表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
死体が無いなら作ればいいじゃない♪  作者: たしぎ はく
1stシナリオ~プロローグ~
6/63

ナイロック湖の主と伝説の釣り師。空気を読まない馬鹿は死ねぇぇぇ!!

 

 感想、誤字脱字、欠点、文の表現のおかしな点等ございましたら、是非書き込んでください。

 

 今回は少し長めです。


 読むのがしんどかったらすいません

 


 『ナイロック湖』は、澄んだブルーの水、そして地形に凹凸の無い歩きやすい穏やかな湖畔に、湖の中央くらいに生える馬鹿でかい大木が特徴の美しい湖である。


 また、この湖中央の樹は、樹の洞や隙間に家屋が立ち並び、それだけでひとつの町みたいになっている。


 そして、この樹に行くには湖を反対まで行く必要があるらしいので、俺達三人、俺、リラ、馬鹿は、湖のほとりを時計回りに歩いている。 


 別に反時計回りでもいいのだが、多数決をとったら俺が時計回り、リラが時計回り、聖夜が反時計回りの、全員時計回りだったので時計回りに進んでいる。

 

「おい、その計算だと自分が数に入ってないぞ?」

「読んではいけない部分を読心術的能力(アビリティ)を行使して読むんじゃありません! どうやって取得したの、そんな不思議能力!」

「その謎は誰にも分からな「言う気がないならしゃべらなくてよろしい」


 そうだ、さっきの戦闘後に、霊魂は一気に増えた。12体だったのがバット×9、ラフレシア×9、キラービー×7の計25体増え、合計で37体だ。


 内訳で緑35、白2。


 俺のゾンビ軍団拡大計画は着々と進行中!


 俺が野望を再確認していると、水辺で糸を垂らしている釣り人を発見した。

 

「何か釣れますか」

「今日は全然じゃのー。ボウズじゃ。」


 おもむろに糸を巻き始める。今日は諦めるのだろうか? と、凄い勢いで釣竿がひかれる。


 なんかね、釣竿の曲がり具合が半端無い。


「むぅぉぉぉぉぉぉおぉおお!!!!」


 手伝いますか? Y/N


 なんだ、このお爺さん、NPCだったのか?


 ならばこれはフラグ、断る理由が無い。


 お爺さんの後ろから手を回し、釣竿を持つ。


「ぬお!? 結構重い!」

「私も手伝います」


 リラも手を伸ばし、竿を掴む。……腕に当たってる! 当たってるよ! 何が!? それは俺だけの秘密、役得って奴さ!


 さすがバーサーカーと言うべきか、釣竿は簡単にあがり、針にかかっていた魚が釣り上げられた。


「おっきい……」

「でかすぎるだろ……」


 釣り上げた魚は、全長八メートルはあろうかと言うような大魚だった。


 お爺さんは腰を抜かしている。


「主じゃ…! ついに主を釣り上げたぞ! これを倒して、完全に釣り上げるのじゃ。モンスターを釣る時は、倒してやっと、釣ったようなものじゃ」


 戦いますか?Y/N


 寸分も迷わずイエス。


「もちろんだ! リラは、戦うよな、もちろん」

「はい、もちろん、戦わせていただきます!」


 俺のセリフが疑問系にならなかったのは、リラがすでに戦る気まんまんで、臨戦態勢だったからだ。


 ……しかし、このお姉さま、なにげバーサーカー気質だよな、容姿と性格に反して。可愛くてグラマーなのにバーサーカーってどうよ? 


ナイロックの主 HP1120 MP300 At84 De0 Sp1

スキル 地震《近~中距離の敵に衝撃波でダメージを与える》

    水弾《水の塊を飛ばし、ダメージを与える》

    湿り気《炎属性の攻撃被ダメージ半減》

    魚類《水中でスキル+泳ぐ》

    速泳《水中時Sp+500》


 序盤に出てくる敵としては強すぎる! 鬼か! あの馬鹿の家族は代々こんな感じか!

 

 ちなみにその馬鹿はと言うと、水上に避難してる。


「だから言ったじゃんだから言ったじゃん! バーカバーカ!」


 …馬鹿が水上で叫んでいる。


 このさい、あいつが水上に立っているのはもう知らない。どうせ、能力(アビリティ)だろ。俺はもうあいつが空を歩いていても不思議と思わないだろう。


 でも、腹は立つので石を投げておいた。


 あ、水の中に落ちた。ざまーみやがれ!


