お前ら逆ナンされたことある?あ、石、ちょ、痛、石投げんな!!(前編)
すいません長くなりすぎたので二つに割りました。後半はすぐUPしますので、しばしお待ちください。
夕食後、早速ログイン。場所は『レイオリア宿場町』中央広場。
ちなみに、今はサーラはいない。見たいテレビがあるんだとか。
ちなみに、馬鹿全日本代表である聖夜は、ログインはしているみたいだ。
何故分かったのか? 聖夜のプレイヤーカードを所持しているからだ。で、このプレイヤーカード、持っていればそのプレイヤーがログインしているときに分かる。
こんな風に。
聖夜 ♂ 17 ロリコン IN
INになっているのでログイン中。ちなみに、OUTになっていたらログアウトしている。
聖夜が丁度ログイン中なので、メールを送る。
Dear聖夜 件名 無し
今どこにいる? 一緒に攻略しないか?
Fromクロウ
一度誤字が無いか確認してから送信。
おっと、返事早いな。
Dearクロウ 件名 無し
振り向いてご覧?
From聖夜
嫌な予感がしたので、振り向くと同時にメイスを思いっきり振る。
ゴイン、と、鈍い音がして手が痺れた。
メイスを振った勢いで後ろに跳び退ると、そこには無駄に爽やかな笑みを浮かべ、やあ、と手を挙げる馬鹿アジア代表がいた。
「殴ったのが通用しなかったのはそういうことか。一体どこまで攻略したんだ?」
「これか? ああ、この装備、まず武器だが、霊槍グングニル。伝説級宝NO.47だよ。で、防具が上からこんな感じ」
表示枠(自分の装備やパラメータを同時に見ることが出来るipadくらいの大きさのウィンドウ。持ち主が許可しないと他のプレイヤーには見えない)を可視にして見せてくれた。
頭部防具 ワイバーンヘルム
胴部防具 ワイバーンメイル
腕部防具 ワイバーンガントレット
脚部防具 ワイバーンレッグ
アクセサリ 飛龍の翼
「……プレイヤーカードよこせ」
プレイヤーカードは、貰いなおす事で更新される。でも、裏を返せば貰いなおさなければ永遠にその時のままなので、頻繁に交換しなおす必要があるのである。
ただ、プレイヤーカードはメールに添付できるのでそんなに面倒くさい作業ではないことが救いである。
聖夜 ♂ 17 究極のロリコン
HP 18+4325
MP 13+4325
At 12+5000
De 12+5000
Sp 18+9999
装備スキル 剣LV43 弓LV32 棍棒LV56 槍LV99
職業スキル 幼女LV3 応援LV1 魅了LV99 護衛LV1
特殊スキル アクセルスピード《一定時間Sp二倍》
補助スキル HP+1000 MP+1000 At+1000 De+1000 Sp+1000
称号 《最速》 ゲーム内最速で伝説級宝をコンプリート Sp+1000
《光速》 Spカンスト。 スキル+アクセルスピード
《槍術》 槍スキルLVカンスト。 槍装備時Sp+1000、At+1000
他にも称号がページ何十枚にも渡って続くんだもの。
省略しても、いいよね? 読みたい人いるの?
