閑話:ハーレムフラグではありません。主要人物の紹介的なものです。
ようするにオフ会話です。
伝説級宝をフルコンプし、八月三十一日。
オフ会がついに行われることとなった。
最初はもっと早くに行われる予定だったのだが、みんなの予定が合わず、この夏休み最終日に延期になったのだ。
夏休みの宿題なんてのは七月のうちに終わらせている。
現在時刻は午前六時二十分。
チュインチュインチュゥインガガガガガガガガガッ!
こんな朝っぱらからやってる工事の音で目が覚めた。
……なんだ? 電信柱を付け替えてるのか…?
ガチャ!
「ただいまー! お母さんが帰ってきましたよー!」
玄関で誰かが――――って母さん!?
「もう、お母さん、帰ってくるなら言ってくれればよかったのに!」
玄関で姉ちゃんが文句を言っているのが聞こえる。
とりあえず、俺もおりるか。
目も冴えちまったし。
「おー、母さん、お帰り」
俺ん家は、二階から階段を下りるとすぐ玄関だ。
目をこすりながら母さんに言う。
「はい、ただいま、黒羽」
母さんの名前は明野柳希。海外で仕事をしている。
「紅葉、黒羽、よく聞いてね。お母さん、#☆$】ж国の王家付きの教師じゃない?」
「いや初耳だけど」
ていうか、#☆$】ж国って聞いたことある。
「あらそう、なら話は早いじゃない。……入ってきていいわよー!」
母さんが、外に向かって手招き。
入ってきたのは――
ふわふわのブロンドの髪がまるで絹糸のように華奢な体にボリュームを持たし、翡翠色の大きな瞳はまるで宝石のように美しい。
桜色のふっくらとした唇は可憐、そこから紡がれる言葉は今まで聞いたどんな音楽より耳ざわりのいい天上のソプラノ―――
「ってユーキ!?」
「あら? 黒羽様ですの!?」
「あら? 知り合い? ちょうど良かったわ。この娘は#☆$】ж国の次期王女、ユーキ=リックディッシュ=ミリアーナ様よ」
「わお! 本物のお姫様!?」
「そうよ紅葉。今日から半年我が家にホームステイして日本の社会勉強させるから、よくしてやってね」
☆☆☆
「いらっしゃいませー! 何名様ですかー?」
「いえ、待ち合わせです。……あ、あそこです」
都内某所のファミレスにて、オフ会は開かれる。
お互いに顔が分からないので、聖夜を目印として席を探す。
「遅いよー!」
「あーっと、ごめん、ちょっとバタバタしててさ」
席に着くなり、サラサラの黒い髪をまっすぐにおろした小学生くらいの女の子(美少女予備軍)が話しかけてくる。多分アサクラだろう。
「ところで、周りにゾロゾロいる黒服の人たちは一体誰なんですか?」
栗色の髪を横に流し一つに縛っている、守ってあげたくなる可愛い系の女の子が聞いてきた。
「あー、なんかさ、コイツの護衛、で!」
当然のように俺の膝の上に座ろうとするユーキを脇にどかしながら答える。
「あれ? にんずうが合わないよ?」
「あー、悪い、コイツが勝手についてきてな、まずかったか…?」
周囲の空気を伺ってみると、リラ(仮)が修羅のオーラをまとってこちらを睨み―――
「どちら様ですか!?」
リラ(仮)が語尾の最後の方を荒げた感じで言った。
「やっぱり勝手に連れてきたらまずかったか…。悪い」
「そんなことより、どちら様ですか!?」
「…えっと、某国のお姫様です。次期当主です」
説明が面倒だったので、ものすごい端折って説明。
パンパン
と、今まで沈黙を保っていた二人の少女のうち、一人が手を叩いた。
「お互いの素性の詮索はいらないだろう。……では、オフ会を始める前に、私から謝らなくてはならない。みんな、うちの幼馴染のキリバがいらぬことをした。すまない」
「あーいいっていいって」
「ぜんぜんいいよー、楽しかったし」
「ああ、構わない。自分は気にしていない」
「いえ、あなたが謝ることではないですよ」
「?」
「我は気にしておらぬぞ!」
口々に言う。
ユーキはなんのことかよくわかっていないみたいだ。
「そうか、そう言ってくれると私としても気が楽だ。……では、簡単な自己紹介でも。私はカミーユ。剣崎大学三年だ」
カミーユが名乗る。
カミーユは、ツヤのある黒髪を肩よりちょっと長いくらい、目は涼しげな一重、包容力のある口元、気の強そうな眉と、いわゆる知的お姉さん(美女)だった。
声は少し低めのハスキーボイス。
「では次は我が! 我はゴンドー! 剣崎高校三年、生徒会長だ!」
えっと。認識を改めなければならない。
今までゴンドーは男だと思ってたが、今見たら性別は女でした。
長い黒髪をちょんまげのように頭の上でポニーテールにしていて、身長は高い。多分俺よりでかい。175くらいか。
服装も奇天烈極まりない。上はサラシ。そこから胸があふれださんと自己主張をしている。下は袴。この格好で街中を歩いてきたのだろうか…? と思ってよく見てみると、横に上着を置いてあるのを確認した。
てか何? 俺の高校の生徒会長!?
