我が家にてアレコレ。俺は姉属性に弱いのかもしれない!!
今回あまりゲームが進みません。
そしてお姉ちゃんが参戦します。
今後どう物語に絡んでくるかは、企業秘密です。
特に何も考えてないんダロ?ニヤニヤ とか言わないでください。
「ギャアァァァァアァァァァああぁぁぁっぁっぁぁっぁぁっぁあああっぁあ!!!!」
ログアウトとすると、怒り心頭の姉ちゃんが部屋にいた。
目の錯覚かもしれないが、どす黒い、修羅のオーラを纏っているように見える。
いや、これは目の錯覚ではない!
本当に、姉ちゃんの周りにオーラが見える!
そして、姉ちゃんは、右手に中華なべを持っている。
……アレで殴られたら死ぬほど痛いんだよなー…。
さっき悲鳴をあげた理由がこれである。
……だってよ、ログアウトして目を開けたら目の前に魔王も裸足で逃げ出すような修羅のオーラを纏った姉ちゃん(中華なべ装備)がいるんだぜ? そりゃ悲鳴もあげるわ。
「黒くん? お姉ちゃんは、ゲームは別に制限してなかったわ。でも、ご飯の時間にはちゃんと食卓につきなさいって言ったわよね?」
姉ちゃんは、俺のことを「黒くん」と呼ぶ。
いや、現実逃避してる場合じゃないわ。
「お姉さま、背後にオーラが見えます。ゴ ゴ ゴ ゴ って、なんか地鳴りのような音も聞こえるのですが」
やんわりと(あくまでやんわりと!)話題の変更を試みる。
「ねえ、黒くん! 黒くんは、お姉ちゃんが作ったご飯が食べられないって言うの?」
「滅相も御座いません! 僕は、とても、お姉さまのご飯が食べたいです! むしろお姉さまのご飯しか食べられません。他のものは喉を通りません!」
「そうなの? それは残念だわ。今日の晩御飯は沙羅ちゃんが作ってくれたのに…」
「謀ったな! 姉ちゃん!」
「うふふ、お姉ちゃんに口で勝てるとでも思ってるのかしら?」
くッ!!
「ほら、早く下に来なさい。ご飯が冷めちゃうじゃないの」
☆☆☆
うちは、両親が家にいない。
母さんは外国でなんか働いてる。何してるかはよくわからん。
父さんは、海外でよくわからない研究をしている。一応成功はしているみたいだ。
帰ってきても、日本語を思い出すまでは何語かすら分からないような言葉で話すため、毎回困るのだが、今は関係の無いお話。
で、両親が家にいないので、食事は誰がつくるのかって言えば、我が家では姉ちゃんになる。それを、たまに沙羅が手伝ったりしている。
俺? レシピさえあればなんでもつくれるけど、無かったら炒飯とオムライスしかつくれないかな。
まあ、そんな感じなので俺はあんまり料理しない。
朝を適当に作るくらいか。
「「「いただきます」」」
下(俺の部屋は二階、リビングは一階)に下りると、どうやら姉ちゃんと沙羅は待って居てくれたようだった。
我が家は夕食は六時からという決まり(?)があるので、その時刻にいなければ、普段なら置いてけぼりを喰らうのだが。
「あのね、黒くん。お姉ちゃんはね、あんまりゲームばっかりやってるのはよくないと思うの。ほら、今日も、夕食の時間から6分39秒62’49も遅れているのよ!」
「細かッ! どうやって計ったの、それ一体」
「そんなことより」
「そんなことより!? 結構重要な事だと思うんだけど! 俺だけ!?」
「お兄ちゃんだけだよ」
「沙羅まで!?」
「そんなことより、黒くん、次に夕飯の時間に遅れたら一生ゲーム禁止ね?」
「そこまでっ!?」
ゲーム禁止は、死活問題すぎる。
姉ちゃんの事だ。
言い出したら絶対に、絶ッッッ対に! 実行するだろう。
……お隣の彦根さんのところみたいに、こっちはゲーム機を燃やされそうだ……。そういえば、なんでお隣さんはベランダでファイヤーしてたんだろう。何燃やしてたんだろう?
