閑話:2ndシナリオ~間章~を補充するお話
はい、明野家大黒柱 玄詩さんのお話です。
明野玄詩は、てんさいである。
この場合てんさいは天才とも天災とも訳される。
まあそれはさておくとして。
彼―――玄詩は、18才で国内トップ校を卒業。その後渡米しアメリカの某大学を飛び級込みで19才で次席卒業した。
そして彼は四年間世界を放浪する。
アマゾンの奥地で新種の動物を発見したり、ロシアで新しい兵器を開発したり、オセアニアで獲れても廃棄するだけだった魚のおいしい食べ方を発見したり、ヨーロッパで歴史的に価値のあるものを闇市で見つけ大英博物館に忍び込んで無断で飾るなど、彼は天才なのか馬鹿なのかよくわからないことを繰り返した。
帰国予定日が一週間後に迫ったある日。彼は中国の秘境で赤ん坊を見つける。
気まぐれからその子を拾い、たまたま紅葉の木の下で出会ったからという理由でその子に「紅葉」と名付けた。
一般では理解できないコネを使い紅葉に戸籍を作った。(しかし親子の戸籍ではなく養子であるという戸籍しか作ることができなかった)
そして24才で帰国。
気まぐれでとってあった教員免許を使って高校の教師になる。
そこで当時の教え子であった柳希に手を出して退職。
そのまま柳希と結婚し、しばらく放浪時代研究で貯めた金を食いつぶして生活を続け、新婚生活十ヶ月目、子供が産まれた。
その子は、少しだけ生えた髪がまるでカラスの羽のようであったことと、当時柳希がはまっていたゲームの相棒の飛竜の名前からとって柳希が「黒羽」と名付けた。
ぶっちゃけノリで決めたといってもまあ、嘘にはならない。
その一年後六ヶ月後には次の子を身ごもった。
しかしその子が生まれるときには明野家の財政は厳しく、とても子供を三人も養えるような金はなかった。
そこで泣く泣く決断した彼らは、元から借りのあった中津家へしばらく預かってもらうことにした。
そして父、再度渡米。
アメリカでVRMMOのNPCの自動応対システム(NPCとの会話をより高度にするためのもの)を完成させ、ゲームクリエイト中津に提供。
そのままの勢いで人工知能を開発、アメリカ政府に売る。
四年後、父帰国。
一般水準よりもかなり裕福になった明野家は、紅葉に黒羽を見ておくように言いつけ、霧香を返してもらうために中津家へ行った。
そこで二人(玄詩、柳希)が見たものは、黒羽と同い年か年上くらいの男の子と本当に嬉しそうに、幸せそうに笑う霧香の姿――――――。
玄詩と柳希はあの二人(男の子は成也くん、かつて柳希が名付けた中津家長男)を引き離すことなど考えられなかった。
ましてや、自分たちの都合で押し付けた娘からまた“家族”を奪うことなど出来そうになかった。
二人は中津家大黒柱柔禅氏に頭を下げ、そのまま霧香を養子として引き取ってもらい、自分たちは霧香を遠くから見守るだけにしようと決めた。
そこから一年後。
沙羅が産まれた。
「いや~、あの時は若かったね」
とは、後日玄詩が残す言葉である。
もしも気になることがあれば感想コーナーで是非。
ちゃんと答えます。




