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死体が無いなら作ればいいじゃない♪  作者: たしぎ はく
1stシナリオ~プロローグ~
23/63

機械と風の融合竜。速い!!


 この話が終わって、あと三、四話でプロローグであるこの1stシナリオを終わらせて、序章である2ndシナリオに進みたいと思います。


 2ndシナリオは多くても二話で終わるかと。


 それが終わったらやっと本編だ!


 ……でも、テスト期間にテスト期間が重なって、次話投稿は一体いつになることか……。


 


  




 『霧隠れの渓谷』は、ひょうたんのような形をしている『霧隠れの里』の、一番凹んでいるところから行くことができる。


 まわりは竹がたくさん生えており、うっかり気を抜いていると頭を打つ。


 さらにそれに輪をかけて視界が悪い。


 霧が辺りに立ち込めているのだ。


 そのせいか、地面もジメジメしている。そのため足元に注意していないと、歩きづらい。


 つまるところ、非ッッ常にッ! 歩きにくいのであった。


 さっきから、ゆーきがずっと転んだり、竹に頭をぶつけたりするたびになぜかこっちにひっついてきて、それを「あうっ」「うっとおしい」引き剥がすと「はうぅ」ゆーきが興奮し、また抱きついてこようとする悪循環………。


 しばらく道を歩き続け、途中でパンダみたいなモンスターと遭遇したり、動く竹みたいなモンスターに遭遇したり、動くドMに遭遇していると、谷の奥に到着。


 俺のレベルは相当高いので、ここのモンスターではまるで相手にならなかったのである。


 ゆーきも、霧が立ち込めるここでは、無敵だった。


 遭遇と同時にモンスターが死んでいく様は、……思い出すだに恐ろしい。


 

          ☆☆☆


 キリイィィィィィィィイイイ!!


 生物である緑の翼のないドラゴン。全体的な骨格は華奢で、軽く、素早そうに見える。


 そして、機械的な翼と尻尾。


 翼なんかは推進翼のついた思い切り機械みたいな形で、直接ドラゴンの背中からはえている。


 尻尾は鈍く輝く銀、先端から根元にかけて赤いラインが走っている。


 瞳は縦長で、色は赤。


 機械とドラゴンが合体した、かなり速そうな体躯。


 そいつが、ここ『霧隠れの渓谷』のボスだ。


渓谷の守護竜 HP12000 MP8000 At1200 De300 Sp10000

スキル    MAXスピード《最速で敵に突っ込む》

       大嵐《竜巻を起こし敵を吹き飛ばす》

       飛行《空を飛ぶことができる》特殊スキル+飛翔

       風刃《風で敵を切り刻む》

       機械化《機械化することでスピードを下げる代わりにAt、Deがあがる》

       竜化《機械の姿を手放し、本来の竜の姿に戻る》


 属性は風。


 機械と生物の両方の特徴を持つモンスターのようだ。


「おいゆーき、とどめは指すなよ。ゾンビ化しなきゃならんからな」

「えーっと、はい、ですの」


 早速。


 炎龍を憑依。


 小手調べに、炎龍の咆哮を放つ。


 ふっ、と、機械竜が消え、咆哮はよけられる。


 上か!?


 速い。


 聖夜と同じくらい早い。というか聖夜すげぇ。


 どうやってあれに攻撃を通せと?


 すー。ジュバッ!


 機械竜がいる周辺の霧が歪み、水が収束して、機械竜を突き刺す。


 ジュバッ! ジュバッ! ジュバッ! ジュバッ! …………!


 機械竜に、次々と水の槍が突き刺さり、ダメージを与えていく。


 キリイイィィィィィィィイイイイイイ!


 お!?


 あっという間にHPが半分に減り、そして。


 機械竜が動きを見せた。


 なんだ?


 機械の翼と尻尾が皮膚に覆われていく。


 完全に見た目は普通の緑の有翼竜に。


 そのあいだも容赦なくズバズバとゆーきは水の槍を放っていたのだが。


 それを機械竜はよけ始めた。


 おおっ!?


 まだスピードが上がるのか!?


 四倍速聖夜と同じくらいか?


 そして、完全にゆーきの水の槍は当たらなくなった。


「…………くっ!」


 後ろでユーキが悔しげな声を漏らす。


 今や完全に機械の面影を残さない有翼竜は、現在上に百メートルくらいあるここの空間の、高さ八十メートルくらいのところを飛んでいる、ように見える。


 霧でよく見えない。


 霧が動いているところにいるんじゃないか、という推測で、咆哮を放ってみた。


 しかし、手応えは無し。


 よけられたか…!


 キリイイイィィィィィィィイイイイイ!


 機械竜は鉄がこすり合わされるような甲高い鳴き声を発すると、なんだ!?


