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死体が無いなら作ればいいじゃない♪  作者: たしぎ はく
3rdシナリオ~第一章~
50/63

第十八話:『夾竹桃』


 第十八話になります。




「生身で銃に立ち向かうのは……やっぱ無理かなー」

「そうは言ってもキミ、全身鎧フルアーマーでしょ?」

「でもさあ、そんなの(リヴォルヴァーカノン)で撃たれたらダメージを喰らう気がするんだけど」

「大丈夫、痛くないよー、一瞬だよー」

「問題点そこじゃない!」

「え、どこ?」

「あれ、どこだっけ」


 という流れがあって。


 現在、俺とモモはにらみ合いのまま、固まっている。


「ああ、そうだ、魔法と重火器をどっちが卑怯かっていう話だ」

「いや、それはもういいから」


 もしかしてずっと考えてたのか?


 というかもしかしなくともこの子、ズレてる?


「あー、そう? なら、撃っちゃっていいよね?」


 そういってリヴォルヴァーカノンの銃口をこちらに向ける。


 そしてリヴォルヴァーカノンの先端が火を吐き出し始めるのと同時に、俺も地面を蹴った。


 昨日のデンゲン、ベリオンとの連戦で身代わりを作る用のプレイヤーゾンビは使い果たしてしまった。


 ゾンビが復活するのには丸一日、つまり24時間かかるので今は分身を作れない。


 なので、攻撃はけるかはじくかの二択に絞られる。


 だから吐き出され続ける銃弾をけ、避けるのが不可能なものは機械竜の風で吹き飛ばし、一瞬でモモとの距離を詰め、背後を取る。


 そこで右拳を握り、突き出すと同時に炎龍の――――


 プシュウゥゥゥゥゥゥウウ


 何の音か一瞬信じたくなかった。

 

 しかし、回避を取るしかない。


 だって目の前にやたらと毒々しい紫色のガスがぶちまけられたのだもの。


「それは猛毒だよ。吸い込んだら即死する」


 モモがバッチリガスマスクをつけているのが腹立たしい。


 俺にもくれ。


 機械竜の力で風を起こし、毒ガスを吹き飛ばすのと同時に後ろに飛び退く。


 俺の目は、モモが手榴弾を手に持っているのを捉えていた。


 近距離で使おうとしたところを見ると、スタングレネード。いや、ガスマスクをつけているから、催眠ガスかなんかかもしれない。


「どうして避けるのさ。せっかく人がプレゼントをしてあげようと思っていたのに」

「永遠の眠りを与えてくれそうなプレゼントはごめんだ!」

「よく分かったね! これが手榴弾にカモフラージュした睡眠ガス弾だってことに」


 モモは大げさに驚いたふりをする。


 いや、フリじゃなく、素でやってるって感じがする。天然か?