と、一ヶ月ほど前の、彦根さんファイヤー事件を思い出した。
お隣さんの不思議に思いを馳せていると、いつのまにか話題は隣の家の娘さんである、桜さんの話に移
り変わっていた。
☆☆☆
夜。
久しぶりに沙羅とログインしようと画策したものの、見たいテレビがあるため無理、と断られた。
仕方がないので、姉ちゃんを誘う。
ちなみに。
姉ちゃんは『Treasure online』のアカウントを持ってはいるのだが、ダイブするのは初めてだったりする。
本人が言ってた。
姉ちゃんは、ゲームが嫌いと言うわけではない。
むしろ、好きなほうだと思う。
VRMMOが発売される前とか、ずっとボケット○モンスター(縮めてボケモン)やってたし。
ボケット・モンスターの『・』伏字にする必要は無かったな、全く。
さて、ボケモンは俺もやっていたのだが、姉ちゃんに勝ったことはない。
一度も、無い。
姉ちゃんは一度ハマるとどんなことでも極めてしまうのだ。
閑話休題。
さて、やってきましたよ、『始まりの間』。
うん、昨日来たばっかだけど、久しぶりな気がする。
……体感的には、三週間ぶりくらいな気がする。不思議なものだ。
姉ちゃんは、まだ来てないみたいだ、とか思っていると姉ちゃんもログインしてきた。
「へえ、これがVRMMOなの? 凄い、まるで現実世界じゃない」
俺も最初は思ったさ。昨日の話だけどな!
姉ちゃんに職を決めるように促す。
「うん、お姉ちゃんはこれにするわ!」
どうやら職が決まったみたいだ。
さっそくプレイヤーカードを交換。
モミジ ♀ 19 料理人
HP 20
MP 5
At 15
De 15
Sp 20
装備スキル 調理器具(刃物)LV1 調理器具(鍋物)LV1 調味料LV1
職業スキル 調理LV1 調合LV1 収穫LV1
特殊スキル 無し
補助スキル 無し
称号 無し
……相変わらず、変なスキル多いな。
ていうか、何? 料理人?
生産系の職のプレイヤーは、このゲームの中で初めて見るな。
「生産系でもね、お姉ちゃんは戦えると思うの。ほら、鍋とか包丁とか使い慣れてるし」
「そっちの意味でか!? 調理器具をバトルに用いるんじゃありません!」
「お姉ちゃんね、銃より日本刀より中華なべのほうが強いと思う」
「それは姉ちゃんが持った時の話だろ!?」
これは、実話である。
俺は、実はエアガンの腕がかなりあったりするんだが、姉ちゃん(中華なべ装備)に勝ったためしが無い。
弾は全部BB弾使ったんだけど、中華なべで、全て弾かれてしまった。(喧嘩では勝てないことが立証された)
姉ちゃんがどういう経緯でこのような戦闘法を会得したかは謎である。
「さ、そうと決まれば早速行きましょう、次のフロアへ!」
二度目の『始まりの森』に。
余談だが、姉ちゃんの格好は今、清潔感溢れる白いエプロンに何故か裸。
ほかはなにも着ていない。ように見えるだけかもしれないが、やっぱり何も着ていない。
「その前に、服を着ろ」
「えー? 黒くんは、お姉ちゃんの裸エプロンを見てなんとも思わないの? というか突っ込み遅くない?」
「いいから、服を着ろ」
えー、と頬を膨らませながらもちゃんと服を着る姉ちゃん。
一言添えておくと、俺は姉属性に弱いのかもしれない。
☆☆☆
秒で、本当に秒で、『レイオリア宿場町』に到着。
もちろん、俺は一切手を出していない。
樹の枝しか姉ちゃんは装備していないのに、無茶苦茶強かった。
「はい、これ。ログイン記念」
姉ちゃんに、中華なべを購入してプレゼントする。
幸い、キリバの変でガッポリ、それこそ最高級のプレイヤーホームが買えるくらい稼がせてもらったので、金に不自由はしない。
中華なべ《簡単ながらもしっかりした中華なべ。武器として使用することも出来る》At+10
「ずっと、アイテムボックスの中に傷つかないように大切に保管しておくね!」
「いや、使ってくれ。武器として装備しろ。ああ、料理しても良いぞ?」