 霧が切り裂かれながら、目に見えない何かがこちらに向かってくる…!


 サバゲーで鍛えた俺の勘が言っている。


 あれに当たったら、ヤバイ…!


 気づいていないっぽいゆーきをに抱きつくように飛び込み、それを回避する。


「あひゃいっ!」


 一応、後頭部はガードしたけれど、少し乱暴だったかもしれない。


 ドゴォン……ッ!


 霧を割ってきたソレは俺たちの近くに着弾し、激しく土を巻きあけながら地面をえぐった。


 耳元でユーキが息をのんだのがわかる。


 ……って!


「悪い!」


 ユーキを押し倒した状態のままだった。


「あ……」


 なぜそこで寂しそうな声を出したのかはわからないが、多分、彼女も不安なのだろう。


 それで、俺の男気あふれる今の行動に惚れた、とか思ってみるも、まさか。


 そんなわけがない。


 今の攻撃でやつに攻撃を当てる方法はわかった。


 さっきの技を発動するとき、三秒から四秒のスキがあった。機械竜は完全に空中で静止していたのだ。


 炎龍の咆哮でそのタイミングを狙う―――!


 キリリィイィィイィィィイィイイ!


 来た!


 炎龍の咆哮を放つ!


 しかし。


 一瞬の硬直から立ち直るまでのあいだに、炎龍の咆哮は届かなかった。


 そして咆哮は簡単によけられてしまう。


 これでも無理、か。


 この距離がうっとおしい。


 遠いのだ。


 今俺たちがいるこのエリアは、円形をしていて、直径は大体三十メートルくらい。高さは前述のとおり百メートルほど。


 この空間で攻撃を当てようとすればどうすればいい?


「ゆーき、あそこまで攻撃が届くか?」

「さすがの私も、あそこまで遠いと当てるのは無理ですの」

「そうか、じゃあどうしようか」


 キリイィィィィィイイィイィイ!


 甲高い鳴き声。


 なんだ!?


 いままでとは違う感じがする。


 まるで天井を落としたかのように頭上の霧がどんどんと見えないなにかに押され―――


 ってよけられない!


 直径三十メートルのここのエリアを全部カバーする大きさの空気の塊を放ってくる。


 あれを炎龍の咆哮(俺が出せる一番威力の高い技)で相殺するのは絶対に無理だ!


「……なあゆーき、あれ防げる?」

「無理、ですのよ」

「そうですか」


 ゆーきを押し倒し、強く目を瞑る。


「あッ! ……そんな強引に……! そういうのは現実で……。でも、やっぱり強引に……されるのも………」

「黙らっしゃい」


 痛いのはやだなー。


 とどこか人ごとのように思って数瞬後。


 俺の背中を凄まじい衝撃が襲う。


 ぐッ!


「くあッ!」


 痛みのフィードバックなんてなくすべきだ。


 背中を切り刻まれながらそう思った。


          ☆☆☆


 かろうじてHPは残った。


 しかし、もうこれ以上戦うのは嫌だ。


 背中が痛い。


 カミソリの川に投げ込まれたみたいだった。


 HPハイポーションを飲む。苦ぇ!


「クロウさま!? なんて無茶をしますの!?」

「あのな、このゲームでも攻撃されたら痛いんだぜ? 二人が痛い思いをするなら一人が痛い思いしたほうがいいと思わね?」

「でも、私が! 私の」

「黙れ。文句は受け付けない。このドMが」

「そうでした! 私は卑しい××××でしたの!」


 だんだん、ゆーきの扱い方がわかってきた気がする。


 そして、もう一つ分かったことがある。


 この機械竜を倒す方法を。


 ヒントとなったのはさっきの機械竜の攻撃。


 あれだけ広範囲の攻撃を放たれたら、この狭いフィールドではよけられない。


 それは俺も敵も同じ。


 右手のメイスに不死鳥を憑依させる。


 とりあえずゆーきを抱き起こしてから、目測でここの中心まで行く。


 炎龍の咆哮と不死鳥の咆哮を放つ。


 喰らえッ! 俺の全力!


 ヒュゴオゥ!


 このエリアの壁である端っこの竹と切り立つ崖を少しづつ削りながら咆哮は上昇。


 竹が複雑に折り重なり天井となっているところまで咆哮が届く。


 ドオンッ!


 機械竜が一気に地面まで落下する。


 とっさにゆーきとの斜線上に入り土くれを払う。


 機械竜のHPバーを見ると、残りは一割を切っていた。


 しかし俺のMPも残り一桁。


 キリ……リ…リイイ! ……ィィィィィイイイイイ!


