第四話:カレー
はい、本日三話目投稿です。
大質量の炎の柱は凄い勢いでその金髪のつむじに迫り――――――
そして掻き消えた。
「クックック。誰だ? 我に不意打ちをしようなどという不届き者は?」
「うわ! 全力で中二病を体現してる少女がここにいる!」
少女のネームは『星砕✝鏡』。
名前まで筋金入りだ。
「煩い! さわぐな! 鏡は中二病じゃないもん!」
「おい、メッキ剥がれてるぞ? いいのか?」
「クックック。だからどうしたというのだ? 我を本気で怒らせるとどうなるか、魅せてやろう」
「おう、見せてみろや」
橋桁から飛び降りる。
地面に手をつき、転がるようにして着地の衝撃を殺す。
「いいのだな? 後悔しても遅いのだぞ? 本当に良いのだな? 『星砕き』とまで呼ばれた我の力の一端でも「早くやれよ」
「もうッ! 鏡が喋ってる時は喋っちゃいけないもん! 静かに―――コホン。ククク。もう、貴様をこの世に留めておくことはできん。死んで詫びるがいい!」
身構えてみるが、超能力者の間合いというものがよく分からない。
星砕✝鏡、――――めんどくさいな、鏡でいいや。――――鏡はおもむろにこちらに左手を向ける。
「魅せてやろう。我が本気! 『星砕』!」
ヒュ―――――――
何の音だ?
どこからの音だ!?
音が全方位から聞こえ、逆にどこから聞こえるのかがわからない。
そして突き出したままだった鏡の手が――――
ズドォン!
握られる。
同時に、不可視の衝撃が俺のいたところを貫いた!
「クックック。我に失礼な態度をとるからこのような結末になるのだ。クックックク」
「おいおい、勝手に殺すなよ」
「ひゃうわい!? そんな耳元で喋らないでよ!?」
「おい、なんか可愛くなってるけどいいのか?」
「くっ! ………ククク、我の攻撃をよけたのは貴様が初めてだ。名はなんという?」
「クロウだ。まあ、完全に避け切ったわけではないけどな。HPを5000ほど持っていかれた」
右腕に掠っただけなのだが本当にHPが5000も減った。
直撃していたらと思うと恐ろしい。残りは3650。
初日から飛ばしすぎじゃないか、俺のダメージメーターよ。
「では、ここは貴様の名に免じて見逃してやろう! さあ、行くがいい!」
ここは逃げるが勝ちだろう。
一撃の威力が恐ろしく高い。
このまま戦い続けたら確実に死ぬ。
鏡の頭部に突きつけたままだった右腕を降ろし、後方に飛んだ。
一応、至近距離から炎竜の咆哮を放つこともできたが、いま攻撃したら自分が殺されていた気がした。
☆☆☆
P.M.6:19
鏡と接敵してから三時間半。
ずっと北部『アスレチックエリア』の立体迷路の行き止まり部分に潜伏し続けて、そのあいだは他のプレイヤーとは出会わなかった。
下手に動けば3650しかないHPなどすぐに削られる。
早急に回復アイテムを見つけなければやばい、と、立体迷路で宝箱的なものはないかと徘徊。
ひとつ宝箱を見つけたので、開けた。
出てきたのは、
魔笛《吹くとその場にエネミーが集まる》
エネミーというのは、『Natural online』におけるモンスターのことである。
さっき鏡にメールで聞いた。
エキシビジョンイベントで出会った他のプレイヤーとは、メールができるようになるみたいだ。
一応、フレンド登録扱いになっているが、わかるのはアバターネームと年齢、性別だけ。
ちなみに、鏡は『Natural online』の代表らしい。
それにしても、腹が減った。
そろそろ夕食を食べに行こうか。
アスレチックエリアにある食堂は、東部『フォレストエリア』との境界付近の、特設テントだ。
一応周囲を警戒しつつテントに近づく。
「クロウ様ですね?」
確認されたので、一応首肯。
「こちらがメニューになります」
いくつかある中で、カレーを選択。
カレーならハズレはないだろ。
「難易度470、カレーですね?」
「難易度ってなんですか?」
「この屋台では、お金の代わりにミッションをクリアしてもらいます。そのミッションの難易度です。ちなみに、難易度1だとどの種類でもいいのでエネミー撃破になります」
難易度470がどれだけ高いのかが分からないが、とりあえず受けてみることにする。
「これがミッションになります。制限時間は調理開始から三十分です。では、スタート」
テントにいたお姉さんは、手元のタブレットを操作。
メールを受信した。
送信 GCN
件名 ミッション『カレーを確保せよ』
本文 クリア条件その壱:園内にいるエネミー:神菜 を撃破
その弐 :神菜を倒す際は、スキルを使ってはならない
その参 :神菜を倒す際、ダメージを受けてはならない
以上三つを満たした場合、ミッションクリアとする
エネミー:神菜はさっき迷路にいた時に何十体と倒したっけ。
あれははっきり言ってザコ敵だ。
素手でも余裕で倒せる。
☆☆☆
ぴぎぃぃっぃぃ!
エネミー:神菜 は、青い人参に無理やり手足をはやし、顔をつけたみたいなエネミーだ。
倒すのは超簡単。
しかし。
素手で倒すと、どうしてもダメージをうけてしまう。
五分のあいだで三体倒したが、どうしてもダメージを受けるのだ。
神菜は、体のいたるところに刺が生えている。
素手で攻撃するとどうしてもダメージを受けてしまうのだ。
残りHP3500。
どうしたものか。
と、思案していると、神菜の四体目と遭遇。
うーむ。
どう攻撃すればダメージを喰らわないだろうか。
四話目も投稿できるといいな………。
もし無理でも明日には投稿する所存であります。