☆☆☆
中華なべを持たせた姉ちゃんは無茶苦茶強かった。
ログインからものの一時間で『ナイロック湖』まで到着してしまった。
ちなみに、主様とはもう一度戦った。(主に姉ちゃんが。俺は何かする前にゲームセット)
釣竿を貰い、湖の畔を歩いていると、亀を発見。
調べると、どうやら水辺を自由に移動できるらしい。
亀なのにアイテム認定されている。まあいいか、細かい事は。
主様の憑依が無ければどうやって湖探索をするのだろうかとも思っていたのだが、これを使うのか。
姉ちゃんは亀に乗り、俺は泳ぐ。
主様憑依状態になった時、姉ちゃんはちょっと驚いた顔をした。
一言添えておくと、俺は姉属性に弱いのかもしれない。
「うわあ、ここ本当に湖? 海みたい!」
「やっぱりそう思うよな!? 俺も始めてきた時そう思った!」
相変わらず、『ナイロック湖』は湖底が海みたいだ。
魚がいるだろうか。
いたら姉ちゃんにさばいて料理してもらおう。
せっかく料理人なんだから。
しばらく泳いでいると、キラーシャークと遭遇。
せっかくなので、倒して進む。
すると、何匹か倒したあたりで、「フカヒレ」をドロップした。
うぉっぉお! 高級食材!! 姉ちゃんに絶対料理してもらう!
そして、この前俺が来たときはエンカウントしなかったマグロみたいな敵とも遭遇する。
つな HP81 MP40 At95 De97 Sp104
……名前可愛らしい! 見た目獰猛そうなカジキマグロなのに名前可愛らしい!!
しかし、これはマグロなんだろっ!?
倒せばマグロ肉が手に入るのかもしれない!
俄然、俺の期待は高まる。
しかし、手に入れたのは、ツナだった。
三匹エンカウントしたけど、ツナが三つしか出なかった。
まあ、いいか。ツナは海の鶏、シーチキンとも言うのだから!
……どう強がった所で、一体フカヒレとツナから何が生み出されるのか全く想像ができない…。
四匹目とエンカウント。しかしツナ。
五匹目。しかしツナ。
六匹目。やはりツナ。
あいだに、5匹ずつくらいキラーシャークを挟みながら、つなを狩る。
ちなみに、フカヒレは更に二つドロップした。
しかしやはりマグロ肉は出ない。
つなはマグロ肉をドロップしないのだろうか。どう見てもマグロなのに…。
しかし。
「収穫系スキル『剥ぎ取り』」
姉ちゃんの持つ包丁(姉ちゃんにせがまれた為俺が買ったもの。姉ちゃんに刃物を持たせたら危険度が上がるのではないかと思ったが、気にしない気にしない。)が一閃する。
つなを倒してドロップしたものは、はたしてマグロ肉だった。
「やっぱりね。このスキルを使えばモンスターから上位食材となるアイテムが剥ぎ取れるみたい」
「お姉さま凄い!」
「ふふふ、崇めなさい!」
その後も、間にキラーシャークを挟みつつ、つなを乱獲し、結局マグロ肉を八個、ツナを十二個、フカヒレを七個手に入れた。(キラーシャークに『剥ぎ取り』を使用してもフカヒレしか出なかった)
そして、沈没船探索を開始するものの、一度俺がモンスターを全滅させたせいでモンスターはポップしなかった。
そのせいで、あっという間に最奥部に到着してしまった。
他のプレイヤーが来たらモンスターも湧いただろうが、俺がいた為にポップしなかったようだ、と結論付けた。
そして、姉ちゃんが奥の宝箱から手に入れたのは、《究極料理指南の書》だった。
どうやら、料理をする時に必要なレシピ集のようだった。(レシピ無しでも料理は可能だが、現実での料理とは少し勝手が違う為、失敗しやすいのである)
姉ちゃんはまだプレイしているそうだったが、俺はログアウトして寝る事にした。
明日は朝からログインし、スキルのレベル上げや、装備の見直しをすることにしよう、とか考えている内に、気付いたら寝てた。
…Zzz…。
6/24日、父母の職業を変更しました。
感想、誤字脱字、欠点、変な言い回し等、ありましたら書き込んでください。
よろしくお願いします。




