第四話:爆発
テ ス ト 終 わ っ た よ !
ええ、エンドじゃなくてフィニッシュですの。というわけでともゾン放置でこっち更新。もう夏休みまで四時間授業だし、ともゾンも書けたら嬉しい。目標は今年の一年(学年が変わるまで)での完結ですので、こちらはまたふていきになってしまいますすいません。
ともあれ。
2013,3,13 吉夫(victor)さま(http://mypage.syosetu.com/146438/)よりレビューをいただきました!
一体いつの話かって……、かれこれ四か月だよ(/_;)
すいませんお礼が遅れまくりまして……!
まさか「……」も「――」のルールも知らない、小説の書き方なんてまるで分らないような状態から書き始めた「しない♪」にレビューがつくなんて、非常に驚きでした。画面の向こうに伝えられないのが残念ですが、そのときは「お婆ちゃんは言っていた。世界は俺を中心に回っている、と」なんて思い、つい人差し指で天井を指差してました。豆腐入ったボウルがあったらきっと完ぺきでしたね。
では。
ユーキの叫びに、すべての靄が彼女をとらえた。
「ひぃ!?」
取りあえず彼女(二重の意味で)は後ろに下がらせて、闇色の魔人と対峙。
「モンスター大量湧出エリアか!?」
聖夜が、銀色の円錐で靄を薙ぎ払いながら言った。騎乗用の槍は、貫くことに特化しており、払う動作には向かない。
☆☆☆
「突然だが話がある」
「なんだ、唐突だな」
聖夜が黒靄を薙ぎ払いつつ、声だけで意識をこちらに向けた。
「実は、大事なことを言い忘れていた」
「な、なんですの?」
黒靄を押し流して真っ黒の濁流を作ったゆーきは、こちらを振り向いた。その声にはかすかに緊張がにじんでいる。
「俺、魔法の詠唱破棄、もう持ってるんだけど」
「一体いつからだあ――!」
聖夜の投擲した槍が、額に突き刺さった。
☆☆☆
槍が突き刺さるのは避けられない、だから、頭を大きく振って後ろに飛ぶ。バク宙の要領で、とんぼを切って着地したが、少し額が割れた。HPゲージは減らなかったが、衝撃はもちろんあり、痛みも感じた。
風の刃を飛ばして聖夜の周りの黒靄を掻き乱し、言う。
「なにすんの?」
「おま、そっちこそなんで詠唱してんの? いつから?」
「いや、お前から伝説級宝№1奪った時にはもう使えたけど」
あれ? と、ゆーきが疑問の声を上げた。おかしいですの、と続く。
「クロウ様――今まで、詠唱されてましたよね? あれは一体どういうことですの……?」
黒靄を掻く。
「いや、おんなじ魔法使ってもさ」黒靄を掻く。払う。こいつらは、収束しないと行動できないらしい。
「はいですの」
「詠唱ナシと詠唱アリとじゃ、アリのほうが格好良いじゃん?」
「……まあ、その……、そう、ですのね」
「お願いだゆーき、こっちを見てください」
☆☆☆
「さて、現状、こいつらを倒さないと出られないようだぞ。どうする?」
聖夜が、黒靄を掻きまわして、実体化するのを防ぎつつ言う。手には白銀の円錐――先ほど拾って、機械竜の力をブーストして十倍速で投げた――が握られている。俺とゆーきは、動かずとも黒靄を掻き交ぜていられるので、空間には聖夜の足音だけが響いた。金属同士がこすれあう音と、靄が霧散する音。
暴れているのは聖夜だけだし、下手したら俺たち静観しているだけでも良くね? とも思う。
「燃やせば良いんじゃねぇの?」
メーフィを憑依するという手順を踏んでから、炎龍も憑依。一応爆発とかしたら嫌なので、ゆーきを抱き寄せる。
「詠唱破棄! 炎の嵐!」
詠唱破棄は、実は技名の発声も破棄できるスグレモノだ。つまり、本来の技名と違う名前を叫んでも、発動に対しとくに支障はきたさない。だから普段はオリジナルでセンセーティブでかっけー名前を叫ぶのだが、今回は少し自重。本来そのままの技名を控えめに叫ぶ。今回は芝居がかった動作もなしで。ところでセンセーティブってどういう意味。
俺を中心に時計回りに吹き出す台風に、火の粉が紛れ、火が乗って、炎が巻き付く。それらは黒の靄を巻き込んで、白銀の鎧も巻き込んで、空間いっぱいにまで広がる。ところで、ごくナチュラルに聖夜のことを忘れていて巻き込んでしまったようなのだが、俺はどうすればいいだろうか。くそ、故意じゃなくて本当に事故なのが悔しい……!
はたして炎に舐められた靄は、
「うぉっ」思わず声が漏れる。
爆発した。それも、空間を直接突き上げるような振動を伴って、だ。充分大爆発といって良い規模だろう。
「可燃性のガスかなんかか……?」
「あの、クロウ様? その、聖夜様が……」
「でも、これで一掃できることがわかったな。ゆーき、体、大丈夫か?」
こちらに体を預ける形でしなだれかかっているゆーきに問う。この場は二人だ、特に人目をはばかる必要もあるまい。
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彷徨魔人 HP10 MP30 At68 De0 Sp980
スキル 可燃性《ポンと音を立てて勢いよく燃える》
物理無効《物理攻撃が効かない》
気体《魔法攻撃が非常に効きづらい、常に浮遊》
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「このスキル説明、中学校の教科書思い出すなぁ……」
「ハイドロ・ジンって、きっとハイドロジェンと掛かってるんですのねくだらな……、いえ、なるほど、水素ですのね。だから火で爆発したと……」
ともあれ、黒靄――闇色の魔人は一掃した。これで、この空間から出られるようになるはずだ。
案の定、入ってきた扉の正面、壁が直接スライドするような形で開いている。
メーフィ、炎龍、機械竜の憑依を解いてから、世界樹のメイスを握る。憑依モンスターにダメージの概念はないが、疲労はある。消耗したら、冷却の時間が必要になるのだ。つまり、消耗度がゲージマックスになったら、しばらくそのモンスターを憑依できない。しかし、こまめに休ませてやれば徐々に回復するので、結構長持ちだ。ゆえに、世界樹のメイスの出番だ。メイスでも十分戦える。これは、俺が持つメイスの中で一番性能の良いメイスで、形状は、ただ木の枝を手折っただけのようにも見えるが、ところどころにルーンの文字が彫ってあり、白の光が文字の上で胎動している使用だ。その胎動こそが、世界樹に宿る創世の魔力なのだ――と俺は勝手に解釈している。死霊使いに創世の魔力とかどんな皮肉だよ。
空間から出ると、またしばらく一本道のようだ。五十メートルくらい先で、道が左右に分かれている。
そこで俺は気づいたのだ。ある、重要な――されど忘れるくらいだから対して大事でもない――ことを。
「聖夜がどっかに消えたな」
「だからさっきそう言いましたのよ――!」
通路の奥をのぞくと、獣の口の中を覗き込んでいるような悪寒に襲われた。穴は、闇がヴェールとなり覆いかぶさっていた。
またしばらくしたらお会いしましょう。
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