剣崎高校生徒会長って言ったら、残念美人の代名詞じゃないか!
実家は剣術道場で、性格がこんななのはそのせいらしい。
「じゃ次はアサクラだね! ちなみに、このアサクラっていうのは、苗字からそのままとったからなんにもひねりないよ! 剣崎小学校五年生です!」
五年生といえども、もう少し大人っぽいものなんじゃないだろうか。見た目も中身も。
まあ、美少女予備軍ではあるだろうということをあどけないながらもうかがわせる顔形をしてはいる。
一番窓際のカミーユから時計回りでカミーユ、ゴンドー、アサクラと回ってきたので、次は俺か。
「俺はクロウ。剣崎高校一年。で、こいつがユーキ。自称でも設定でもなく正真正銘のお姫様」
わざわざユーキの性癖まで吹聴することもないだろう。
次は聖夜。
「自分は聖夜。現時点での二位プレイヤーだ。剣崎高校二年に所属している」
少し色が抜けている赤茶色の短髪に、同性である俺から見ても端正な顔立ちをしているが、俺は知っている。やつは変態であると……!
最後は、多分リラ。
「私は、リラです。ユーキさんのライバルです!」
「えっと、なんのライバル?」
「では、我もライバルということになるな!」
「じゃーアサクラもさんかー」
「負けませんのよ!」
「だからなんのライバル!?」
俺の知らない話題がカミーユ除く乙女のあいだで広がっていた。
どう言う意味だ?
「よし、全員自己紹介は終わったようだな―――」
☆☆☆
そのあとファミレスで食事を取ったあと、ゲーセンに行った。
アーケードゲームで対戦したけど、俺と聖夜の独走だった。
女性陣はどうも、二次元ゲームは得意ではないらしい。
その後適当にフラフラして、解散。
ユーキと一緒に帰宅した。
「ただいまー、っと」
「今帰りました」
「おかえりー。思ったより早かったねー」
「お姉ちゃん、だれ?」
そうか、ユーキが家に来たとき沙羅は寝てたっけ。
「母さんから聞いてないか?」
「………(ブンブン)」
否定を首を振って伝えてくる。
「えーっと、―――――――事情説明中―――――――と、いうわけだ」
「へー、お姉ちゃん、おひめさまなんだね。すごいね!」
「そういや、母さんは?」
「あー、なんか料理作ってるみたい。お姉ちゃんも手伝おうとしたんだけどね、断られちゃって。というわけで、黒くんで遊ぶべく玄関にて待ち伏せしてました」
「黒くん“で”って……そこは“と”じゃないのか…?」
「あれ? お姉ちゃんと遊んでくれるの? 最近婚約者であるお姉ちゃんに冷たいなー、とは思ってたけど」
「ちょっと待て――「婚約者!? どういうことですの!? 黒羽様!?」――いや違うからな!?」
「そんな……ひどい…! お姉ちゃんにあんなことやそんなことをしておいて…!」
「ちょっと黒葉様!? 血の繋がった姉にまで手を出してるんですの!?」
「おいおい、その言い方だとまるで俺がほかの人間にも手を出してるみたいじゃないか…(現実逃避)」
「でもね、おにいちゃん。同じクラスの朝倉美雨ちゃんって子がいるんだけどね、その子がお兄ちゃんのことずっと話してたよー?」
「クッ…こんなところで思わぬ伏線が発動だと…!? ここは一旦引くしかない…! 三十六計逃げるにしかず!」
「「「あ、逃げた!!」」」
女三人で姦しいとはよく言ったものだ。俺の対人スキルではいくら身内が多いとは言え、あの空間でいるのはさながら毒沼を歩き続けるがごとく体力を減らす…!
「黒くーん。晩御飯できたってー」
そうなりますよね。
だって晩御飯に合わせて6時前には帰宅したもの。
この家に俺の居場所はなくなろうとしている……!!
まあ、普通に考えたら姉ちゃんはブラコン、ユーキはドM、沙羅は、なんもないか。妹属性?
家に、まともな人が俺しかいなかった。
「黒羽、お母さんがいるでしょう?」
「あれ!? 口に出してた?」
「いえ、長年の勘です。いったい何年黒羽と暮らしていると思ってるんですか?」
「えっと、俺が三歳の時から海外で働いてて、そこからは長くても一ヶ月くらいしか帰って来ないから……合計で四年くらい?」
「その通りです」
「お姉ちゃんもそんなかんじかなー?」
「沙羅もだよ!」
「……日本の家族の団欒ってこんな感じですの…?」
「「「「え? どこの家庭もこんな感じじゃないの?」」」」
「日本の文化って難しいんですのね……」
そうかもしれない。
次は2ndシナリオですが、2~3話で終わるんじゃないかな、と。