職業スキルの幼女と応援と護衛なる新スキルのLVが対して上がっていないのは多分、ソロ狩りしていたからだろう。
「…どんな悪い事したら発売から6時間でこんな大変なことになるの?」
「ハッハッハッハ、面白いことを言うね。これは全部実力だよ」
「分かってたんですけどねー。再確認するとなんかねー。何お前? 全クリアしてね? ゲーム終了じゃね?」
「それがね、まだ続きがあるみたいなんだけど、まだオープンされてないんだ。最低でも一ヶ月はオープンされないらしく、まだ暇なんだ。だから、それまでにクロウにも全クリアしてもらって、2ndシナリオ一緒に行こうと思います。異論は認めません」
「異論じゃないけど質問。メーカーは大体何日ぐらいでフルコンプ者が出ると予想してたんだ?」
指を立てたのは二本。
「二ヶ月か? まさか二週間じゃないし…」
「残念、両方はずれ。正解は、二年です」
「いや、無理無理無理無理。二年かかるのを一ヶ月とか無理。というか普通に考えたら異常じゃね? お前の攻略速度」
「あの、すいません」
俺と聖夜が漫才まがいのことをしていると、女性キャラクターから声をかけられた。
さて、ここで少し俺と聖夜のアバターの容姿について説明しておこうかと思う。
まず俺。髪の色は引き込まれるような漆黒。長さは肩にかかる程度。毛先だけウェーブがかかっている。瞳は職業紋様と同じ紅。そんで、薄く燐光を放っている。
顔の造作はちょっと童顔だが自分を始めて鏡に映したとき思わず見とれてしまったレベル。
体型は中肉中背。
次、聖夜。まず髪の色、ほとんど白のプラチナブロンド。さらさらのショートヘア。瞳は翡翠色。だが、翡翠という言葉では言い表せない感じの不思議な色をしている。
顔は、理知的な感じの、ありていに言えばイケメン。
身長は高い。俺のアバターが160cmくらいだから聖夜のアバターは180cmくらいだろうか。
つまるところ、客観的に見れば、俺達二人は有り得ない美貌を宿したイケメン二人組なのである。
こんなに長々と何が言いたいのかというと、今この女性に声をかけられたのは、もしかしたら逆ナンの可能性もあるのかもしれない、と言うことである。
閑話休題。ちなみに、この間の思考時間はたったの0コンマ1秒。
仲良く固まっていた俺達二人にもう一度声がかけられる。
「あのぉ、すいません。もしかして、『最高速のロリコン』聖夜さんですか?」
俺じゃなかった。いいもんね、別に。どうせ聖夜も見た感じ色んな所がお姉さまなこの人には興味ないだろうし。
そう、何度も言うが、聖夜はロリコンなのである。
っていうか、え? 何?
「『最高速のロリコン』? なにそれ、お前の二つ名?」
聖夜に聞いてみるも、首を捻るだけなので、お姉さま(脳内変換)に聞いてみる。
ちなみに、二つ名ってのは、飛びぬけた実力がある者や、奇抜な容姿、戦闘スタイルなど、とにかく目立つプレイヤーにつく異名のことである。これがつくのは一流のプレイヤーであると認められるのと同じような感じ。
「『最高速のロリコン』って、聖夜の二つ名かなんかですか?」
話をふってみると、お姉さまは動きを止めた。
「なんて可愛い子ですか……!」
お姉さまに向ける笑顔が少し引きつったのは言うまでも無い。
「ああ、いえ、そうです、彼こそが開始後五時間で1stシナリオ全クリアした伝説の男、その速さと戦闘スタイル、そして職業からついた二つ名が『最高速のロリコン』なんですよ。でも、本人が知らないのも無理がないと思います。まだこの二つ名がついて浸透し始めてから三十分弱しか経っていませんから」
「へえ、僕にそんな二つ名がついていたなんて初耳だな。いやぁ、二つ名がつくのは初めてだから嬉しいなぁ」
そりゃそうだろ、いつも一人でテストプレイヤーだけをやり、製品版はプレイしないのだから。
「それで、君は僕に何か用があるのかい?」
「あ、は、はい! えっとですね、私とパーティを組んでいただけないでしょうか…?」
「ちょっと待って下さい。……クロウちょっとこっち来て」
野郎二人でスクラム組んで作戦会議。というか今思えばどうやって二人でスクラムを組んでたのだろうか。二人で組んでも、いいとこ組み合っているようなもんだろ。
「で、どうする?」
「俺はいいと思うよ、別に。悪い人じゃなさそうだし」
それに、最後の方弱気になって懇願するの反則。可愛い過ぎ。今まで見た女性の中で最高に可愛かった。美しいではなく、可愛いと表現される所がポイントである。
結局、お姉さまとはパーティ組む事にして、フレンド登録した。