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死体が無いなら作ればいいじゃない♪  作者: たしぎ はく
4thシナリオ ~第1.5章~
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第二話:死霊使い増殖中



 おいしすぎるからだ。

 ドロップアイテムの『奇跡の劣鱗』でさえ、たった一枚で、質素で小さなプレイヤーホームを買えるくらいの値段になる。

 しかも劣鱗はミラクルシリーズの一番ランクが低いアイテムだったりする。

 一番上のランクになるともう、このゲームをやってる間金に困らない。

 

 まあ、個人で倒せたという報告も奇跡之竜ミラクルドラグーンまでで、幸運司リシ神龍ザ・フォーチュン・アドミニスタに至っては半分もHPを減らすことができなかったらしい。

 六人の最大パーティが3つあってやっと、楽に奇跡之竜を倒せるレベルなのである。

 幸運司リシ神龍の討伐数は現在97。

 このゲームの総プレイヤー数が約5億人なので、驚異的に少ない数だといえよう。


 というかはっきりいって俺が倒せる道理はあるのか?

 いやない。


 まあ、やってみるか。

 っとその前に。


「なあ、このクエスト何人がクリアしてる?」


 やっぱり気になった。


「死霊使い。人数一万三千五百。受諾人数。三千二百。成功。ゼロ」


 うん。うん?

 一万三千五百だって!?

 つい最近まで三人くらいしかいなかったはずなのに……。

 ちなみに、一番最初に死霊使いやりだしたの俺。創始者的な?


Dear:聖夜

Subject:無し

Text:なあ、なんか死霊使い増えてるんだけど




 あれ? メールの形式が変わってる。この前のアップデートか?


Dear:クロウ

Subject:無し

Text:ああ、エキシビジョンイベントからロリコンと死霊使いが人気だそうだ

 『Treasure Online』のプレイヤーのうち段突で死霊使いとロリコンが一位二位

 ちなみに、三位は魔法使いだ




 なんでこんなに返信が速いのか。

 聖夜の携帯に直接メールしたからだ。


 それはともかくとして。

 まずはミラクルリザードだ。

 転移用ダイヤモンドを取り出すと、握り潰す。

 ミリクへ、そう念じながら。

 ……ダイヤをどうやったら握り潰せるの?

 理由はわからないが、転移したい場所を念じながら握ると砕けるらしい。


          ☆☆☆


「ケーリ! 君に決めた!」


 幸運司リシ神龍ザ・フォーチュン・アドミニスタをゾンビ一体で倒さなければならない。

 そうなると必然的に一番強いゾンビを顕現しなければならなくなる。

 そこでケーリ――魔龍煌ケーリストファッシュ――だ。


「ケーリ、でんこうせっか!」


 技名はノリと勢いによる。山寺が引き金をひくだけなのに技名を叫んでたのと同じだ。


「かわしてアイアンテール!」


 もう他の三体は倒してある。

 あとは幸運司リシ神龍を倒せばミッションコンプリートだ!


「そこだ! ぴかちゅあ、ぴかちゅーって言っちゃった」


 いかな幸運司リシ神龍といえども、ケーリの敵ではない。

 ケーリもさすがに無傷では無いが、余裕を感じさせる。まるで山寺を前にした敵チームのようだ。


「決めろ! ボルテッカー!」


 俺は手を出してはいけないので、応援するしかない。サバゲー開始10分後の山寺みたいだ。そう思う。

 ケーリの放った光の束が神龍を巻き込んで消える。

 できればゾンビ化したかったが、俺が倒したのでは無いので諦める。今度また倒しに来よう。


          ☆☆☆


 ヒュプノスの御霊を受け取る。


 ドロップアイテムはすべて換金。

 1,289,000,000,000,000。見たことも無い数字が並んでいる。

 千二百八十九兆(デオ)だそうだ。


 ゲーム内の最高値段のものがダンジョン経営権(公開期間三ヶ月)で百億D。


 うむ。12890回買える。公開がゲーム内時間で三ヶ月だから×3で38670ヶ月、約3222年ダンジョンを経営できる。

 『Treasue Online』内の時間は現実の12倍、つまりゲーム内での一日が現実の2時間に最近変更になったから、現実世界でいうと大体268年はダンジョンを公開できる。


 まあ、暗算だから計算が間違っているかもしれないが、これは大変なことである。


 金が腐るほどある。

 金が本当に腐るほどある。

 とりあえずノリで、ダンジョンをゲーム内時間で50年分購入した。

 60000000000000(六十兆)Dマイナスで、残金1229兆D。


 金が無くて困ったことは多々あるが、金の使い道が無くて困ったのは初めてだ。

 ダンジョンの近くの町を買収でもしようかな。

 具体的に大統領に立候補するとか。

 と一瞬思ったが面倒臭いので断念。


 さて話は戻ってダンジョン――ドンッ――をどうするかだが――。


「おい、そこのお前!」


 洞窟? 塔? それとも城?

 というかそもそもどこに作る? と、本当に植物の種みたいな形をしたダンジョンの種(50年分なので200個)が入った種を見ながら思考に没頭する。

 今までゲーム内と現実が1:1だったのが12:1になったので、時間も腐るほどあるのだ。


「聞いているのか!」


 そうだなあ、いっそ海底洞窟にでもするか?


「くっ……! この私を無視するのか!?」


 ダンジョンへの夢は膨らみ続けた。


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