「それじゃあ、ちょっとガスマスクを俺にも貸してくれないか」


 もちろん冗談のつもりで言ってみたのだが、意外にも、モモはガスマスクをほうってくる。


 受け取って調べてみるも何も怪しいところは――――


 ピッ………………――――カツン


 何かを抜いた音と、足元に何かが落ちる音がほぼ同時に聞こえた。


 モモがガス弾を放ったのだ。


 その事実を認識すると同時に、俺は飛び退いた。


 もちろん、ガスマスクをつけることはしない。


「あれ? せっかくボクが貸したガスマスクは着けなくてもいいのかい?」

「ここの吸収缶キャニスターの色がお前のものと違う。これはその毒ガスを無効化できないんじゃないか?」


 吸収缶は、ガスマスクについている空気を吸収するくだのことだ。


 それは吸い込むことが可能な毒の種類によって色が異なるのだ、と銃を扱う雑誌のコラムに書いてあった気がする。


「いやぁ、そこまで看破されているのなら、もうそのガスマスクはいらないよね。返してくれないか」


 もちろん俺としても必要のない代物シロモノなので、モモに投げ渡す。


「うん、ありがとう」


 そういってモモはガスマスクをトレンチコートの裏側にしまうと、見たことのない形の銃を出した。


 ちなみに、モモはトレンチコートの下にホットパンツとハイソックス、上はタンクトップだった。


 銃マニアの俺が見たことのない銃、ということはおそらく『G-FIRE』オリジナルの銃だろう。


 まさか世界未発表の銃火器をゲームに出すとは思えない。


 それは軽快な音と共に、銃弾を吐き出す。


 当たり前のようにフルオートの連射機能付きだ。


「この銃の名前はねぇ『G-venom突撃小機関銃』だよ。ボクの愛機……愛機? 愛銃? まあ、なんかそんな感じだ」

「適当だな!」

「だってわからないんだもん」


 断っておくが、この間もモモの持つ銃が吐き出す銃弾をけるので必死だ。


 しかしスキを見て、モモのガスマスクのベルトを機械竜のスキル

風刃《風で敵を切り刻む》

 を発動、切り刻まんと狙う。


 直接攻撃はあの分厚いトレンチコートが阻んでしまうのだ。


 トレンチコート防御力高すぎ。


「うあ、なんだ、ベルトが切れたのか。困ったなあ、ガスマスクがもうあと一つしかないよ」


 と言いつつも、ガスマスクをしまい、新しいガスマスクを取り出す。


 そしてもう一度懐に手を着こんで、ガサゴソと探る。


「あった、これだこれだ」


 出してきたのは手榴弾に似た形の塊。


「これはね、僕が持ってる中で最強の毒。吸い込んだら一瞬で死ねるよ。よかったね、痛みを感じないから」


 そういって、モモは手榴弾を俺に向かって投げつける。


 だが、それは機械竜の風によって全て阻む。


 毒霧はモモの方にゆっくりと流れていく。


「お前の今つけてるガスマスクに、さっき俺はどんな細工をしたでしょうか?」

「え? まさか、間接キスとか?」


 まさかそんな回答が来ようとは。


 激しく脱力した。


「コレ、なんだかわかるか?」


 徐々に毒霧はモモの方に流れていく。


「あ、それは!? もしかして、吸収缶キャニスターの中身!?」

「そーう大正解」


 毒霧はだんだんと移動し、モモを包み込んだ。


「うぐっ」


 これでモモは脱ら――――――


 突然の銃声。


 モモが最後に一発鉄砲を撃ったのだ。


「これが、ボクの置き土産だよ。『夾竹桃』としてのね――――――――」

「うっ」


 右肩に鋭い痛みが。


 モモの最後の抵抗。


 まるで銃弾で貫かれたような痛みに、歯を食いしばる。


 いま風の制御を失えば毒ガスで俺も死ぬ!


 しばらくすると、右肩の痛みは消えた。


 しかし。


 画面の右端に状態異常、毒と表示される。


 3秒でHPが1減少している。


 計算すると一分間で20減る。


 ということは一時間で1200もHPが減るわけだ。


 俺の残りHPは1950。


 あと1時間と37分30秒で俺のHPは0になる。


 タイムリミットが縮まってしまったようだ。


 あと一時間半で二人もの敵を撃破できるのか? 


 少し不安になった。


「いや、最後は油断してたな。まさか名前の通り毒弾打ち込んでくるとは」


 誰に聞かせるでもなくひとりごちる。


 夾竹桃キョウチクトウの本当の説明を思い出したのだ。


 夾竹桃。


 花は桃のよう、葉は竹のようで非常に美しい。


 しかし、かなり毒性が強い。


 まさに、モモにはピッタリな二つ名じゃないか。







 

 

 送信 GCN

件名 脱落者についてお知らせ

本文 当イベントにおいて、脱落者が出たため通知します。

   『G―FIAE online』代表、『夾竹桃(キョウチクトウ)』モモさまHP0のため脱落。

   クロウさま撃破。


1位『Only yours Online』黄チーム一名

1位『Natural online』白チーム一名

1位『Treasure online』赤チーム一名


脱落『Only Fameil Online』0名

脱落『G-FIRE online』0名






 




 十九話は今日起きてから書きます。

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