最終話:ダンジョンマスター
対戦モード、「戦場」ステージ。
『R―convert giar』でももちろん『Treasure Online』にログインできる。
「賭けはどうする?」
マリオ――Sギイルに聞く。
「私が黒羽――ああいや、クロウを殴れば気持ちいい、クロウが私を殴れば気持ちいい。これでどうだ?」
なるほど、わかりやすい。
つまり腹がたつから殴らせろ、とそういうことだ。
「後悔するなよ、俺は無茶苦茶強いぞ?」
口の端に笑みを引っ掛けながらSギイルは首肯。
「それじゃ――」
「試合開始だ!」
☆☆☆
ステージ『戦場』は、その名前のとおり、戦争のど真ん中でのバトルができる。
戦争中の国が二つあって、俺達第三者は戦争を無視して勝負するもよし、国を乗っ取って代理戦争をするもよしの、ファンタジーゲームなのに鉄と血のガンアクションが行えるまさに『戦場』なのがこのステージのおおまかな設定だ。
他にも《石器時代の戦争》《戦国時代の戦争》《明治時代の戦争》や、《西洋(前期)~(後期)の戦争》、《空中戦》に《海中戦》なんてのもある。
これは全部、戦うときにホストプレイヤーが選択する。ちなみに、今回は普通の《陸上戦(近代)》である。
かさねてちなみに、プレイヤー以外の人間は、俺達の攻撃によって傷つけることはかなわない。
それどころか、プレイヤーは赤と青がランダムに決まり、青だったら赤の国に見つけられたら攻撃され、赤だったら青に見つかったら攻撃されるという、超厄介仕様だ。
俺は赤、Sギイルは青だ。
で、俺のスタート位置は――
「青軍かよ!?」
スタートと同時に、弾丸の雨が俺を襲う――。
☆☆☆
まあ俺は機械竜さえ憑依させとけば飛び道具のダメージは ほぼ無効なわけだが。
『YOU WIN』
突然眼前に勝利の文字が。
は? え、え? な、なにゆえ?
☆☆☆
対戦モードでは勝敗がつくと必然的に一度意識が覚醒し、そのままゲームをやめるか、対戦モードを続行するか、普通のオンラインに接続するか選べるわけだが――俺は、一旦ゲームをやめる。
マリオに何が起きたのか聞くためである。
俺が起きてから程なく、マリオも起き上がる。
俺が聞くよりも早く、マリオはばつの悪そうな苦笑いを俺に向け、肩を竦めて見せたあと事情を説明してくれた。
「開始と同時に始まった銃撃に蜂の巣にされてしまったよ。いや、情けない」
つまり防御が間に合わなかった、と。
なんだそりゃ。
叩いて被ってジャンケンポンのときの山寺か。ノーガード戦法とかどんな言い訳だよ。負けを認めろ。
☆☆☆
「興が冷めたな」
「そうだな。なんかテンション下がったわー。やる気なくしたわー」
本当にテンション下がる。
もう今から殴り合いなんてやってらんない。
「あー、じゃあ、こうしよう、ダンジョンの種50年分あげるから、俺が突破できたら俺の勝ち、突破できなかったら俺の負けで」
ダンジョンの種は一つ蒔けば三層まで作成可能。作ったダンジョンに蒔けば更に三層……、と、改装が増えていく。
ということは、50年分ということは、200個、最大で600層のダンジョンを作ることができるわけだ。
ただしそうすると公開期間は延びないため最初の種を蒔いてから三ヶ月で枯れてしまう。
そこでダンジョンの種を砕いて肥料としてダンジョンに蒔くのである。
そうすれば一つにつき三ヶ月公開期間が延びる。
「いやいや、そんな高価なもの200個も持っている人間はそれこそ『幸運司リシ神龍』でも倒さなければ……」
倒したんです、そいつを。
☆☆☆
とにかくダンジョンの種200個をマリオに譲渡してから――俺はまた来たときと同じようにヘリで日本に送ってもらうのだった。
余談だが、俺ん家は空港から遠い。だからヘリのほうが離着陸がしやすいのだ。
☆☆☆
ユーキ、姉ちゃん、母さんに叱られ、誘拐されてたことがわかってから大騒ぎになり、その騒ぎが一段落して次の日。
学校から帰宅する。もちろんユーキと一刻でも早く会うため寄り道はしていない。
友人の佐東、轟木と別れ、ドアの鍵を開ける。
「ただいまー」
昨日はバタバタしてたからか、今になってやっと――家に帰ってきた。そう思えた。
☆☆☆
「そういえば、新しいダンジョンがナイロック湖のほとりで発見されたそうですの」
顔に笑みが浮かんでいることに、ユーキが指摘してくれるまで気づかなかった。
この章を4thシナリオとして、本来書き溜めていた4thシナリオは延期します。
次は5thシナリオだが更新は未定。
長くて受験明けの頃になりそうです。
ではまた会いましょう!