 とりあえず馬鹿の事は思考の隅に追いやって、ナイロックの主(以下主様で統一)と向き合う。


 今、主様はさっき釣り上げたとき丁度背中から俺とリラを挟んで湖と森の中間くらいにおちたので、無防備である。つまりリンチし放題。当然の事だが俺らは湖側にいる。


 使役系能力(アビリティ)『顕現』発動、MP30消費して、聖夜ゾンビ以外の全ゾンビを霊魂からモンスターの状態にして出現させる。

 

 本当ならMPはモンスター一匹1消費なので35消費するのだが、そこは使役スキルのレベルが上がったので、MP消費量が減ったのである。


クロウ ♂ 16 死霊使い


装備スキル メイスLV7 ワンドLV1 魔道書LV1

職業スキル 操魂LV17 使役LV8  闇魔法Lv1


 ほか変化なし。


 ちなみに、操魂スキルはモンスターをゾンビ化させたりゾンビの霊魂を憑依させたりしたら上がって、

使役スキルは霊魂状態のゾンビをモンスター状態で顕現させたら上がった。


 使役スキルは今上がったみたいだな。お、MP消費量-5が-6になってるな。


 顕現させた全モンスターの内、キラービーで攻撃させる。マヒ状態を付与させて、主様の動きが目に見えて遅くなる。ちなみにSpの最低値は0だ。


 その間に他のゾンビで総攻撃。


 もちろん俺も主様を殴る。リラも大剣で斬りつけている。


 一撃ごとの威力は微々たる物だが、世の中には数の暴力と言う言葉があることから分かるように、主様のHPが目に見えて減っていく。


 後一撃二撃で死ぬ、と言うところでリラが攻撃を止め、俺も眷属の全ゾンビを下がらせる。『小さな森』を抜けすぐに、リラが提案してくれたのだ。


「もし今後私とクロウさんが共闘する事があったら、その時はクロウさんがとどめをさしてください」

「いいの? リラにメリット無いだろ?」

「いいんです。別にとどめをさすことによるメリットは私には無いんで、それなら止めを刺す事によりメリットがあるクロウさんがさせばいいと思うんです」


 優しい。優しすぎる。その美貌で更に性格良くてグラマーとか何者? …現実世界でストーカーになってしまいそうだ、とかちょっと考えた俺、メ!


 とまあ、そんなやり取りがあったわけで、今俺は主様にとどめをさすべく、メイスを叩きつけた。


 ……微妙に攻撃力が足りないな。


「憑依系能力(アビリティ)『武器憑き』!」

 

 武器憑きはゾンビ二体でMPを10消費する。だから、半分の一体、それで、消費MPは半分の5に。

 

 ……ラーメン屋の炒飯か、とか思ったが、口には出さなかった。誰も笑わない事は俺も分かってんだよ。炒飯(420円)とハーフ炒飯(210円)の関係みたいな? 冷たい目を向けるなよ! 分かってたさ! 

 それでも言い続けた俺のハートの強さを褒めろよ!

 

 閑話休題。


 消費MPが半分の5になったことで、MP消費量-6が生きてくる。つまり、MPを全く使わず能力が使えると言う事だ。


 今、それなら手間はかかるがもう一度同じ武器に武器憑きを発動させたら二体分憑依できるんじゃないか、と試してみたが、無理みたいだ。一度に憑依させる分には二体まで(今の俺のスキルレベルの限界)大丈夫だが、どうやらもう何かが憑依しているものには後から来たほかの何かが憑依するのは無理みたいだな。


 メイスにバットを憑依させる。


 攻撃力+13。


 バット一体分だな。


 そのまま殴る、殴る、殴る、殴る、…………。



「ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ、ハァ、ハァ、ぜぇ」


 倒すまで休まず殴り続けた結果、息が上がった。しんどすぎる……。


 ともかく、主様をゾンビ化させ、霊魂にする。……おお、霊魂が淡い青色だ。綺麗だな…。


 その後、いつの間にか湖からあがって来た、ワカメ付き聖夜(湖だぞ!?)からMPポーションを奪

い……あ、いや、貰って、MPを回復させる。


「主……。このナイロック湖の主を倒しよった…!」


 釣り人のお爺さんが腰を抜かしてるっぽい。


 主様との戦闘に夢中で、すっかり忘れてた。ごめん爺さん。


「うむ、お主らには“アレ”を託しても良いかもしれんな。ついて来るが良い」


 そのまま歩いていくお爺さん。


 ついて行きますか? Y「行こうリラ」


 選択肢が全て表示されるまでにイエスと選択。待ってる時間が惜しかったのではない。お爺さんの歩みが速すぎて、迷う時間が無かったのだ。


 ダッシュでお爺さんに追いつく。


 お爺さんに追いついたので、少しスピードを落とし、後ろをついて行く。


 ……しっかし、まるで足音がしねーな。NPCは皆そうなのか?


