武闘会開始。アサクラの店に行くと疲れるということを学びました!!
思ったよりもあいてしまいました。
次話もちょっと遅くなる予定。
朝。
姉ちゃんがまだ寝たままだったため、自分で朝食を作る。
ついでに沙羅と姉ちゃんの分を作るのも忘れない。
気分はまさに、出来る弟。
朝からテンション高いな、俺!
いつもの事だけども。
さて、待ち合わせは12時に『レイオリア宿場町』の中央広場。
現在時刻は七時三分。
集合時間までちょっとダイブしておこうかな。
☆☆☆
ダイブ完了。
場所は『フリネジア』。
アサクラが店を開いているそうなので、冷やかしに言ってみようかなー、と、そういうことだ。
「らっしゃーせー! ……おっと、君は、この前の、えーっと、確か、あーっと、うーん、えー、あー、うー、いー、おー、あー、いー、うー、えー、おー!」
おー! で手を突き出す幼女。
名前を思い出そうとしているんじゃなかったのか……。
「クロウだ。フレンド登録しただろうが」
「おー、おー、クロウ君か。よく来たねぇ。何? これとかどう? ねだんは六百万D」
「いらん」
「あはは、冷たいなー。もーちょっとあったかくせっしてくれないと、アサクラはすねちゃうぞー?」
「知らん」
「いやー、これがいまはやりの“ツンデレ”ってやつなのかな? だとしたら、クロウ君はアサクラにほれてるわけだ? 不束者ですがよろしくお願いします」
「いや、よろしくお願いせんでくれ。俺は客だから。プリーズ商売」
「えいご分かりません。なに? ぷりーず? どゆ意味?」
「~してくださいって意味だ」
「おー、そういえば、アサクラは商売人だったのです。きょうは何見に来たのー? 何欲しい?」
「適当に。何か良いものがあったら買わせて貰うよ」
そうかいそうかい、と、頷きながら、アサクラは店の奥へ。
「こんなのはどうだい? にあうとおもうよー?」
「えーっと、何これ?」
俺の目がおかしくないのならメイド服のように見える。
他にも、チャイナ服、セーラー服、ナース服、新旧スクール水着、etc、etc。
「ここって、コスプレ専門店だったっけ?」
「ちがうよー、装備品屋ですよー」
「それにしても何で女物ばっかなの? 俺男だよ? いじめ?」
「いじめはいけないことなのですー。あ、クロウ君に女物ばっかわたしたのはー、男物よりもー、女物のほうがにあうとおもったからかなー? かおかわいいし、小柄だし」
俺より小柄アバターのくせして何を言うか。
というよりも、アサクラゆるい。喋り方が超ゆるい。
なんか話してると癒される? 落ち着く? そんなかんじ。
……ロリコンではなくってよ? そうそう、俺は姉好き……いや、何か違ーな。
「じゃあさー、こんなのどうだい? MP+100」
アサクラが手渡してきたのは、真っ白なパーカー。
普通に量販店に行ったら売ってそうなデザイン……なのだが。女物のように見える。
しかし、MP+100はかなり大きい。
……くッ! どうする? 買うか? 買わないか?
「ちなみにね? このパーカーの次はMP+4だね。アサクラは別にMPが必要じゃないので、こんなのばっかしですので」
「買った!」
「まいどあり!」
もう、いいや。
女物でも、MP+100は大きい。
それに、俺のアバターは見ようによっては女だ。
女物の服を来ていようが、変に思われはしないさ。
「ありがとうねー。ほかにも、こんなのどうだい? MP+100で、白のパーカ(男物)」
「男物あるのかよ! 次はMP+4じゃなかったのか!?」
「女物はねー」
騙された……ッッ!!
所持金的には、二つ買える。
でも、二つ買えば、ちょっとお財布事情が危うくなる。
だから。
「もう、勘弁してください」
頭部装備 魔術師の冠
胴部防具 白のパーカー
腕部防具 黒の腕輪
脚部防具 無し
アクセサリ 邪神の魂
アクセサリは、キリバ撃破ミッションの報酬。
効果はMP消費量四分の一。
さすが最強アクセサリだぜ…!
☆☆☆
「エントリー完了です。では、トーナメント表が出来次第メールでお知らせしますので、ご注意ください」
午後十二時四五分。
リラと聖夜と合流し、その後、王国に入国。
王国の正式名称は『キリデスニトゥス王国』。王様が支配する大国。海と山に面し、豊かな農作物が国を潤している。また、王国のど真ん中を貫く川も、一見の価値あり!