 機械竜の体を今まで覆っていたドラゴンの皮が全て消えていく。


 そして、爪、腕、足、顔、胴、尻尾、翼が全て、生物らしさを手放す。


 耳に触る甲高い鳴き声がさらに高く、黒板を引っ掻いたような音に変わり、全身に鳥肌が立つ。


 完全に機械となった竜は、こちらを向くと口腔から見えない攻撃を放つ。


 とっさに飛び退いたが、ゆーきは!?


 よかった、ちゃんとよけている。


 あいつ、お姫様なのにというべきか、お姫様だからというべきか、危なっかしいところがあるからな。目の届くところにいないと心配だ。


 さてと。


 さっき俺を切り刻んでくれたお礼をさせてもらいますよ。


 炎龍の咆哮!


 ドギュウッ!


 残り一割だった機械竜のHPは減少し―――


 あれ?


 半分も減っていない。


 機械化したことで防御力が上がったのか!


 堅い!


 炎龍の咆哮はあと三回、放てるかどうか。


 それで、倒す!


          ☆☆☆

 

 機械竜は、炎龍の咆哮二発で沈んだ(ゆーきの水の槍は全く効かなくなっていた)。


 そして、早速機械竜を俺に憑依。


 左腕に青い主様のウロコ、赤い炎龍のウロコ、そして、緑のウロコも現れる。


 さらに左腕が、ところどころ機械のような部品が散見される龍の腕のような緑の細身の篭手が現れる。

そこに、全体的なフォルムは炎龍を憑依した時にはえる翼と似ていながら、しかし全く違う翼が、背中の左側に推進翼のついた機械と緑の翼竜の翼の異質な二つがうまく融合され、はえる。


 特殊スキル飛翔《空を自由に飛ぶことができる》はあるものの、翼がやはり一枚しかないためまだ飛ぶことはできない。


 炎龍も一緒に憑依すれば飛べるんじゃねーの?


 ということで、憑依!


 途端、体が膨張するような感覚、そして激痛。体のなかに風船があるとしてそれが膨らんだらこんな感じかもしれない……!


 破裂する!


 慌てて炎竜の憑依を解除。


 なるほど、俺の器では二体憑依は無理か。


 ならば。


「登りますか、これ」

「ええ、これを登るんですのね…」


 目の前には、めちゃくちゃ傾斜が急な階段が。


 しかも百メートルくらい上、さっきまで機械竜が飛んでいたところくらいまでずっと続いている。


 これを登るのはしんどいから飛んでいこうとしたが、失敗した。


「よし、登ろう。もう登るしかないよ、うん」

「えー、さすがにこれはしんどい―――」

「誰に口答えしているんだこの××××が!」 

「はいぃ! すいません、どうか、このいやらしい××××に―――(放送禁止)」


 やっぱり、ゆーきの扱い方はこれであっているみたいだ。


 一歩一歩階段をのぼり、たまにとまってゆーきとペースを合わせたりしているうちに、頂上へ。


「…………」

「…………」


 喋らないのではない。


 声が出ないのだ。


 感極まっているわけではない。


 息が辛いのだ。


 深呼吸。吸って―――、吐いて―――。


「ゆーき、深呼吸だ。はい、吸って―――、吸って―――、吐いて―――、吐いて―――、吐いて―――、吐いて―――、吐いて―――、止めてみ?」


 あ、なんか楽しい。


 本当に息止めてるし。


 あ、でもなんか恍惚とした表情……。


「やっぱ息していいよ」


 高レベルな変態プレイに知らない間に参加していた。


          ☆☆☆


 さて。


 階段を上りきった先には、ちょっとした大きさの広場があって、その奥には一つ一つが三十センチくらいある石を組み合わせて出来ている建物があった。


 周りは竹ではなく木々に囲まれており、建物の後ろに回ることはできない。


 階段を九割くらい登ったところで、急に霧がなくなり、視界が開けた。空には雲一つないが、かわりに竹の天井が見える。


 せっかくのぼったこの階段を何もせずに降りるという選択肢はないので、建物に入ってみる。


 そこは、大体俺んちのリビングと同じくらいの大きさの石室で、中央に宝箱が。


 開けてみると、吸い込まれるような深い黒の水晶が入っていた。


渓谷の秘宝《渓谷に眠る古代の宝。膨大な魔力がこもっているが、人間では制御できない》


 手のひらだいのそれをアイテムボックスにいれ、一度宝箱を閉めて、ゆーきと場所を変わる。


 ゆーきも渓谷の秘宝を手に入れ、そして。


「また降りなきゃならんのか、この階段……」



 目の前には、真っ青な空と、延々と続く長い長い階段が続いていた……。






 これ、普通のプレイヤーだったらどうやって倒すんですかね?


 パーティ組んで大勢でタコ殴り?


 感想、誤字脱字、欠点、変な言い回し等ありましたら、書き込んでください。


 よろしくお願いします。

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