 歩くNPCに遭遇したのは初めてなので、その辺はよく分からない。


 と、お爺さんの歩みがふと止まる。


 考え事をしていた為にぶつかりそうになった俺は、緊急回避。右手に避け、そのままお爺さんの方を向く。そして、お爺さんの視線の先に視線をずらした。


 そこには、森の樹に隠れるようにして、小さな小屋があった。


 それを見た俺が思ったことは、


 ……昔近所に作った秘密基地みたいだ。よく中津先輩(聖夜)が入っているときにドアを塞いで閉じ込めたっけ…。


 ロクなことしてねーな、俺。


 反省する気はないけど。今はいい思い出だ。



 さて。お爺さんが立ち止まっていたのは一瞬。


 注意していないと見逃してしまいそうなその小屋に入って行き、棒みたいな物を二つ抱えて出てきた。


 ほれ、とそのうちの一つを渡してきたので、反射的に受け取る。


「釣竿…?」

「釣竿だな」


 渡されたのは、さっきお爺さんが持っていたものと同じデザインの釣竿。


「それは、わしがこのナイロック湖の主を釣り上げる為だけに作った釣竿じゃ。おぬしらになら渡しても、大丈夫じゃろう。これで心残りはないわい。最後にもう一度この湖の主を見ることが出来、更に釣り上げたのじゃ。ありがとう、本当にありがとう、トレジャーハンターの若者達よ……」


 スー、と、段々お爺さんは透けていき。


 最後に、お爺さんがいたところにはもう何もいなかった。


 だから、足音がしなかったのだろうか…?


「幽霊だったんだな…」

「幽霊だったんですね…。全然気付きませんでした…」


 脳裏に、この湖の主を語る時のおじいさんの笑顔が浮かぶ。


「天国で、安らかに眠ってくれ、お爺さん…」

「おい、見てくれ、クロウ! お爺さんが釣れたぞ! 凄いなこの釣竿、人間まで釣り上げた!」

「空気読めよお前! 今成仏したお爺さんを思う、俺とリラの気持ちを返…」


 馬鹿が、さっき成仏したはずのお爺さんを釣っていた。


 意味が分からないので、もっと補足情報を付け加えたいと思う。


 馬鹿がお爺さんがくれたであろう釣竿で、お爺さんを釣り上げていた。


 補足情報が、無かった。 


「お爺さぁぁぁぁん! ちょ、馬鹿、オメ、ちょ、おじいさぁぁぁん!? え、ちょちょちょどういうこと!? お爺さんなんでいるの!? ちょ、お爺さぁぁぁぁん!」

 

 俺がプチパニック状態になったのは言うまでも無い。


 自分でも何が言いたいのかわからん。


 お爺さんが、針に引っかかったまま、苦しそうに言う。


「針にはちゃんと……エサをつけないと……釣れないということを……言い忘れたのじゃが、この若者がいるから大丈夫じゃな……。お主ら、この若者を…どうか…責めないで…やって欲しい。君達を驚かせようと、水中にいたわしが悪いん……じゃ。」


 ガクリ。(お爺さんの首が横に倒れた音。)

 チーン。(馬鹿に石を投げつけて鎧に弾かれた音)


「お爺さぁぁぁん! そこにいるのは若者じゃなくて馬鹿者だからぁぁぁ! だからそんな苦しそうな成仏の仕方じゃなくて安らかに成仏してぇぇぇぇぇ!」


 お爺さんが成仏し、釣竿をしまった聖夜が無駄に歯を輝かせながら言う。


「…戦いに、犠牲は付き物さ…!」

「戦ってねぇぇぇぇえ! 加害者おまぇぇぇぇ! あの優しかったお爺さんを返せぇぇぇぇぇ!!!」

「お爺さんは、常に戦っていたさ。そう、自分と言う名のモンス「死ねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」