さっき国に入ったところにいたNPCの男性に聞いた。
NPCと普通のプレイヤーのクオリテイが高すぎて、話してみるまで判別がつかないのはどうなんだろう。
「では、ルールの確認です。当“武闘会”では、予選では参加人数を四グループに分けサバイバル、その中の上位二名をトーナメント戦である決勝に進出とさせていただきます。優勝商品は、第一回を記念して、三万Dと、優勝者が持っていない伝説級宝の内、この世の絶対存在数に余裕があるものを、一つコチラがランダムに選び、商品とさせていただきます」
絶対存在数とは、分かりやすく言えばこのゲーム内にアイテムが存在できる上限である。
「なお、この大会では、ゲームオーバーにおけるペナルティは適用されませんので、ご安心ください」
この『Treasure online』でのゲームオーバーのペナルティは、モンスターのとどめを刺されて死んだ場合、
・所持金全額ロスト
・装備品全部消える
・アイテム全部無くす
残るのはアバターと、初期装備の麻の服上下だけ。
プレイヤーに止めを刺された場合、
・所持金全額その場に落とす
・装備品全部その場に落とす
・アイテム全部その場に落とす
残る物は、モンスターに倒された時と同じ。
なお、両方とも、装備、職業スキルなどの、レベルは下がらない(そもそも、スキルレベルを下げる方法は存在しない)。
そして、全てを失ったプレイヤーは、始まりの間からやり直すことになる。
これが、死んだプレイヤーが早く復活できる理由である。
ちなみに、本人曰く、聖夜は俺に殺されていない為、アイテムを落とさなかった(倒したのは分身)。
以上が、このゲームにおけるデスペナルティである。
それがなくなるのだというのだ。まあ、しかるべき処置か。
このデスペナが適用されたら参加者がいなくなる。
「それでは、午後二時までに会場にお集まりください」
☆☆☆
「それでは! 只今より、第一回武闘会を始めます! 参加者の皆様は、お手元の組み合わせ表をご覧下さい」
手元に、光が収束するエフェクトと共に、紙のようなもの――組み合わせ表――が現れる。
俺は一組で、リラは二組。聖夜は参加しない。
「それでは早速第一戦を始めます! 一組の方は、フィールドに自動的に転送されますので、足元にご注意ください。なお、フィールドはランダムになります!」
俺は一組なので、早速転送された。
ログインするときと同じような一瞬の浮遊感。
☆☆☆
着地、と。
辺りを素早く見回し、フィールドを確認する。
フィールドは、どうやら、森のようだ。
フィールド全体に司会者兼実況の、声が響く。
「それでは、ただいまより、全ての組の予選を始めます。あ、申し送れましたが、司会は、私、ケインと、解説には、トッププレイヤー、最高速のロリコン、聖夜様でお送りします!」
「よろしくお願いします」
「なお、スタートの合図の後は、参加者には私たちの声は届きません、ご了承ください。最後に、ルールの確認をしたいと思います。と言っても、ルールは、いたって簡単、フィールドにいる他のプレイヤーを倒し、最後の二人になるまで戦えばいいのです。準備は良いですね?……では。3! 2! 1!
ゲーム、スタート!」
昨日のケインさんの含み笑いはこういう意味だろうか。
聖夜が解説をしているのにはもはや突っ込むまい。
☆☆☆
ゲーム開始と同時に、視界の右端辺りに、18/18と表示される。
恐らく、参加者の数と残り人数だろう。
そして、フィールドマップも表示される。
……結構狭いな。
狭いと言っても、広くは無い、と言うだけだ。けっして歩けばすぐ敵に当たるような距離ではないと言え、やはり狭く感じる。
普通のフィールドとは違い、ここがバトル専用、戦闘用フィールドだからだろう。
モンスターをゾンビ状態にして顕現。
俺を中心にして、砦を作成。
そして、自分に主様を憑依させる。
「……………カッ!」
主様固有のスキル、地震を発動。
しかし、残り人数は微動だにしない。
二度、三度と繰り返し発動するも、変化しない。
さすがは、ここまで辿り着いているだけあるってことか。
皆バカみたいに強いに違いない。
と。ゾンビの索敵網に誰かが引っかかったのを確認。
そして、残り人数が17に減る。
やはり、地震が効いていたのだろう。
そして、残り人数が更に減る。
目に見えて減って行く。
やっと、近距離にしか攻撃手段を持たないプレイヤーが交戦しはじめたのだろうか。
そして、あっという間に残り人数は五人に。
ガサッ!
身を潜めていた茂みの、背後から誰かが接近する気配を感じる。
クソッ、全然気付かなかった。
慌てて、飛びのき、物音から距離を取り、対峙。
そして、一瞬前まで俺がいた所を、一対の斬撃が通り抜け、片方は焦げ、もう片方の斬撃が通り過ぎた後は、凍りついた。
「ゴンドーか!?」
「ややっ!? その声は、クロウか? なんだ、ならば、我と共闘しようぞ。今残っておるのは、間違いなく強者だ」
共闘を断るメリットは無い。
なので、パーティ登録。
これでお互いにダメージが通らないので、同盟としては成立していると言える。
今まで四人倒さなければいけなかったのが、三人に減る。
いや、また一人減ったから残りは二人だ。
ゾンビを全体結集。
顕現状態で俺を中心に密集陣形を組む。
森を抜け、広場に出る。そこに、残りのプレイヤーがいるのは分かっていたのだ。
さっきから、誘っているかのように、ずっと花火を打ち上げている。
罠? 何それ美味しいの?
という思考回路をしている俺とゴンドーは、何のためらいも無く、しかし、戦闘前の若干の緊張を伴って広場に出る。
果たしてそこにいたのは、二人組みのプレイヤー達だった。
恐らく、向こうも共闘しているのだろう。
それなら話は早い。
両方倒せばいい。
こっちにはゴンドーもいる。
怖いものは、無い!
感想、誤字脱字、欠点、変な言い回し等、ありましたら書き込んでください。
よろしくお願いします。




