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死体が無いなら作ればいいじゃない♪  作者: たしぎ はく
3rdシナリオ~第一章~
37/63

第五話:実在する都市伝説


 結論から先に発表しようと思う。


 ……神菜、無傷で倒せねぇ…!


 あのあとタイムリミットが来るまでずっと挑戦し続けたけど、ついに無傷で神菜を倒すことは叶わなかった。


「ミッションへの挑戦は一食一度までです」


 特設テントのお姉さんにも見捨てられた。


 くそ、今日は夕飯抜きだチクショウ。


          ☆☆☆


 神菜の四体目。


 今度は投げつけることに挑戦。


 頭の先から映える菜の部分をつまんで――――


っぅ……!」


 失敗。


 どうやら葉っぱにもトゲがあるようだ。


 そのまま五体目や六体目と色々試しながらエネミー:神菜を狩り続けたものの、しかし収穫はなかった。


 残りHP3000。初日から飛ばしすぎた。


 いきなりピンチである。


          ☆☆☆


 P.M.7:59





「暗くなってきたな……」


 日が沈んで、あたりが暗くなってきた。


 暗くなったからといって別に視界が悪くなるわけではないのだが。


 『R-convert gear』には、暗視機能もついている。


 便利便利。


 今日はこのまま立体迷宮内の時計塔最上階で潜伏し続けることにし、時計台の天辺へ。


 鉄製の螺旋階段を足音を立てないようにして登る。


 飛べばいいんじゃないかとも思ったけど、MPは温存するにこしたことはない。


 そして時計塔の頂上まで登り、そこで俺は実在する都市伝説とまで言われたプレイヤーと遭遇する。


「ウイロウ……だと……?」

「ん? ぼくのことだよね? どうしたのかな?」


 VRゲームにまつわる都市伝説で、こういうものがある。


 《その者、闇に紛れる漆黒の髪を持ち、対照的に処女雪のような白い肌を持つ。


 彼女に攻撃を当てることは不可能。なぜなら、傍らに白銀の美しきウロコを持つ飛竜ワイバーンが在り続けるから。


 そしてもし、その飛竜の守護をかいくぐり彼女を間合いに捉えたとしても、彼女には決して攻撃は当たらない。


 踊るように舞うように。


 すべての攻撃をかわし続けるという。》


「まさか、本物が目の前にいるなんてな…!」

「うふふ、本物ってどういうことかな? ああ、あの都市伝説のことかい?」


 首肯。


「ああ、あれはね、嘘。本人に許可を得ないであんな嘘情報を流したらダメだよね」

「嘘なのか?」


 俺がVRゲームを始めるきっかけの一つとなった都市伝説の本人に、真っ向から否定されたらまあ、残念ではあるわな。


 もうその時ほど強い憧れはないが、全くないわけでもない。


「うん、嘘。だってぼく――――――」


 実在する都市伝説は、月を背負って言った。


「――――もっと強いもんね」


 ゾク


 その笑顔、危険につき。


 俺の脳内が警鐘を鳴らし続けている。


 そして時計塔から、ウイロウは背中から飛び降りた。


「は!? 15メートルはあるんだぞ!?」

「――――――大丈夫ー。君、クロウって言うんでしょ? 奇遇だね。ぼくの相棒もクロウって言うんだ」


 キュアオォォォォオオオ!


 時計台の天辺てっぺんにいる俺と同じ高さのところまでウイロウは飛び上がってきた。


 白銀にきらめくウロコを持つ飛竜を駆って。


 キュアオォォォォオオオ!


 飛龍は一声吼えると、口を開く。その口腔にはウロコと同じく白銀の光が――――


「いけ! クロウ! 向こうのクロウを倒せ!」

「……ッ……ヤバ……ッ…!」


 飛んで緊急回避。


 時計台から飛び降りる。


 耳元で風を切る音がする。


 そして機械竜と炎龍を憑依、飛翔。


 キュ……アァァォォォォオオオ!


 飛竜が放った光線は、時計台をまるまる巻き込んで通り抜けた。


「おま、お前! 確か園内のものを壊すことは禁止されたただろ!?」

「まあ見てごらん」


 時計塔を確認。


 アレ?


「壊れてないでしょ? なんかね、園内のものが破壊されるような攻撃は物理干渉能力がなくなるらしいんだ。もちろん、プレイヤーへのダメージは通るけどね」

「へえ。それはいいことを聞いた」

「? なにが? みんな知ってる事なんじゃないの?」

「いや、知らねーよ。今初めて聞いた」


 本当に初耳だ。


 聖夜も知らないんじゃないだろうか。


「つまり、どれだけ全力で攻撃しても園内のものが壊れる心配はないってことなんだな?」

「そうだね」

「それじゃあまあ、こっからはちょっと飛ばしていきますか。ケーリ!」

『呼びましたか』


 ケーリ、というのは、魔王ケーリストファッシュのことだ。


 コイツも一応俺のゾンビ扱いになってるわけだが、自我がある変なやつだ。


「ちょっと力借りるぞ」

『どうぞどうぞ、マスターのおおせのままに』

「憑依、魔王ケーリストファッシュ!」


 炎龍と機械竜の憑依が強制的に解除され、自身の体が闇に包まれる。


 そしてその闇が収束していき、俺の体を覆った。


 腕は細く長く、貫くことに特化した形。


 足も細く、剣のように振り回せば敵を切ることができるだろう。


 体は後ろに流されているようなデザイン。


 背中には黒い翼のように見えなくもない異形の何か。


 顔は蜂のような顎がついており、髪も伸び黒い光を放つ。


「うわー、完全に異形だね。魔王? 人間捨ててるって感じ?」


 俺も思った。


 しかし。


 全体的に細っこくなり、防御力が極端に下がっているが、攻撃力は通常時の5倍、移動速度も5倍だ。


 俺の、今の最強。鎧鬼村裂おにむらさき


 ウイロウには―――――実在する都市伝説には―――――、本気を出さずして勝てる気はしない。


 そんな気がしたんじゃない。


 HPが、残り3000しかないんだ。


 逃げることすら不可能…。


 ならねじ伏せるしかないだろ!





 次はいつになることでしょう。


 出来るだけ早めに投稿します。

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