 プレイヤーゾンビが一体増えたのは言うまでも無い。


 何故俺が物理攻撃で聖夜を倒せたかなんて些細な事は今はどうでもいいので気にしない。


 ……お爺さん、本当にすいません。馬鹿が本当すいません。天国で安らかに眠ってください。


          ☆☆☆


 気付いたら復活して帰ってきていた聖夜と合流後、湖の反対まで進み、樹と共に生きる町『ダマスナット集落』に足を踏み入れた。


 聖夜を倒した時、何故か聖夜はなにもドロップしなかった。


 ……どうせ能力(アビリティ)かなんかだろうなー…。


 と、思ったものの、しかし、聖夜から奪っても何も楽しく無いので、良しとする。


          ☆☆☆


 『ダマスナット集落』に進む前にまず、さっきお爺さんから貰った釣竿と、前回端折ったその他もろもろの説明をここでしようと思う。


 まず、お爺さんから貰った釣竿だが、


伝説の釣竿 《ナイロックの主に魅せられた伝説の釣り人が作りし竿。絶対に折れない魔法がかかっているため、どんなに重い魚でも腕力さえあれば釣り上げる事ができる。また、攻撃力は無いが、武器として使用することも出来る。スキル+釣り、補助スキル+釣り糸強度MAX》


 伝説級宝レジェンダリィ・トレジャーNO.89/101


 まさかの伝説級宝だった。


 ……やったー、初伝説級宝だー!


 とりあえず湖に叫んだところ、湖から主が現れた。…頭にお爺さんを乗せた状態で。(ちなみに、俺以外の二人にはお爺さんは見えていないらしい。俺が死霊使いだからか?)そして、お爺さんが合図をすると同時に聖夜に無数の飛び道具級スキルが次々と着弾した。


 ……お爺さん、めっちゃ怒ってはるやん…。やっぱ根に持ってたやん…。


 それはさて置き。このNO89/101と言うのは、百一種類中八十九番目の伝説級宝だということだ。


 そしてこの数字は、数字が1に近ければレアモノであると同時に、このナンバー=このゲーム内に存在できる数である。


 だから、この釣竿は世界に八十九本しかないのである。結構釣竿作ってるじゃん、爺さん。


 更に話題は変わるが、そろそろ特殊スキル及び補助スキルの説明をしようと思う。


 この前からしようしようとは思っていたんだが、ハッキリ言って面倒くさかった。でも、特殊スキル釣りと、補助スキル釣り糸強度MAXを手に入れたので、説明しないとまずいと思うんだ。


 さて。この前能力の説明をした時に樹を例えにしたのは憶えているだろうか。


 では、あの例えの中の樹に足りない物は何か。そう、葉と果実だ。


 スキルが幹と言う話はした。枝が能力(アビリティ)であるとも言った。


 そして葉は、能力発動時の効果である。


 植物の葉は、光合成をするのに日光を使用する。


 その日光が、樹の成長を補助する為の栄養を作る。


 栄養が補助スキルの+の部分の効果であり、補助スキルが日光である。


 果実は、樹から収穫(独立)しても食べる(発動する)ことが出来る。


 つまり、樹で言う果実とは、スキルで言う特殊スキルの事だ。


 ただし、この果実(特殊スキル)は芽を出さない(単体では効果が上がらない)。


 そこでプレイヤーや光合成で得た栄養(補助スキル)が果実を大きく(効果を強く)するのだ。


 お分かりいただけただろうか。


 ……ふう、これで一つ、しなければいけない事は無くなった。


          ☆☆☆


 『ダマスナット集落』に到着したことで、次からここにログインする事ができるようになった。だから、ログアウトする流れになり、解散となった。(町でログアウトすると次にログインしたときはその町に出現する)


 明日は、13時に『ダマスナット集落』入り口集合、と約束をし、ログアウト(ゲームをやめること)。


 あまり夜遅くまでゲームしてると姉ちゃんに怒られる。


 最悪、ゲーム禁止とかにもなりうるので、もっとやっていたかったがやむを得ない。


 


 

 

 明日からテスト期間なので、七部を投稿できるのは多分17日くらいになるかと思われます。


 それまで待ってくれている人がいたら嬉しいです。


 では、また来週会いましょう。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