい。でも、だからこそ、
助けたい。そう思える。
「俺を、見くびらないでくださいな」
『ですよ。結構強いんですから。まぁ全盛期の力さえあれば、ここからでも無力化は可能なんですけどね』
「悪かったね。じゃあ、ここで降ろしますよ。」
「まってください」
「ん?」
ぎゅっと、手甲のついていない方の腕を握られる。
細くて、やわらかい。あったかくて、汗で湿ってる。
ふわっと、彼女の香りが・・・。
「帰って、きてください」
顔は、無表情だけど、それでも、思いは伝わる。
やっぱりうれしい。うれしくてたまらない。
答えたい。答えて見せたい。強く、強く、強く思う。
心の強さはそのまま翼になる。
大空高く、今なら、どこまでだって飛べる。
どんな敵でも、負けない自信。
「まかせてください!」
敵は、逃げている。遠くの、森の中。
一瞬で、
そう、一瞬で。
おまえをヤって、安心させる。
ナナ「誰も楽しみにしてない。でもやっぱり小説内で活躍できない私たちに出番をくれ!ってことで始まりますオリオンレポート!」
ヨシ「ナナ、長いー」
ナナ「うっさい!今回から、各キャラクターに一言!のコーナーよ!」
ヨシ「んじゃ行ってみよー!」
ナナ「ほら!早く!こっとこっち!」
日乃「え?なにこれ!なんでこここんなに暗いんだ!?」
ヨシ「いいのよ!ここは出番のない私たちの聖域なんだから」
ナナ「質問に答えなさい。1、好きな食べ物2、嫌いなもの3、趣味4、特技5、ナナの好きなところ6、ヨシの嫌いなところの計6つよ!」
ヨシ「ちょ、何言っちゃってんの!?」
日乃「えーっと、エビチリが好きかな。嫌いっていうか、苦手なものは、んー。人の視線。趣味は料理。特技も、料理・・・でいいのかな?うん。んで、ナナさんの好きなところは、ハキハキしていて、眼鏡がよく似合って、頼りがいがあるところ。ヨシさんの嫌いなところは、ありません。人を悪くは言いたくないんで。自分言われて死ぬほど苦しかったし。代わりにいいところは、元気なところ。あと、以外とおっとりしているところかな。短めの髪もよく似合ってます。以上です!恥ずかしい!」
ナナヨシ「うっ・・・」
八雲・薫・美奈子・アリア・カトレア「「「「「・・・・・・・プチッ」」」」」
日乃「え?なに?え?ちょっと!やめ、ぬわっ!死ぬって!ぎゃ、ぎゃぁああああああああああああああ」
小林『おわりまーーす(ニコ)』




